魔法使いは死を予言する 2
『君は、本来此処で死ぬべき人なのか、考えて行動しなくちゃいけない』
ーーこのままでは、私が命を落とす事になるから気を付けてと言う事ですよね。
けれどーー
今まで、この物語に出てくる救える命は救おうと、迷わず行動してきた。それによって自分の命に危険が及ぶなど微塵も考えた事が無いだけにユウフェは途方に暮れていた。
放っておいたら、間違いなく王都を囲う結界がダークに壊され、沢山の人が死んでしまう。私のお父様や、その臣下たちも含めて数千人の犠牲者がでる。
でも、それを防ごうと行動してしまったら私は此処で死ぬかもしれないとなると…。
ーーどうしたら、私は死なずに、王都やお父様を救えるのでしょう。
私はサブヒロインとしての役割を終えたら、最後は北の魔王に嫁がなければなりませんから、死ぬのは困ります…。
それに、単純に、死にたくはありません。
ユウフェは勇者の姿を思い浮かべて、不安な心を落ち着けようと両手を膝の上で握りしめた。
まだ、勇者様のお役に立てたとは言えない。これから待ち受ける勇者様の過酷な運命に比べたら。私が今までしてきた事なんてちっぽけなもの。
魔法使いから死相が浮かんでいると告げられてから、自分の部屋に戻ったユウフェはベッドの上に腰をかけて両手で顔を覆った。
(誰かに相談…けれど……)
勇者様に相談をしたら、間違いなく勇者様は暫く王都に留まる。けれど、それでは後で勇者様の後悔が大きくなってしまう。
お父様に告げたら、私が無茶な事をしないように行動を制限されるかも知れない。
かと言って、不用意に力の無い人は巻き込めない。
途方に暮れていたその時、窓の外から赤い光が入ってきたので、ユウフェはふらりと立ち上がって窓辺に手をついた。
外を見ると、巫女が天に手をかざして次々と赤い光を打ち上げている。
まるで、前世日本で見た花火のように大輪の赤い花を咲かせる光は、綺麗で美しい。光の下には巫女と、隣に勇者の姿。
巫女 と勇者はその後、その場に暫く留まり、勇者は照れ笑いを浮かべていた。
ユウフェと居る時とは少し違うように見える勇者の横顔が、急に勇者を遠い存在に思わせた。
2人の後ろ姿を眺めながら、切なく軋む胸を誤魔化すように、ユウフェは胸に手を当て、口元にゆっくりと弧を描いた。
「流石に、お似合い過ぎです。勇者様」




