8-4 観光?
「どこ行く? 私達もあんまり賑やかな所行かないから…」
繁華街に足を踏み入れながら、ふーちゃんがうーちゃんと相談する。
「そうねぇ、東京だと、シブヤやハラジュクが人気って聞いたわよ」
「あんまり遠くまで行きたくないなぁ…、あ! 少し先にフルーツたっぷり使ったパフェのお店があったよ!」
「ホント!? 行こ行こ!」
完全に女子の会話のふーちゃんとうーちゃんに、みー君とラファエルが後からついて行く。
「おい、ミカエル。僕らも行くのか?」
「え? 行かないの?」
「パフェだぞ! 僕は別に甘いもん食いたい訳じゃないんだ」
「いーじゃん、行こーよ」
全く…、とぶつぶつ言うラファエルだが、結局ついて行く。
◇ ◇ ◇
「申し訳ございません、お客様。当店ではお子様だけのご利用は、お断りしておりますので…」
店に断られてしまった。
「えー? じゃあどーする?」
するともっちーが、コソリとみー君に、
「ねーねー、あっちにゲーセンあるぞ」
と言うが、みー君は
「えー? きっとあそこも子供だけじゃ入れないんじゃない?」
そこへ、声をかけてきた人物がいた。
「お、みー君、だっけか?」
「ん? この声は………」
もっちーが反応した。刑事の石塚だった。
「シュージじゃん!」
うっかりもっちーが叫ぶと、みー君が「シー!」と言う。石塚は、
「子供だけでこんな繁華街をうろつくとは、感心しないな。最近おかしな連れ去り事件が起こってるってんで、俺達も巡回中なんだ」
みー君は、さっきの男達を思い出して「ああ」と言った。
「ほら、家まで送ってってやるから…」
「えー? せっかく遊びに来たのに…、………あ! そーだ! 石塚さん、ボク達に付き合ってよ!」
「え?」
みー君のお誘いに、石塚はちょっと心が動く。
「…ナルホド。付き添いの体で、堂々とサボれるな…。じゃあ、どこに行きたいんだ?」
「おい、ミカエル。何だ、その大人は」
石塚と話してると、ラファエルが乱入してきた。
石塚は「え!? 外国人!?」と驚いたが、日本語を話してるのに安心して、
「友達か?」
と聞くと、みー君が
「うん、まぁ、きょうだいみたいなもんかな。アハハ…」
と笑った。
「へぇ、兄弟…。今のミカエルってのが、みー君の本名なのか? 道理で顔立ちが日本人ぽくないと思った」
「アハハ…。そんなことより、ね! お願い! 一緒に来て!」
「お、おう」
石塚はみー君に手を引っ張られた。みー君はふーちゃん達のところに石塚を連れて行き、
「ふーちゃん! 大人の人、連れてきた!」
するとふーちゃんとうーちゃんが、
「やったー!」
「じゃあパフェ! 食べに行こー!」
ラファエルが一人、やれやれというポーズをしていたが、結局皆でさっきの店に戻っていった。
◇ ◇ ◇
「…いや、しかし、こんなキレイな子供だけで四人も揃って歩いてりゃ、攫って下さいって言ってるようなもんだな…」
パフェを美味しそうに食べる子供達を見ながら、石塚はそう呟いてコーヒーをすすった。
「このあと、どうするんだ?」
石塚が聞くと、みー君が、
「さっきのゲーセン、行ってみる?」
「ゲーセン? 楽しいのかな?」
うーちゃんが言う。
「分かんない。そういえば、行ったことないね」
ふーちゃんも言うと、石塚が、
「じゃあ行ってみるか? どのみち巡回ルートに入ってるからな。丁度いい」
皆で行ってみることにした。
◇ ◇ ◇
「ミカエル、これで勝負しよう」
ラファエルがレースゲームを選んだ。
「いいよ、やろう!」
二人がレースゲームを始めていると、ふーちゃんとうーちゃんが辺りをキョロキョロしながら、
「どれにする?」
「うーん…、あ! ねえ、アレ! カワイイし、面白そう!」
うーちゃんが指差したのは、白くて丸い形のリズムゲームだ。
先に遊んでいる女子高生達がいて、ふーちゃん達は並びながら、女子高生達のプレイを観察していた。
女子高生達は、割と高めの難易度でプレイしている。
「コレくらいなら出来るかな…。うーちゃん、どお?」
「…うん。たぶん、大丈夫。面白そうだね」
前の女子高生達が終わり、ふーちゃん達が進み出ると、女子高生の一人が、
「わ! このコ達、めっちゃカワイイ! このゲーム、初めてやるの?」
「うん」
プレイは何となく出来そうだが、カードがどうとかがよく分からなかったので、女子高生達に協力してもらい、とりあえずゲストプレイにした。
適当に曲を選択する。
難易度をいきなりEXPERTにする。
「え?」
女子高生達が驚く。ふーちゃんとうーちゃんがニコニコしていると、女子高生の一人が、
「えー…、いきなりそれはムリじゃないかな」
「大丈夫。さっき見てたから」
ふーちゃんはそう言った。曲が始まった。
「え!?」
ふーちゃんとうーちゃんが、息ピッタリにプレイしている。PERFECT表示が量産されていく。
「うそ………」
にわかに店内がざわついた。ふーちゃんとうーちゃんのプレイに、人だかりが出来ていく。
曲が終了した。ALL PERFECT。ふーちゃんとうーちゃんが「やったー!」とハイタッチで喜んでいる。
「え、すご!! マジで!? 何で!?」
「初めてのプレイって言ったよね!? 嘘でしょ!?」
女子高生達がショックを受ける中、二人は残りの三曲もEXPERTを選び、ALL PERFECTでクリアしていった。
多分ま◯まいです。