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7-2 呼出

 ((何ですか、ハチさん。藪から棒に))


 久吾が面倒くさそうに連絡を受ける。


 ((緊急事態だ。結界が相殺されて、攻撃受けてるんだ。早く来い!))


 え!? と、一瞬驚く。チラリと子供達を見る。

 もつこが見たがっていた子供向けアニメを、みんな夢中で見ていた。


 ((仕方ないですね、今行きます))


 そう言って、とりあえず子供達に声をかける。


 「ちょっと出て来ます。お留守番よろしくお願いしますね」


 「はーい」


 返事をしたのは、ふーちゃんだけだった。

 久吾は転移門(ゲート)を通って行った。


   ◇   ◇   ◇


 「来たか。悪いがすぐに結界張ってくれ。お前の結界の周波に合わせて、こっちも結界を構築し直す」


 やれやれ、と久吾が印を結ぶ。


 「何だっけ、とりあえず防御と、認識阻害だったか、あれで頼む」


 「二重結界は面倒なんですけどね…」


 久吾がぼやいたが、ハチは気にしない。

 蔵人が「?」としているのを見て、ハチが、


 「俺の方で作ってる結界は、電磁周波で構築してるが、コイツのは思念エネルギーで作ってる。ただ、久吾本人がいないと維持出来ないからな。今のうちに解析して、疑似的に同じ結界を作るぞ」


 なるほど、と納得し、羽亜人に連絡をする。


 『羽亜人、ファリダと大弥は大丈夫か?』


 『今、ファリダが敵と交戦中。ちょっと苦戦してる』


 『とりあえず、お前と大弥だけでも建物内に避難しろ。久吾さんが結界を張ってくれる』


 『了解』


 その旨をハチに伝えると、


 「アイツが苦戦たぁ珍しいな。本当に相手は人間か?」


 すると、再びドド…ン、と衝撃音が遠くの方で鳴った。こちらに衝撃はない。


 「もう結界を張ってるってことか?」


 「ええ」


 久吾に返事をもらい、羽亜人達が戻るのを待った。

 すると、


 『蔵人! 結界で入れないよ!』


 え? と驚くと、ハチが


 「久吾、結界広げてアイツら入れてやれ」


 すると、


 「ファリダさんも入れると、交戦相手も入りますが」


 ハチが、仕方ねえ、と言って


 『ファリダ! 一旦降りてこい!』


 『………』


 応答が無い。


 『………ファリダ?』


 蔵人も、


 『羽亜人?』


 『………』


 何があったんだ、とハチと蔵人が顔を見合わせる。

 すると、ノイズ混じりに、羽亜人から蔵人に通信が入った。


 『………ガ、…た、………大弥、………ダ、』


 『羽亜人、何があった!?』


 『……た! あ、繋がった! 大変だ! ファリダと大弥、攫われちゃったよ!』


   ◇   ◇   ◇


 とりあえず、戻ってきた羽亜人を迎え入れた。


 「………ごめん。一瞬のことで、反応出来なかった」


 敵がファリダの隙をついて、大弥を標的にした時、ファリダがそれを庇おうとしたら、二人まとめて捕らえていったそうだ。


 久吾が結界を張ったので、地下から美奈も現れ、話に加わる。千里眼で、大弥達の行方を追っている。

 蔵人は、ハチと共に結界の解析を急いでいる。


 「………北の方に向かってるわね」


 美奈が言うと、ハチが、


 「北か…。もしカスピ海越えたら、その先にあるのは、今は使われてねぇ旧ソ連時代の基地じゃねえかな…」


 「そこに何か、思い当たる節でも?」


 久吾が訊くと、


 「………いや、あって欲しくねぇんだが、…《一桁(ウーニウス)》ん中に、人間に技術提供してる馬鹿がいるんだよ。《(ヴァヴ)》の野郎…。時々ちょっかい出してくるから、俺アイツ嫌いなんだよなぁ…」


 ハチがぼやく。蔵人が、


 「…旧ソ連ですか…。嫌な予感がしますね…」


 「ああ。有名な特殊部隊があるが、それとは別の、得体の知れない組織…、《ヲスナズ》ってのと《(ヴァヴ)》が通じてるって話を、以前《(テット)》が教えてくれてな」


 そう話していると、美奈が、


 「…海を越えたわね」


 そう聞いたハチは、蔵人に、


 「とにかく、結界の解析は済んだから、急いで構築するぞ。あと、俺は蒼人を起動する。細かいメンテナンスは、事が終わってからだ」


 「はい」


 蔵人は仕事に取り掛かった。

子供向けアニメは、恐らくしょっちゅうタヌキに間違われるあの青いネコロボの映画版だと思われます。

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