第36話 実技
実技の試験会場はテンポス聖拍院の裏の訓練場だった。
建物に囲まれた中庭のようになっていて、足下はよく固められた土だ。
周りには綺麗に木々が植えられてある。
指導員として、パイス。
あとは相方のステラがいた。
シュンにはライドンが付き添った。
「ステラさん、この度は命を助けていただき…」
ステラは手で制す。
「そういうのいいわ、無事でよかったわね
さ、やりましょ」
(すごいドライな人だな)
「試験といってもお前の実力をチェックするだけだ、よほどのことがないと不合格になることはないと思っていい」
(そうなんだ、優しいな)
「言っておくが、お前は特例だぞ
普通のドゥンバ使いならレベル150はほしいところだ」
「まずはステータスを見せろ
パラメータの部分までは隠していていい
もっとも、自分で見せたいというなら話は別だが…」
「いいですよ、名前だけで」
「ステータス、出ろ!」
AME:SHUNシュン
AGE:16(16才)
RACE:HUMAN(人間)
LEVEL:140
(…あ、上がってる)
「なんだ、16才でこれなら相当高いな」
パイスは関心しながら、横目でチラッとステラを見た。
「では試験の前に律動連盟の理念の話をしよう
我々の目的は、
『拍の探求』
『女神様の存在の確認』
『世界の平和と均衡』
『モンスターの討伐(救済)』
この4つだ だが、」
パイスはグッと力を込めてみせた。
周囲の空気全体が共鳴するように震えた。
彼の目の前にドゥンバが具現化する。
「末端である我々に要求されるのは、確実に4つめのモンスター討伐だ
つまり、強くあること
単純だろ?」
大地が唸る感覚。
ライブのような緊張感に、シュンは逆にワクワクした。
「はい、それならできます」
シュンの反応に喜ぶパイス。
「よし、貴様の武器を見せてみろ!」
「はい!」
下北沢のライブハウスのドラムセットが目の前に具現化した。
「おお!カッコいいな!」
パイスも興奮していた。
「いくぞ、基本のリズムをどこまでできるのか」
パイスは一定間隔で音が鳴る目盛りのついた計器のようなものを見せた。
針は120を指している。
「高音だけでいくぞ」
R.R.R.R.
LRLRLRLR
L.L.L.L.
RLRLRLRL
教則本のようなハンドテクニックの練習。
シュンも昔先輩にやらされたなと思い出す。
それにしてもパイスの正確なリズムに舌を巻くシュン。
「いきます!」
シュンは対抗して鳴らす
R.R.R.R.
LRLRLRLR
L.L.L.L.
RLRLRLRL
「微妙にヨレてるぞ!
さあ、テンポを上げてみせろ!」
130、140…150、160!
シュンの腕がついていけなくなってきた。
「うぅっ、もうダメです」
「まあ、そうだろうな
このレベルだと」
パイスも想像通りといった表情をしている。
「もういいんじゃない?」
ステラが割って入ってきた。
「えっ、これで終わりですか…?」
拍子抜けのシュン。
「いや、もう少しやりたかったが…」
ステラを見るパイス。
ジロリと見返すステラ。
「わかったよ、よし
じゃあ面倒な試験は終わりにして…」
「ゲームの時間だな」
「…えっ、バトルするんですか?」
驚くシュン。
「実力を図るには拳を合わせるのが一番だろ?」
「おい、ライドン なに突っ立ってる」
「えっ、俺も?」
「当たり前だろ!こっちも二人なんだから」
ステラもドゥンバを出していた。
青地に宝石が埋め込まれたような装飾の入った綺麗なドゥンバだった。
「いくわよ」
…なんて好戦的な先輩たちだ!!




