第43話 欲しいもの
「だーーーーーーーーっ!!
負けた!!」
あたりにライドンの声が大きく響く。
シュンが目をやると、草っ原にでんと大の字で寝転んでいた。
「へへん!テンポスの若手最強律動師も、私の前では形無しね!」
イストはシュンが今まで見た中で一番嬉しそうな顔を見せていた。
腰に手を当てて、いかにも強者感を出している。
「シュン、決めたぞ
あと5日ほど休ませてもらおう
おれは修行する」
「ライドン、ステラさんに拍の修行が足りないって言われたばっかりだろ」
すぐさま嗜めるシュン。
「ぬぐぅ、
シュン、お前のそういうところ、良くないぞ」
「ノリが悪いというか、おじさん臭いし
改めるべきだな」
「確かにあんたって本当にくそ真面目よね
私も良くないと思う」
二人が揃うと、完全にシュンはやり込められる側だった。
「シュンの…真面目なところ…すごく好き」
タルネはいつの間にか、いつもシュンを弁護する側になっていた。
「おいタルネ、見てるだけじゃなくてお前も少しは投げろよ
そうだ、テンポス対オームの対抗戦といくのはどうだ?」
「賛成!
蹴散らすわよ、タルネも1ピンぐらい倒しなさいよね」
ライドンとイストは、同一人物かのようなノリになっていた。
ついこの間まで本気でいがみあっていたとは、とても思えない。
二人とも球を手に、やる気満々だ。
「あのさ、それよりちょっと話したいことがあるんだけど…」
「え、急にどうした?改まって」
「ライドン、花園のタスクって知ってるか?」
「…シュン、なんでお前がそれを知ってるんだ?」
ギョッとするライドン。
「私が話したの」
「イストのこと…連れてって欲しくて」
「えっ、わたし?」
イストが自分を指差す。
「突然何を言い出すんだ?タルネ
確かに今は六月で、タスクが出てる時期だ
でも、危険じゃないか?あの場所は」
なんの話をしてるのか全くわからないが、ひとまず話の腰を折るのは控えるシュン。
「しかもお前じゃなくイストが行くんだろ?
なんで…」
イストの方にチラリと目線をやるライドン。
「待って……
行くわ」
イストの瞳は強く決意に満ちていた。
「あの…イストさん、行くって言われても」
キッとライドンを見つめるイスト。
「連れてって、わたしの欲しいものがそこにあるの」
シュンは完全に置いてけぼりを喰らっていた。




