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第五話 種族

 少し遅れました。

 レイニーside


 辺りが薄暗くなり始めた頃、報告に向かう。


 コンコン


「支部長、私です。」


「・・・入れ。」


「はい。報告の必要が、あって参りました。今日の昼頃、『リーナ様』御出になりました。」


「・・・!?」


「ただ、仮のカードを使用していたので、こちらも普通の対応を行いました。」


「それで、構わない。 他に変わった事はあったか?」


「それが、見知らぬ子供を連れていました。」


「そうか、まぁ我々から何かする必要はない。」


「分かりました。通常業務に、戻ります。」

 報告を終え、退室する。


(まさか、あの英雄に会える日が来るとは、しかし隣にいた子供は、何者だ? 少し調べるか?)


 考えながら廊下を歩く。


 ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 シンside


あの後は、夕食食べた。話しで、聞いたとうりなかなか美味しかった。見たことが無い料理だったので戸惑ったが。

 食べ終わって、部屋に戻り寝るまで、勉強する事になった。


「先ずは、文字の読み書きは、大丈夫か?」


「何か見た事の無い文字だけど、読み書きはできそうです。」


「なら、これはいいな? では、ここの宿で受け付けをしていた子の種族は、何だと思う?」


「・・・えぇ~と。獣人族?」


「まぁ、大まかにはそうだが。 正確には、『猫人族』だな。他にも、『犬人族』、『狐人族』などと、言う言い方が正しいから今から直しておけ。少し難しいのが、『鳥人族』と『ハーピー』だ。」


「どちらも、空を飛び遠くから見ると見分け辛いどちらも、腕が

翼の様になている 近づくと、結構速く直ぐに間合いを詰められるから、空に何か居たら警戒する事だ。

 対処法は、森に逃げ込むのが、一番だろう。あいつらは、狭い森の中は余り入って来ない。弱い内に草原で出会うと最悪、簡単にやられる事がある。足で、掴んだ石を空から投げて来る事があるからだ。」


(確かに、草原だと隠れる場所もない。弓とか魔法が無いと一方的にやられそうだ。)


「見分けかたは、体に装備や服を着ているかと、手の形だ。ハーピーは、3本指でメス個体だけだ。」


「確かに、遠いと見分け辛い。」


「そうだ。だから、常に警戒を怠るな。っと、話しが逸れたな。この世界に、存在する種族についてだ。」


「先ずは、『獣人族』だ。これは、獣の特徴を持つ人の総称だ。普段は、余り使わないし蔑称として使う者も居るから、彼らの中にはそう言われるのを嫌う者も居る、だから余り使うな。」


(やっぱりこの世界にも、そういった人間が居るのか。この手の奴は、どこの世界にも居るんだな。)


「まぁ、その手の奴は構うな。

 誰かを貶めないと、己が上だと示す事も出来ない小物だ。

 己の『弱さ』を、認められず、常に誰かを貶めなければ安心出来ない奴だ。

 だがそれが、己の品格を穢している事にも、・・・気付かない。

 どうしようも無く、哀れな奴らだ。

 シン、お前は己の『弱さ』を認める強さを持て。『弱さ』を自覚するから、『強くなりたい』そう思えるだ。」


「分かった。」

(確かに、そうかも。弱さを認める強さをか。)


 俺の、返事に笑顔で頷きながら頭を撫でる。


「っと、種族についてだったな。種族は、大体9種族ある。」


「1つ目は、さっき言った『獣人族』 基本的に肉体的に優れていて近接型が多く、魔法適正が低い。そして、元になった動物によって能力にばらつきがある。」


(いろんなのが居るから、当たり前が。)


「2番目は、『エルフ』だ。見た目は人間と大して変わらない。違いは、耳が人間より尖っている事とだな。 私は、ここだな。」


 そう言いながら、髪を掻き上げて耳を見せてくれた。


(やっぱり人より尖っている。)


「後は、エルフの上位種の『ハイエルフ』がいるが。また、今度だ。」


「能力は、『知覚能力が高い』事、『魔法適正が高く』、『俊敏性』などと、引き換えに『力』や、『耐久力』が低い。後は、『長命』だな、大体500年位で最長で1000年だ。」


(だとしたら、リーナは何歳くらい何だろう?)


「今、失礼な事を考えたな?」


 とっさに、そっぽを向く。


「私は、そこまで歳を重ねてなどいない。大体150歳くらいだ。」


(エルフにしたら、確かに若いだろう。)

「リーナは剣もかなり強かったと、思うけど?」


 それを、聞くと少し微笑んだ。


「急な話題転換だがありがとう。よく見ていたな。 あれは、身体能力強化魔法の『フィジカルブースト』だ。他にも、風魔法などを同時に使用している。」


「たから、近接能力の低いエルフでもあんなに強かったの?」


「そうだ。 だが、私の様にわざわざエルフで、近接能力をここまで高める者はまずいないだろう。

 それくらいなら、多くの者は魔法や弓の訓練をするからな。」


(得意分野を伸ばすのは、確かに効率的だろうし。)


「この同時に複数の違う魔法使う技を、『複合魔法』と言う。複数だから、制御が難しく出来る者は多くは無い。特に近接戦闘で、それを使いこなす事が出来るのはさらに少ないからな。」


「これでは、話が進まないな。 次だ。」


「3番目は、『ドワーフ』だな。 彼らの一部は、物づくりを専門にしているが、殆どが鉱山の採掘をしている。だが希に、冒険者になって旅を、している者もいる。 能力は、『力』が結構強く、かなりの『耐久力』があるし『魔法適正』も、エルフ程では無いが、そこそこ出来る。 後は、見た目は小柄でガッチリした体が特徴だ。」


(それを、聞くとドワーフって結構強そうだな。)


「4番目は、『翼人』だな。  彼らは、基本拠点としている国『アルガス』から動かない。彼らは、神に直接遣える存在で、その国に神が暮らす世界への門があり、そこの門番をしている。」


「能力は、門番だけあって全体的に高く、力はドワーフより強く、俊敏性は獣人より高く、魔法適正はエルフより優れている。だが、数が少ない。 容姿は、人の背に鳥の翼が生えた感じだ。」


(翼人かなり強いな。一度あって見たいな。)


「5番目は、『小人族』だ。 彼らは、基本的ドワーフと暮らしていて、同じように物づくりが得意だ。ドワーフは金属を、小人族は布や皮製品が得意だし。他にも、ハウスキーパーの様な事をしている。 後は、錬金術が得意で殆どの者が使える。」


「名前の様に、小柄で1番非力な種族だ。魔法は、人族くらいしか使えないな。 容姿は、人と変わらずに、ドワーフより少し小柄で細いな。」


(そういう種族も居るのか。)


「6番目は、『巨人族』だ。 彼らは、この大陸には、いないから合う事は、無いだろう。 そして、独自の高い技術を持っている。 能力は、『力がかなりに強く』、『魔法適正も翼人並みに高い』。」


(へ~。だとしたら1番強そうだ。それに、どのくらいの、大きさなんだ?)


「容姿は、人族と変わらない。 身長が一般人で、3~7メルトで、王族が、10~20メルトぐらいある。 王族に近い程、躯が大きくなる。」


「・・・デカ!!」

(デカ過ぎだろ!! 街とかどんだけデカくなるんだ?)


「あぁ。確かにデカいな。」


「7番目が、龍族だ。 能力は、他より圧倒的に強いな。

 容姿や全長は、様々で、意思疎通が出来る者のことだ。中には、人化する者もいる。 龍の姿で、意思疎通が出来ないのは、亜龍種と言う」


(なんか、定番だな。)


「8番目が、『異形種族』だ。 これは、範囲が広く姿形が普通と違うが、しっかり自我があり意思疎通が出来る者の。そして、国に属する者たちの事だ。 例えば、アンデットの『リッチ』や『バンパイア』、全く別の不定型生物の『スライム』でさえも。」


(それは、確かに範囲が広いな。 一体どんな国なんだ?)


「その国には、神の1柱で、あの世の管理者の『転生神』に遣えている国だ。そして国のどこかに、あの世への入り口があるらしいな。」


「その国の名前が、『水月の国』と、言われている。」


(あの世か、何か色々と逸話がありそうな国だ。)


「そして最後は、『人族』最も数が多い種族だ。能力は、高くなく平均的。種族の強さは、下から2番目。シンは、ここだな。」


「うん。」

(そう言われると、確かに強くは無い。)


「普通に暮らすには、大して困らないだろう。

 だが、シン。・・・お前が、旅をしたいなら、くもっと強くなって冒険者としてやって行けるくらいに、ならないと厳しい。」


(この世界は、過酷だ。強くならないと生き残れないし。

 リーナの言うことは、きっと正しいのだろう。

 弱ければ、・・・自分も、大切な人も守れない。

 リーナに守れるだけの存在には、なりたく無い。俺は、・・・彼女に認められたい!)


 覚悟を決めた。 こんなに、強く誰かを思ったのは、初めてだ。


「・・・お願いします。オレは、強くなりたい。」


「分かった。 先ずは、私の知り合いに稽古を付けてもらうか。それまでは、私が見るからな。」


「分かりました。お願いします。」


 これから、過酷な道を歩く事になるだろう。 

(だけど、何もせずに『後悔する』事だけは、したくない。)


 そんな、思いが俺の背中を押していた。


「今夜の、勉強はここまでだ。明日もやる事があるし、早く寝るぞ。」


 そう言われ、ベッドに入る。


「おやすみなさい。」


「あぁ、おやすみ。」


 そう言い、頭を撫でてから灯りが消された。

 そして、目を閉じる。すると、彼女が囁く様に歌っている。


(これは、子守唄?)


 その歌は、自然と耳に入り安らぎを感じる。

 次第に、睡魔が押し寄せるなか見たのは。


 青白い月明かりに、照らされる。

 リーナの、後ろ姿だった。


 ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 リーナsaid


シンが眠りに就いたのを確認した。


「これから、過酷な茨の道を歩む事になってしまうな。」


 窓の外を見る、外には青白い美しい二つの月が微かに、シンを照らし出す。


「シンは、まだ幼く長旅には耐えられないだろう。」


(そうだ。 なら、元々会いに行く予定だったし。あいつの居る村に、しばらく厄介になるか? あいつに、頼めばどうにか成るだろうしな。)


「そうと決まれば、早速連絡お取ろう。」


 直ぐに手紙を、書き上げ宿の裏庭に出る。

 月明かりが辺りを照らし、涼しい夜風に髪が揺れる。


「風の精霊よ、我の願いに答えよ。」


 すると、風が僅かに逆巻きそこから大鷹の姿をした精霊が姿を現す。


「久しぶりだな。」

 その精霊を撫でながら声をかける。


 ピルルルー! 


 見た目こそ『普通の鷹』で可愛いが、これでもそこそこ強く賢い良い子だ。


「この手紙を、ガルドに届けてくれ。」


 

 手紙を渡すと、体に取り込み飛び立ち。

 

 ピィーー。


 しばらく上空を旋回したのち、一鳴きして夜空に消えて行くのを見送った。

 

「これで準備は、あと少しか。」


 近くの椅子に座り、月を見上げる。


(あの子は、どんな人生を歩む事になるだろう。 わざわざ此方の道を、選ば無くても普通に生きて行けば良い物を。)


(・・・それに、この道はあの子に人より過酷な運命が、待っている。そんな気がする。)


「そろそろ、戻るか。」


 シンの眠る部屋へ向かって歩き始める。


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