表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

6/28

第6話 暴力

 朝ごはんを食べながら雑談していた時。

 スマホからメッセージが来たことを知らせる着信音がリビングに鳴り響いた。


「誰からだろ……?」


 一旦会話を中断して、俺はすぐにスマホを確認する。


 送ってきたのはクラスメイトである玲奈れいなからだった。


 今日遊べる? と、質問をされている。


「今日か……」


 なんて呟きながら、チラリと咲茉えまの方を見る。


 別に、特別な用事などは無いが。

 俺が泊まっていけと言ったのだから、中途半端な時間に抜け出すのは彼女に悪い。


「ん? どうしたの?」


 ご飯を口に入れたまま、咲茉えまは尋ねてきた。


「……いや、今日遊べるか聞かれたからさ。断った方がいいかな、って」

「ふぅん。誰から誘われたの?」

玲奈れいな

「……な、」


 クラスメイトの名前を告げただけで、あっという間に咲茉えまの表情は暗くなった。

 怖いものを見るような、生気の無くなった目をしている。


「……どうしたの?」


 心配になって声をかけると、少し間を開けてから彼女はゆっくり口を開いた。


「…………だめ」

「……え、?」

玲奈れいなは……、」


 と、何か言いかけて、咲茉えまは口を閉じた。


 どうしてこういう反応をするのか。

 おおよその予想は出来る。


 多分、玲奈れいなにもいじめられてきたのだろう。

 傍観者でなく、直接手を出す方で。


 彼女はプライドが高く、カーストで言えばトップにいるような人物。

 玲奈れいながいじめを始めた可能性だってある。


「……ごめん」

「あっ、いや……、こっちこそごめん。アイツからは、その、暴力とかもあったから……」


 だから、特別苦手意識を持っているのだという。

 俺が貸したズボンの裾を少しめくって、足にあるアザを見せてくれた。


「普段は靴下で隠してるんだけどね……」

「あぁ……」


 どう返事をすれば良いのかわからなくなって俺が黙り込んだせいか、しばらく沈黙が流れる。

 

 よほど玲奈れいなの事が苦手なのだろう。

 未だに小刻みに体が震えて、うつむいている。


「……咲茉えま

「……ん、?」

「スマホ、持ってる?」

「持ってるけど……」


 何をするのか理解出来ていないようで、彼女は困惑しながらカバンからスマホを取り出した。

 それを受け取って、ちょっとだけ操作をする。


「はい、できた」


 そう言って、咲茉えまにスマホを返す。


「……蒼空そら

「うん。困ったら連絡して来いよ。勇気が出るかはわからないけど、出来るだけ助けてやる」


 カッコつけて俺が言うと、はじめはきょとんとしていた咲茉えまが突然笑い出した。


「ふふっ」

「……なんだよ」

「そこはいつでも助けてやる、って言った方がカッコ良かったのに」

「……うるせぇ。俺だって怖いんだよ」


 俺は恥ずかしくなって、彼女から視線を逸らす。


「……でも、ありがとうね。誰かがいてくれるってだけで、すごく心強い」

「……それなら、良かった」


 少しだけ咲茉えまの表情が明るくなったのを見て、俺はすごく安心した。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ