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冒険者の武器は「剣」なのか?

――冒険者の持つ「武器」は、やっぱり剣なの? それでいいの?


 冒険者は、どんな武器を持っているでしょう?




 真っ先にイメージされるのは、「剣」ですよね。

 (剣といえば「ソード」が基本ですが、やはり日本の作品には「カタナ」も少なくありません)


 しかし武器の種類はいろいろあります。

 メジャーなものだけでも、槍(スピア)、斧(アクス)、鎚(メイス)などがありますし、マイナーな武器はもっと多種多様です。




 さて、ここからはちょっとだけリアルに寄せて、冒険者の武器を考えてみます。

 そもそも武器とは、道具です。

 つまり、武器選びは、道具選びなのです。

 道具を選ぶときにポイントとなるのは、機能です。ユーザーの求める機能をもっとも満たしてくれる道具が、良い道具なのです。


 冒険者が武器に求める機能、それは「戦いに強い」ということです。

 では、もっとも戦いに強い武器が「剣」だから、冒険者たちは剣を持っているのでしょうか?


 いいえ、違います。

 あえて細かいことを抜かして言い切ってしまいますが、もっとも強い武器は「槍」です。私たちの世界の歴史を振り返ってみれば、どうやらそれが事実のようです。


※ ここでは弓などの飛び道具は除外しています。同じように、魔法なども除外しています。


 俗に、「剣道三倍段」などと言います。これは剣道と、空手や柔道などの素手の格闘技が戦うとき、素手は剣道の3倍の段位が必要、という意味です。

 剣道が初段の人となら、空手か柔道が三段の人でようやく互角になる、ということです。


 槍と剣も、似たような関係性です。

 別に「槍術三倍段」という言葉はありませんが、槍術がレベル1の敵と戦うには、こちらは剣術レベル3でようやく対等、というくらい剣よりも槍のほうが強いのです。




 さて「ペンは剣より強し」ならぬ「槍は剣より強し」という話なのですが、ではなぜ、物語に登場する冒険者は、こぞって剣を持っているのでしょうか。

 それはカッコイイからです。


 そう、剣は見た目がカッコイイのです。

 槍もカッコイイのですが、剣はもっともっとカッコイイのです。

 そして作品の登場人物が持つアイテムであるからには、カッコイイ(カワイイ)かどうかは、とても重要です。

 (主役級の冒険者は、美男美女が多いですよね? 同じ理由です)


 ちょっと昔の話ですが、iMac(アイマック)というパソコンが売れた時期がありました。

 機能的にはとても中途半端で、そのくせ安いわけでもないのに、よく売れました。

 なぜ売れたのか?

 そう、デザインがお洒落だったから。カワイイ(カッコイイ)から売れたのです。

 道具に大事なのは機能だと言いましたが、カッコイイ(カワイイ)というのも、実は機能の1つなんですね。


 なら、やっぱり冒険者は剣を持つのでしょうか?

 いいえ、それは違います。

 なぜなら冒険者にとって武器とは、命を預けるものだからです。

 これから冒険に出るときに、「槍だったら生きて帰れる確率は80%だけど、剣だったら40%だよ」と言われて、あえて剣を選ぶ人間がいるでしょうか?

 もちろんカッコイイ(カワイイ)に越したことはない。でも、生きるか死ぬかという世界では、それは二の次・三の次になるのが当然というものでしょう。




 では、冒険者は槍を持つべきなのでしょうか?

 その答えは、イエスであり、ノーである、という感じです。

 なぜなら槍を持ったからといって、剣を捨てる必要はないからです。


 そうです。冒険者たるもの、剣と槍の両方を持つべきなのです。


 すでに言った通り、槍は強いです。剣よりも強い武器です。

 ゴブリンと戦うとき。

 ドラゴンと戦うとき。

 人間と戦うときにも。

 冒険者は、その手に槍を求めるでしょう。そのほうが強いから、生き残る確率が上がるからです。


 しかし、槍にも欠点があります。


 まず、取り回しが大変という問題です。

 狭い場所、たとえば建物の中だったり、地下迷宮の中だったり、木々の多い森の中だったりすると、存分に振り回すことが出来ません。


 さらに、携帯性が悪いということもあります。

 冒険者といっても、24時間365日、ずっと冒険しているわけではありません。拠点となる町の酒場で酒を飲んだり、裏町で賭け事に興じたりしていることも多いです。そういうときに槍を持ち歩くのは、不便です。

 町の中は基本的に安全ですから、そこで槍を持ち歩くと、ちょっとした不審者です。町の治安を守る警備隊に見つかったら、没収される可能性もあります。


 そういうときに、剣の出番です。

 狭い場所では、槍よりも剣のほうが強くなるシチュエーションは多々ありますから、そこでは当然、剣を抜きます。

 さらに、町の中でも腰に剣を下げているくらいならそれほど邪魔じゃないし、警備隊もうるさく騒いだりしません。

 そして何より、カッコイイ武器である剣を所持することは、ファンタジー世界に生きる冒険者にとって、とても大事なことなのです。




 ちなみに、剣と槍の関係を、現代の武器に例えるなら、拳銃|(ピストル/ハンドガン)と、突撃銃|(アサルトライフル/マシンガン)でしょう。

 剣が拳銃で、槍が突撃銃です。


 戦闘力においては、拳銃よりも突撃銃のほうが上です。まさしく「突撃銃三倍段」とでもいうくらい、拳銃よりずっと強力な武器です。

 しかし、いくら強力でも、たとえば警察官が町中で突撃銃を携帯しているでしょうか?

 軍人にしても、任務中以外で、常に突撃銃を携帯しているでしょうか?


 やはり携帯されているのは、拳銃なのです。そして、いざ戦場に出るときには突撃銃も装備するのです。

 同じように、冒険者が携帯するのは剣なのです。そして、いざ冒険に出るときには槍も持って行くのです。


 槍をメイン武器とし、剣をサブ武器として、冒険の旅路を行く。それが冒険者というものなのでしょうね。



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