わたし、演じるから。
溶けていく三日月に気付いた
満月の面影は遠くて
隣りにいるのは金星なの?
あんなに笑って笑って
わたし、優しくなるから。
二つの間を飛行機が割って
赤く漂う明かり光り
刹那の構図は美しくて
見なければ見えないから
通りすがりの猫と見つめ合った
怯えて逃げるのは本当は
猫ではなくてわたしで
飛行機はもういなくて
それから空は見ないで
わたし、演じるから。
スタートはわりと上手くいって
きわめつけはあの子のセリフで
台本にはなかったからどきりとして
なぜだか輝いて輝いて
同時に震えるほどすくわれて
わたし、
わたし、演じるから。