第6話 経験値 《挿し絵あり》
「…絶対そうなるとは言えないわ
でもあなたみたいに突然こちらの世界から、地球に転移されてしまうこともないとは言い切れなくない?
スタンピードの謎は全く解明されてないわ
例えばもしそれがウィルスだったとしたら…?」
こんなことを言われては、嫌でも想像してしまう。
自分のいた世界がモンスターで溢れる光景を。
親や友達が危険に晒される、その未来を。
「…うん、本当にどうしたらいいか全然わからないけれど
自分にしかできないことなら…やるよ」
シュンは今の今まで普通の高校生だった。それが突然こんな話をされて、平静でいられるわけがない。
「ごめんね、もちろんすぐに受け入れるのは難しいと思うわ
ただ、あなたはこの世界に求められ、そして呼ばれました
それだけは伝えたいの」
「大丈夫だよ、頑張ってみる!
ドラムは大好きだから」
シュンの返事を聞いて、ユウナは安堵したように微笑んだ。
「ふふ、そしたらステータスの見方を教えるわね、頭の中でステータス表示をイメージしてみて」
「うん、やってみる」
また半透明の不思議なモニターのようなものが出現した。
NAME:SHUN
AGE:16(16才)
RACE:OTHERWORLDER(異世界人)
LEVEL:120
「……レベル、120?」
シュンは眉をひそめる。
確か、最初に見たときも、それくらいだったはずだ。
「え、ちょっと待って」
思わず声が漏れる。
「さっきモンスター、助けたでしょ
レベル上がったりするんじゃないの?」
ユウナは空中でぴたりと止まり、首をかしげた。
「……どうして上がってると思ったの?」
「いや、だって」
シュンは戸惑いながら言葉を探す。
「敵を倒したら経験値もらえて、レベルアップするんじゃないの?
ゲームとか、そういう……」
ユウナはくすっと笑った。
「そんな単純じゃないわ」
そして、少しだけ真剣な声になる。
「ねえ、シュン
あなた、さっきの戦いで“何を得た”?」
「え?」
「力? 技? それとも……何かが変わった感覚はあった?」
シュンは言葉に詰まる。
思い返せば、確かにドラムを叩いた。
世界と拍が合った感覚もあった。
けれどーー
「……正直、よくわからない」
ユウナは頷いた。
「でしょうね」
「この世界のレベルは、数をこなした証じゃないの
拍を“どう理解したか”、あなたが変化したか
そして、それをちゃんとリズムで表現するところまでできるのか
それが能力として映し出される」
シュンはもう一度、頭の中の数字を見る。
全く変わっていないレベル表示。
「……結構、過酷だな」
ぽつりと漏れた言葉に、ユウナは少しだけ微笑んだ。
「ええ、でも
だからこそ本当に強くなった人は、ちゃんと上がるのよ
それこそとんとん拍子に上がっていくこともあるからね
そしてレベルはこの世界への影響力を如実に現すわ
こまめにチェックした方がいいわよ」
シュンは深く息を吐いた。
(ゲーム感覚じゃ、やっていけない世界か……)
ーーその事実だけが、はっきりと胸に残った。




