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第62話 倍音

「よし、まずモンスターの鼓動の感じ方だが

お前はエイトのリズムならあまり間違わないよな?」


「はい」


「うむ、だけど、みんながエイトで鼓動を打っているわけじゃない

細かく鼓動を打つものもいれば、もっと大きく打つものもいる」

「では、16のリズムで鼓動刻むモンスターがいたとして

16分音符で対処できれば、これは何ら問題は無い

だが、自分が未熟でリズムがうまく取れないとき、

モンスターの鼓動と言うのは、基本的に4拍子

1拍目に低音、2拍目と4拍目は高音が入りやすい」


(ポップスやロックのリズムと同じだな…)


「このリズムがおそらく心地良いというか、心臓の鼓動が打ちやすいんだと思う

これに関しては、モンスターだけでなく普通の生き物は、実はみんなそうなっているみたいなんだ」


初耳の話に、シュンにとっては目から鱗だ。


「という事は、16分をきれいに刻めなくても、似たような場所に8分を打てれば、これはダメージとして蓄積される

つまり、場合によってはモンスターに勝てる、もしくは逃げることができるということだ」


これはシュンにはかなり安心できる内容だ。


「そのために必要なのは、音の重厚感を感じさせることができる、倍音だ

これはわかるよな?」


「あ、いえ

あまりよくわかりません」


「そうか、しっかりと楽器の音を鳴らしきれば、その響きや伸びが心地よく、リズムの正確さを上回って相手に衝撃を与えたり

単純に楽器の演奏で捉えたときにも相手に心地良い要素を与えたりすることができる」


「もし自分じゃ対応できないモンスターに出会ったら、まずは人に任せるんだ

だが、自分一人しか戦闘できる者がいなかった場合」


「倍音を頼りにしろ

ピンチの時こそ、リラックス

力を抜いて対応するんだ」


(…あ)


シュンは思った。

ライブの時と似てるかも。

ライブのステージでは代わりなんていない。

緊張して、力んじゃって実力が全然出せない時はある。

無理矢理に口角を上げて、自分を騙しながら余裕なふりをしてやってみる。

それでも心がリラックスしてないと、自分の力は全然出せない。


「倍音はすべての技術の元になるテクニックだ

倍音を最大限まで出せるようになることで、全パラメータが上昇する」


「本当ですか?」


「本当だとも

お前の周りの護りの光はまだごくわずかだよな

それこそ、もっと輝きを放つようになるよ」


これほどやりがいのある言葉があろうか。

さっきまで疲れを感じていたが、シュンは夜通しでも練習したい気分になった。


「ジルのレベルになってしまうと

やつの場合は、もう護りの光自体がもはや武器になってしまうんだよな」




ーーーーーーーー


ガルルルルルル…

グルゥグウゥ…


イストを囲んでいたのは、灰色の毛色の狼型のモンスター4匹だった。


(ヘルマウントウルフ…やばい)


サイズは1メートル位だが、非常に好戦的で、常に家族ごとの群れで狩りをするだめ、連携を取られるとかなり厄介だ。

正直に言って、イストの対処できる相手ではない。


まずは4匹の中でも、小ぶりな1匹が少しずつ距離を詰めてにじり寄ってくる。


イストは絶対目をそらさない。

視界の中に4匹全部が入っていることを確認しながら。


ドゥン…ドゥン…


少しずつ低音を刻み始めて様子を見た。

まだはっきりとはわからないが、狼たちの鼓動はかなり早い。

早いぶんにはイストが得意な相手ではあった。

だが、イストもよもや自分に勝ち目があるとは思っていない。



※補足

パイスの言っているエイトとは8分音符のこと。

16とは16分音符のことです。


1小節を8つに分ける長さが8分音符。

16個に分ける長さが16分音符です。


一般的に16分音符の方がリズムを細かく感じる必要があるため技術が必要です。

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