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第23話 結局何も

「おはよ」

「……朝かぁ」


 俺は咲茉えまに声を掛けられて目を覚ました。

 憂鬱な月曜日が来てしまったことに対してため息を吐きながら体を起こす。


「で、良さそうな案は思い浮かんだ?」

「……ん、?」


 寝起きでボーッとしているせいか、彼女が言っている言葉の意味を理解出来ない。

 天井を見つめながら静止していると、咲茉えまが呆れたように教えてくれた。


「ほら、二股しないための解決策みたいなの、考えるって言ってたじゃん」

「――――あぁぁぁ!」


 何のことか思い出して、俺は思わずそう叫んでしまった。

 だって、何も考えてないもん。


「……ごめんなさい咲茉えまさん。何も思い付いてないです……」

「……えぇ。まぁ思い付くとは思ってなかったけどさぁ……」


 いや、考えようとはしたのだが。

 たまたま目に入った漫画を読んでいたら眠くなってそのまま寝てしまったんだった。

 俺はとことんアホな行動をしてしまう。


「今すぐに考える。ちょっと待って……」


 そう言って頭を抱えて必死に考えるが、もちろん何も思い浮かんでこない。


「――――あぁ! まぁ、なんとかなるでしょ!」


 結局考えるのを放棄して、俺は立ち上がった。


「なんとかなればいいんだけどね。けどアイツしつこかったりするからなぁ……」

「大丈夫……」


 俺はぎこちない笑顔を向けて、震えた親指を立てる。

 見ている側からすれば、全然大丈夫じゃなさそうに見えるだろうと自分でも思うぐらい動揺しているのだが。


「ずっとここで居るわけにもいかないし、とにかく朝ごはんを食べよう」

「んー、心配でしかないけど……、まぁ、わかった」


 そう話を切り上げて、俺と咲茉えまはある程度の身支度を終えてから朝食を取った。

 朝ごはんはパン一枚。


 焦りすぎて、ごはんを準備したりする気力が湧かないからだ。


 正直自分の事が好きなのなら、ちょっとぐらい無茶を言っても聞いてもらえると思うのだが、俺は罪悪感を感じるのが苦手なのだ。


 ほんの些細な事でも自責の念にとらわれて、行動を後悔することもしばしばある。

 今回みたいに。


 だからせめて、余計なことはせずに綺麗にまとめて終わらせれるのが一番良いのだが。


「それじゃあ、行こっか」

「うへぇ……。ヤダなぁ……」

「まぁまぁ。多分ちょっとはマシになってると思うから」


 安心させるためにそう言ったつもりだったのだが、この言葉を聞いてさらに彼女は表情を暗くする。


「それはそれでちょっとなぁ……。みんなの視線が怖いというか」

「……まぁ、大丈夫!」

「まぁ、って言うの口癖みたいになってるよ」

「焦ったり緊張したら無意識のうちに出てくるんだよ」

「ふーん。とにかく上手いこと話つけてよね」

「……頑張ります」

 

 せっかく忘れかけていたのに咲茉えまにそう言われ、俺は重い足取りで学校へ向かったのだった。

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