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2-2 探索

 久吾に魂色が見えるように、美奈の特殊能力に千里眼がある。

 遠くのものが見えたり、その対象に関する情報なども読み取る事が出来、時には未来を垣間見る事もある。その能力の一端を使い、株式の売買などを蔵人にさせていて、ちょっとした資産家なのだ。


 過去には中国を渡り歩き、シュイジンという名で失せ物探し等の占いをしていたこともある。日本に来てから久吾に合わせて(?)美奈と改名したそうだ。


 そんな彼女が、拾ったキーホルダーから持主の危機を感じ取ったのだから、すぐさま持主を特定しなければならない。キーホルダーからは、持主のとても怯えた思念しか感じられなかったそうだ。


 翌日、大弥は前日と同じ頃合に、通学路に居た。

 待つこと数分、昨日と同じ様に女子高生達がワイワイとやって来た。


 「悪い、訊きたいことあるんだけど」


 ぬっ、と行く手を遮った形の大弥に、女子高生達はビクッと身体を震わせ一歩引いた。こういうところが女子受けしないのだろうが、大弥は気にもとめない。


 「これ、君たちの中の誰かのじゃないか?」


 恐る恐るキーホルダーを見る女子高生達の中の一人が、


 「あ、美那子のだ」


 と答えてくれた。美那子とは、昨日バイトのため駆け足で去っていった子だ。


 「その子、ここにはいないのか?」


 「多分今日もバイト。急いで帰ってったし」


 ふうん、と大弥がキーホルダーをポケットにしまうと、女子の一人が


 「明日学校で渡しときますよ?」


 と声をかけてくれたが、大弥は


 「いや、ちょっと聞きたいこともあるから、直接渡すわ。バイト先ってどこ?」


 そう言うと、女子高生達がハハーンとしたり顔でニヤけた。


 「いやー、あの子彼氏いたんじゃなかったっけ?」


 「脈ないと思いますよぉ」


 などと言われたが、大弥は慌てて


 「ちがっ…! そんなんじゃねーよ。…てか、最近その子に何か変わったことあったとか、聞いてねーか? 誰かに狙われてるとか」


 ストーカーの可能性もある、と大弥は考え聞いてみた。すると、


 「…そういえば、バイトリーダーのおっさんがキモいって話はしてたかな…、やたら肩とか触ってくるとか」


 「あぁ、言ってたかも。奥さんも子供もいるのに未だバイトなんだっけ」


 「男子やオバさんには怒鳴り散らすクセに、若い女子にはめっちゃ優しいとか何とか」


 でも何でそんなこと訊くの? などと勘繰られ「ちょっとな」とごまかしたつもりの大弥は、とりあえずニヤニヤする女子高生達に美那子のバイト先を教えてもらい、行ってみることにした。


   ◇   ◇   ◇


 二駅先の駅前にあるリサイクルショップと聞き、電車に乗って改札を出た大弥の前に、久吾が手を振って現れた。


 「あれ? 久吾サン、どしたんすか?」


 「美奈さんに、大弥さんを手伝うよう言われまして」


 主がそう言ったのなら、何かあるのだろうと大弥は思い、よろしくッス、と言って、一緒に歩き出した。


 「あの店っす」


 二人でとりあえず入ってみる。二手に分かれて商品を見るふりをしながら店内を見回す。

 夕方なので、平日でも店内は少し混み合っている。


 大弥は中古本の棚前で美那子を発見したが、そのすぐそばでヒョロヒョロと痩せた眼鏡の中年男性が、彼女のそばにピッタリと寄り添っていた。

 特に会話をする訳でもなく、男は時々美那子の方を見てニヤニヤしながら作業をしていた。


 途中で他の若い男性スタッフが、その中年男性に声をかけた。


 「すみません肝島(きもじま)さん、この商品のジャンルって…」


 しかし肝島と呼ばれた男は質問の途中で


 「あぁ!? 前にも説明しただろ! お前なぁ、ボクの説明は! 一回訊いて! 全て! カンッペキに! 一回で出来るようになれっつったろ!」


 と怒鳴りだした。驚いて周りの客もその様子を見ているが、当人は何とも思っていない。たまりかねて美那子が


 「…あ、あの肝島さん、ここ覚えること多いんで、そんな風に言わなくても…」


 と言うと、肝島は態度をコロッと変え、猫なで声で


 「うーん、美那子チャンが優秀なのはボクが一番理解してるよぉ。でもね、アイツ使えないからねぇ」


 と言い放った。

 そこへ店長らしき人物が現れ、「おーい肝島君」と男を呼んだので、その場はとりあえず収まった。


 「…気にしないでね、大野君」


 美那子が先程の若いスタッフに声をかけたが、


 「…すんません、俺もうここで続けんのムリっす。店長に言って、今月いっぱいで…」


 大弥がそんな様子を立ち読みするフリをしながら見ていると、久吾にポン、と背を叩かれ、声をかけられた。


 「用事は済みました。帰りましょう」

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