第44話 黄金のバラ 《挿し絵あり》
「あのさぁ、
取り込み中悪いんだけど、いいかな?」
「あ、シュン
すまない、えっとな
ちょっと地図を書いて見せようか」
ライドンは、落ちてる小枝を拾って、地面に地図を書き始めた。
「これがテンポス領全体で、
大体真ん中からちょっと東寄りにテンポスの街、城内ともいうけど
外側には農地が広がっている」
「で、南東のほうにメトルの森、そこからちょっと西側に今おれたちがいるオームの集落がある」
「北東の端っこはもう潰れちゃったけど、レゾヌスの遺跡ね
で、領内にはもう一個プレイヤー用のギルドがあって、ずいぶん西の端っこにカマンドというところがある」
(初めて聞くけど、こういう話ってすごく参考になるなぁ)
「そこからすぐ近く、北へ2キロほど進んだところに花園と言われている場所がある」
ある1点を示すライドン。
「ここに咲く花は1種類しかない
幻妖バラといって、見た目はとっても綺麗なバラなんだけど、ある時期になると非常に厄介な瘴気を飛ばす」
ゴクリと息を飲むシュン。
(瘴気だって?そんなやばいところにこれから行こうっていうのか)
「その名前の通り、幻覚を見せたりして行く人を惑わせたり、場合によっては頭をおかしくさせちゃうんだ
死者まで出たこともあって、危険すぎるということで今はテンポスの行政と律動連盟が管理することになってるのさ」
「人が死んでるのか…」
「そう ただその名前とは裏腹に、綺麗な赤い色で咲く
そしてその地域には、何千本と咲いているのだけど、そんな中で100本に1本ほど金色に輝くバラがある」
「その美しさは、クロック王国3大美色の一つとされている」
(…なんかすごい!!)
「瘴気だけじゃなく、面倒なのがそいつらは1本1本が意志を持っているように、触れた瞬間に一気に人間の脳に幻覚を流し込むらしいんだ」
「だから、1本摘むにも大変なエネルギーが必要とされる…その上」
(まだあるのか)
「摘んだ後でないと、それが金色の薔薇かわからないんだ
しっかり茎を切り取ってから30分くらいゆっくり時間をかけて金色に変色するらしい」
「え、じゃぁ見た目は全て同じ赤いバラに見えるってこと?」
「その通り!きついだろう?
もちろん、金色のバラでないとタスク達成にはならない
赤色のバラは何本積んでも普通のバラと値段は変わらないのさ」
想像以上のタスクに、唖然とするシュン。
「地元の人でも、めったに近づかない場所なのよ」
「連盟が管理してるから入れないってのもあるけど、それだけじゃなく近寄るだけで幻覚がひどいの」
イストは知っていて、そこに行こうとしている。
「ただ、その100本に1本のバラ、女性にだけは見分けることができるっていうんだよ」
「え、なんだって?
じゃあ女の子ならわかるってこと?」
「その通りなんだよ、不思議とな
毎年1年に1回、ちょうど今の時期にこのバラは咲く
そして、黄金のバラ1本に対して支払われる報酬は、脅威の10万クランだ」
卒倒しそうになるシュン。
日当としては破格すぎる金額だ。
「それも当たり前なんだよ、
なぜなら、去年はそのタスクの達成者はただ一人しかいないのさ」
「なんだって?凄すぎるよ。
一体誰が?」
ライドンは一瞬だけ言葉に詰まり、
そして微妙な表情でシュンを見つめた。
「ステラだよ」




