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危険な森で目指せ快適異世界生活!  作者: ハラーマル
第2章:異世界の人々との出会い

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第86話:ゴーレム作り3

まあ、思いついたからにはやってみよう。

過去に失われたといっても過言ではない技術であるゴーレム作りを、昔の本1冊を参考に再現しているのだから、失敗してもおかしくない。

トライ・アンド・エラーの精神で頑張ろう。



カイトとポーラに、趣旨を伝えて、動きをしてもらう。

といっても、カイトがやっていたアクロバティックな動きは、ひとまず置いておく。

そりゃ、最終的にあんな凄い動きをできる、警備ゴーレムとか狩りゴーレムを作ることができたら楽しいとは思うが、今じゃない。


今回作りたいのは、人間と同じような動きをするシンプルなゴーレムだ。

もし可能なら、レーベルの手伝いや拠点内で物を運べるくらいのことができたらいいとは思うけど・・・


カイトとポーラと相談して、覚えさせたい動きを列挙していく。

普段意識せずにしている人間の動き —歩く、走る、しゃがむ、ジャンプする、座る等々・・・

改めて考えてみると、自分たちが普段している動きを挙げていくのは難しい。

魔石に命令式を書き込む工程は、最初にする必要があることに照らすと、書き込み忘れをした場合に、後から追加できないように思える。

つまり、例えば「歩く」という命令式を書き込み忘れると、歩くことのできないゴーレムになってしまうのだ。


そんな悲しい結果を招かぬように、実験段階とはいえ、必要と思われる動きを挙げていったら、かなりの数になってしまった。

これらの動きを、魔力を込めている最中に再現してもらい、イメージしていくことを考えると、魔力が先に満タンになってしまう。


そこで、先ほど成功したよりも、さらに込めていく魔力の量を制限して、魔力を込めるのに要する時間を伸ばしていく。

私がその練習をしている間に、カイトとポーラはスムーズに列挙した動きをこなしていけるように、役割分担をしてくれた。

途中、シャロンが「何してるの!?」と近寄ってきて、私たちの周りをグルグル回ってから、構ってもらえないと分かると直ぐにどこかへ行ってしまった。


本には、ゴーレムの形は人型に限定されるとの記述は無かったし、シャロンのような四足歩行型のゴーレムを作ることもできるかもしれない。

さすがに飛ばすことはできないだろうが、乗り物的に使えるかも?

・・・・・・いや、それをすると確実にマーラが拗ねるな。



私の準備も2人の準備も整ったので、試してみる事にした。

正しいやり方なんて分からないので、私の前で動きをしてくれる2人をゴーレムに見立てて、「ゴーレムがこの動きをできるように」と、イメージしながら、できるだけ込める魔力の量を減らし、魔力を込めていく。


カイトたちの動きが終わる前に魔力の注入が完了してしまうこと数回。魔力量を絞りつつ、魔力の注入が完了する前に、予定していた動きを全てすることができた。

果たして成功したのか・・・?


魔石を見てみると、魔力が最大まで込められたことを示す、濃い紫色に変色していた。

そして、これまでの練習時とは異なり、魔石に不思議な幾何学模様が浮かび上がっていた。


「・・・・・・成功、したの?」

「コトハ姉ちゃん! できた!?」

「・・・うーん、分かんない。魔石に変な模様が浮かび上がってるんだけど、成功したのかは、最後まで試してみないと分かんないかなー」


現状、魔力を込めきったと思しき魔石に、謎の模様が描かれているに過ぎない。

これが、無事に命令式を書き込み終わった証なのか、それ以外の何かを示しているのか、ただの不思議な模様なのかは分からない。

ただ、これまで魔力を込めただけでは現れなかった模様が、命令式を書き込もうとしたタイミングで、浮かんでいることから、成功したのだと一応結論付けた。



2人に何回か動きの実演をしてもらい、最初に成功したのと同じような模様が描かれた魔石を10個作ることに成功した。

この工程は一旦終了として、次の段階に進もう。



 ♢ ♢ ♢



ゴーレムの核となる命令式を書き込んだ魔石を作ることに成功し、ゴーレムの稼動エネルギーを溜めておく魔力を最大限注入した魔石は準備できた。

残りは、ゴーレムの身体を用意しなければならない。


この身体については、予め人形のようなものを作り魔石と合成することも、材料を積み上げておき合成することで、魔石に書き込まれている命令式の動きをすることのできる身体を自動で作る方法もあるらしい。

ただ、本によれば、後者の方法では意図していない体躯のゴーレムが完成することが多々あったとのこと。

・・・・・・確かに、さっきカイトたちにしてもらった動きをすることができる、というのが条件なのだから、必ずしも人間チックな体躯になるとは限らない。



というわけで、『土魔法』でレーベルほどの背丈の土人形を作ることとした。

土人形ではあるが、無事にゴーレムとなった場合、二足歩行で動き回ることになる。

本には用意する人形は、「頑丈であればよい」と書かれているのみだったので、腕や脚、身体に特に硬くした芯のようなもの —要するに骨だ— を用意し、その周りを土で覆っていく。

当然、『竜人化』フル発動で製作した。


この時、魔石に魔力を込める際に何度もやっていたからなのか、身体を巡る魔力の流れがよく分かったような気がした。

芯を作るときは特に魔力を両手に集中し、硬く強い芯を作ることを心がけた。



土人形の頭部には、命令式を書き込んだ魔石を設置する空間を作り、胸の部分には稼動エネルギーである魔力を注入した魔石を設置する空間を作っておく。

私が魔力を込めた魔石でどのくらいの期間、ゴーレムが稼動できるのか不明なことに加えて、魔石の魔力がきれた場合、空気中の魔素から魔力を充填できるのか、魔石の交換が必要なのか分からないので、胸の魔石設置場所は、開閉式にしておく。



こうして、いろいろ形を整えながら、土人形が完成した。

顔も無く、手は小さい子ども様の手袋をしたような2本指スタイル、足は三角形で、関節もないものだが・・・・・・

まあ、最初の実験なのだから、大雑把でいいだろう。



残るは魔石と土人形を合成し、ゴーレムを生み出す工程のみだ。

本を読んでもやり方は全くもって不明だが、やってみるしかない。




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[一言] なぜ急にアップしなくなったんでしょうか?続きが気になります。速く次の話をアップしてください
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