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第100話 ネリ 4

イストとタルネはテンポス聖拍院に出入りしていた。

ボスの計らいもあったし、パイスとステラが知り合いであるのも強力な縁故になった。


テンポスとオームではタスクの内容が大いに違う。

オームのタスクは草刈りだったり、老人の世話なんかもあって、律動師である必要がないものもかなり多かった。


自然、二人はテンポスにより多く来ることになる。

プレイヤータスク限定とはいえ、その内容はずいぶん充実してると言えたからだ。


「シュン、ライドン!」


すぐに気がつくイスト。


「イスト!よかった

花園で何かあったと聞いて心配していたんだ」


ホッとするシュン。

ライドンもニコニコしていた。


「ふふ、驚かないでね

花園のタスクにはわたしたちが終止符を打ったのよ」


「えっ、それってどういうこと?」


「花園の幻妖バラは、拍がおかしくなって病気に犯されていただけだったの

だからわたしたちで浄化したのよ

とっても綺麗な花になって安全な地域になったの」


鼻高々に調子良く話すイスト。

まさにご機嫌だ。


「おお、すげぇな

あの花園がなあ、どうやってやったんだ?」


ライドンも盛り上げる。


「ええと…それはもちろんあたしたちの強力な拍の力で…よ」


イストはタルネから歌のことは口止めされていた。

軽々しく先祖から受け継がれた秘術を口外してほしくないからだ。

もちろんシュンやライドンには伝わっても問題ない。でも、今日はどうやら部外者がいるようだ。


「その前に、その子誰?」


イストがネリに気づく。


「ああ、この子はネリだよ

ジルさんとの開墾のタスクで一緒になったんだ

テンポスに来たのは…」


はっとするシュン。


「わたしが来たのはその花園のタスクがやりたかったからです」


ネリは小さな声で呟いた。


「あら、そうなの?

もう少し早く来てたら出来たかもしれなかったけど…でもあれは本当に危険だからやめた方がいいわよ」


すでに花園を踏破してみせたイストは饒舌だった。


「そうですよね…」


ネリはさっきまで溜めていた涙を溢れさせてしまった。

小さな声でシクシクと泣いている。


「あのさ、ネリ

あのタスクは危険だったし明日また来てみようよ、いいタスクがあるかもしれない

イスト、君も何かいい案件があったら紹介してくれないか?」


「は?

なんであたしが…」


イストからすると筋違いな話ではある。


「あのさ、今会ったばかりの子にそこまでしてやる義理はないわよ

泣かせちゃったのは悪いかもしれないけど、花園が浄化されてカマンドのみんなは大喜びよ

あたしたちは良い行いをした

そうよね?」


まずい、イストを怒らせた。

シュンは自分のミスに気がつく。でももう遅い。

ライドンは横でニマニマしている。

彼にとってはステラへのお願いをしなくても良くなって肩の荷は全て下りているのだ。


「シュン、あなたね

あたしたちがどんな目にあってたか知らないでしょ?」


「いや、そうだね

悪かった

ほら、ネリも遠くからきて目的がなくなったら可愛そうだから」


イストは目を吊り上げる。


「何よそれ?あたしたちが悪いっての?

失礼しちゃうわ

タルネだって大変だったんだから」


タルネはきょとんとイストを見上げている。


「シュンさん、いいんです

わたしが我慢すればいいんですから

明日朝一で帰ります」


ネリは泣きながらその場から去ろうとする。


「ネリ、待ってくれ」


シュンはネリを引き留めた。


「あら、大事な大事なネリさんに行かれては困るわよね

ちゃんとサポートしてあげなさい」


シュンもその言い方はさすがに気になる。


「イスト、ネリは初めてここに来た

そこで仲間同士の諍いを見せたくない

やめてくれ」

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