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危険な森で目指せ快適異世界生活!  作者: ハラーマル
第6章:龍族の王女

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第303話:インディゴの成長

ドランドと息子のベイズ、後はキアラにも協力を求め、騎士ゴーレムの増産を進めた。

騎士ゴーレムの核となる命令式を書き込んだ魔石は、書き込む作業に多くの騎士たちの協力が必要なことや、私の魔力の操作能力が向上し一度に多くの魔石に書き込みが行えるようになったことから、前に大量に生産してあり、まだ結構な在庫があった。

なので、ドランドとベイズには騎士ゴーレムの身体や武具を任せ、キアラが騎士ゴーレムの動力源となる魔力電池としての魔石に魔力を込めていき、私が仕上げの『ゴーレム生成の魔法陣』を使うという分担で進めた。キアラの練習も兼ねて、途中で交代もしたけどね。キアラも、まだまだ時間がかかるし、魔力の使用効率が悪いから連発はできないが、かなり上達したね。


騎士ゴーレムは、命令式の内容にアップグレードは加えられているが、型というか種類としては1つのみだった、基本型・通常型とでも呼ぶか。

王都で勢いに任せて作った、というか武具に着色した上で装備する武器を変えた、赤色の攻撃特化型や青色の防御特化型は、本採用することにした。できることなら、というか時間があればできるらしいのだが、本当はそれぞれ綺麗な着色を施したい。王都で作ったのは、武具に色つきのカバーを取り付けるというものだったので、戦闘を行えば壊れてしまう。一先ずは、それぞれの腕のみを赤色・青色に着色し、攻撃型騎士ゴーレムと防御型騎士ゴーレムとした。


とはいえ、それぞれの騎士ゴーレムに使われている核となる命令式を書き込んだ魔石は共通。攻撃面、防御面それぞれの動きは書き込んであるので、装備させる武具によって、対応した動きが出来るに過ぎない。つまり、特に攻撃に特化した動きを身に付けているわけでも、防御に特化した動きを身に付けているわけでもない。なので、特化型といっても、特に秀でた能力を有しているわけではないのだ。これも、このゴタゴタが落ち着いたら、それぞれ攻撃、防御に特化した動きを命令式に書き込み、本当の意味で特化型を作り出したい。それに合わせて、洗練された模様でも描き込みたい。


後は黒色。王都では何となく作ったが、正式に私や私の家族の護衛部隊として黒色の騎士ゴーレムを親衛部隊として採用することにした。まあ、見栄えというか格好つけメインだけど・・・

まあ、暇があれば戦闘における防御特化型とは別に、護衛特化?としての命令式の書き込みを考えてみてもいいかもしれない。黒色の騎士ゴーレムは、細かい模様とかは考えずに、身体から武具まで、真っ黒にする予定で、とりあえず何体か真っ黒の身体は作ってもらった。



 ♢ ♢ ♢



ドランドたちもさすがに疲れが溜まり、キアラの魔力も尽きてきたので、本日はここまで。明日以降も、とりあえずどんどん作る予定だ。


私はインディゴと一緒に、騎士団の訓練場にいた。屋敷に帰ってソファーに転がっていたが、インディゴに「一緒に行く!」と言われたのだ。とても断れない。最近は、あまり一緒にいてあげられなかったし。

インディゴは私のことをお母さんと呼ぶ。そして、本当に母親だと認識している。まだ5歳のインディゴに、彼の実の両親の話は、もっと大きくなってからするべきだろうし、今は母親としてできる限りのことをしたいと思っている。


「インディゴ。訓練場に何しに行くの?」


いきなり手を引かれて連れて行かれているので、彼が何をしたいのか分からない。


「訓練! お母さんに観てもらうの!」


とのこと。本当に明るくなった。

というか訓練? 最近、魔法に加えて基本的に体術や剣を習っているのは聞いてるけど・・・


「これは、公子殿下! それに、大公殿下。失礼いたしました」


訓練場に入ったインディゴに声を掛け、一緒にいる私に驚いて頭を下げた男性。白髪が目立ち、年を重ねたことは分かるものの、その佇まいや表情からは、老いなど感じさせない。


「頭を上げて、バッシュ。それより、インディゴはバッシュに会いに来たの?」


バッシュ。王都から帰ってから雇った騎士の1人だ。

騎士といっても、彼のメインの仕事は訓練の教官。彼自身もラシアール王国時代に、とある子爵家の騎士団に所属し、その子爵家では剣術の指南役としての地位に就いていたらしい。もっとも、その子爵家はラシアール王国の末期のゴタゴタで懐かしきランダル公爵の側に立ち、子爵本人は戦死。その子爵家は、そのまま取り潰し、というかカーラルド王国では爵位を得ることはなかった。


そんなバッシュだが、なんでもその子爵の先々代に恩があって騎士団に入り、指南役として鍛えていたとのこと。だが、子爵家の騎士団は、規律が緩く、一部の真面目な騎士たちが煙たがられる始末。バッシュも、最後の当主とは折り合いが悪かったそうで、子爵が戦死し、子爵家の騎士団が瓦解すると同時に、真面目な騎士たちと一緒に見切りを付けたらしい。そんな真面目な騎士たちも、同様にうちの騎士団に入っている。


そうして騎士団に入ったバッシュは、これまでマーカスがどうにか鍛えていた騎士団の剣術指南役として、日々訓練場で騎士たちをボコボコにしている。いや、彼の剣の腕は本当に凄いらしい・・・。私は、あるレベルを超えると違いが分からないんだけどね。

カイトの剣の腕がメキメキ上がっているのも彼のおかげだ。


そして、インディゴも彼に剣を習っている。


「うん! 先生に、『上達しましたね』って言ってもらえたから、お母さんに見てほしくって!」

「そっか。バッシュ、どうなの?」

「はい。インディゴ様が腕を上げられるスピードには、正直驚いております。種族上、元の身体能力が高いのはもちろんですが、飲み込みが早く、またとても真摯に、全力で取り組んでおられます」

「ふふ。インディゴ、頑張ってるんだね」

「うん! カイトお兄ちゃんみたいに、強くなるの!」


嬉しそうに胸を張るインディゴ。うん、かわいいな。


「それで、何をするの?」


インディゴがバッシュから褒められたのが私に伝えてきたのは分かったけど・・・


「はい。インディゴ様はいくつかの訓練メニューを行っておりますが、その1つである模擬戦を見ていただこうかと」

「分かった。インディゴ、頑張ってね」

「うん!」


インディゴとバッシュが、少し離れた位置に移動する。


「インディゴ様。まずは武器無しで行いますよ」

「はい!」


元気よく返事するのと同時、インディゴが翼を数回羽ばたかせ、一瞬でバッシュに肉薄した。

バッシュへ迫る中、身体を捻り右の拳を繰り出す。

だが、そこは熟練のバッシュ。身体を僅かに捻り、インディゴの拳を逸らし勢いを逃がす。そのまま右手首辺りを掴んだかと思えば、そのままインディゴを投げ飛ばした。


「ちょっ!?」



思わず声を出してしまったが、インディゴは再び翼を動かしたかと思うと、空中で綺麗に姿勢を正し、着地した。

同じような攻防が何回か続き、とうとうインディゴが着地に失敗した。まあ、バッシュは毎回投げ方や方向、投げる力を変えていた様だから、それに対応しきれなくなったのかな。


「ふんっ!」


その機を逃さず、初めてバッシュからインディゴに迫った。

そのまま、真っ直ぐにインディゴに向かって拳を繰り出した、かに見えたが、即座に拳を引いて、咄嗟に防御の姿勢を取ろうとしたインディゴを躱した。

そしてそのまま、


「勝負ありにございます」


一瞬でインディゴの後ろに回り、後頭部に拳を突き付けた。


「あっ」


うん、最後のは完全にバッシュのフェイントに騙されたな。


「あ、ありがとうございました」


そう言って、悔しそうにしながらもお礼を述べるインディゴ。

そして、インディゴが駆け寄ってくる。


「お母さん、どうだった!?」


少し興奮気味に聞いてくるインディゴ。


「うん、凄かったよ。パンチの勢いも、投げられてからの身体の動きも。頑張ったんだね」

「でしょ! でもね、いっつも負けちゃうの」


そう言って、再び悔しそうな表情を見せるインディゴ。


「そうだねー。少し、動きが直線的すぎるのかな」

「ちょくせん、てき?」

「うん。私は戦いのプロじゃないけど、インディゴの攻撃は、どこを狙ってるのかが分かりやすかったかな。逆に、最後のバッシュの攻撃には騙されちゃったでしょ?」

「うん。後ろからきた」

「ふふっ。バッシュ?」

「はい。大公殿下の仰せの通りですね。インディゴ様は、その身体能力は私を遥かに上回るものでしょう。私が負けるのも時間の問題かと。ですが、今のインディゴ様は、分かりやすいのです。攻撃も防御も。ある程度の戦闘経験がある相手にはまだ通用しないでしょう」

「むぅー」


悔しそうにバッシュを睨みつけるインディゴ。いや、それもかわいいな。


「インディゴ。まだ訓練を始めたばかりなんだからさ。インディゴはまだまだ成長するし、バッシュにも勝てるようになると思うよ。しっかりバッシュの言うことを聞いて、頑張ってね」

「うん!」


その後、剣を用いた模擬戦も見せてもらったが、概ね同じ感じ。ただ、剣という武器を用いるのには、より一層の訓練が必要そうだった。

とはいえ、まだ5歳。少なくとも自衛できるのはいいことだが、焦る必要などどこにもない。今日は、頑張ったインディゴを褒めてあげよう。



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