魔法使いは死を予言する
ーーパタン
勇者達の居る部屋を後にして、自室に戻ったユウフェは掌を開いて、握り込んでいた指輪をじっと見つめた。
引き出しから小箱を取りだして、そっと指輪を仕舞い込んでから、再び部屋から出る。
すると、向かいから紫色に金縁のローブを身に纏い揺らしながら、対面するように立つ人影に、ユウフェは足を止めた。
「貴方は… 魔法使い様」
(つい先程皆さんといらっしゃったのに…)
「えっと…」
先程紹介した名前を忘れてしまったのか、目を泳がせている。
「私はユウフェ・ヴィクレシアと申します」
「ぁあそうだ、そんな名前だった。
勇者の……」
「現在は、婚約者をさせて頂いております、以後お見知り置きください」
スカートを摘んで、ペコリと頭を下げたユウフェを、魔法使いは寝起きのボンヤリとした目で見ている。
ユウフェはニコニコしながら、「?」と首を傾げた。
「…、今日。泊まって良いって聞いた。
帰るのが面倒なくらいに眠たかったから……トイレに行くついでにお礼を言いに来たんだけど」
「そんな事お気になさらず!このお屋敷には沢山お部屋がありますので、お好きな所を使ってください」
「……月が、良く見える所が良いんだけど」
「それでしたら、屋根裏部屋の天井の窓から、お月様が良く見えるようになっておりますので、そちらへ寝具のご用意を致しますね!」
「…助かる」
魔法使いは少年のような外見で天然と言われているけれど、いざと言う時、頼りになる存在なのだ。
何かを要求する時には、後々意味を持つ要求をする。それが、ファンタジー小説に出てくる魔法使いと言うキャラクターなのでユウフェは何の疑問も持たずに頷いた。
「それでは、私はメイドさん達と、色々準備して参ります!
お手洗いの場所は、わかりますか?」
コクリと頷く魔法使いに、ユウフェは満面の笑みを浮かべてから、頭を下げてこの場を後にしようと身を翻したその時ー…
「これは、今晩のお礼なんだけど」
その声に、ユウフェは足を止めて振り向いた。
「??」
「君に、まだ薄く…だけど、死相が出てる」
「死相ですか?」
ーー死相とは、やはり、人相に死の近づいた様子が現れると言うあれでしょうか。
魔法使い様が言うのであれば、信憑性は高いですが…心当たりがありません。
ユウフェは、この物語で死ぬキャラでは無かった筈ですし…
「まだ…薄いけど、君は、本来此処で死ぬべき人なのか、考えて行動しなくちゃいけない」




