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第5話 運命を分ける”歯”車

ミリアたんが専属メイドになって早4年目。つまり、俺は5歳というわけだ。


普通、貴族の三男坊にはあまり教育に手間を掛けないはずなんだが、両親の愛情一杯の俺は厳しく躾けられてる。

いや〜両親の愛が重いぜ。


だが、精神年齢オーバー40アンダー100の現代日本から転生者ゲオルグ様は伊達じゃないぜ。食事の礼儀作法は既にマスター済みだぜ。なんたって、箸が使えるからな。


えっ、何言ってるかって?

だってこっちの世界にも箸文化があるからよ。なんでもルイン王国建国前に”魔王”が異界から”異形なるモノ”たちを召喚して世界征服に乗り出したらしい。”異形なるモノ”の力は凄まじく、世界は闇に覆われる一歩手前だったみたいだ。そこへ何処よりか現れた聖人キサラギとお仲間様一行が”異形なるモノ”たちを調略して形成逆転。聖人キサラギ、”異形なるモノ”たち、レジスタンスの連合軍を前に”魔王”軍は完全敗北。”異形なるモノ”たちは元の異界へと帰り、レジスタンスの有力者達は新たな国を起こした。その1つがルイン王国であり、アンタレス帝国ってわけだ。で、聖人キサラギは”魔王”との戦後は何処かで隠棲したらしいが、食に関しては貪欲で、食器やらレシピやらをやたら残してそれが現在の貴族社会の礼儀作法にも繋がっているわけだ。箸1つでも壮大な話だぜ、まったく。


あとゾルゲン家は聖人キサラギの自称子孫を遠縁としており、稀に俺みたいに聖人キサラギの加護を得られる奴もいるみたいだ。


で、食事の話繋がりで異世界での最優先は何かって言えば分かるだろ?

醤油、味噌、お米、ポテフラ、マヨネーズを思い浮かべる奴は三流さ。異世界でのリスクマネジメントがなっちゃいない。

虫歯のリスクさ。はっ 虫歯だって?なんて油断しちゃいけねよ。何せ3つのリスクがあるからよ。

1つ目は、たかが虫歯と言えど、放置しておくと菌が血流を巡って病気を引き起こして、最悪死に至る。これは現代日本でも同様だからな。

2つ目は、まずロクな歯医者がいない。歯の治療には麻酔とドリルなどの道具が必要だが、どっちもない。また治療ノウハウも確立してないし、最悪、虫歯の治療で死ぬ事だってある。これも現代日本でも虫歯の治療で死んだ事例はある。中世ヨーロッパじゃ、虫歯治療は公開処刑の1つだったし、尚の事だ。

最後の3つ目が最も重要だ。俺は歯医者が嫌いだ。あのドリルで歯が削られる音が嫌いだ。変な苦い薬液で口の中を満たされるのが嫌いだ。これは例え、現代日本でも同様だからな。


ってわけで、俺が最初に取り組んだ事、それは虫歯のリスクマネジメント、つまり予防歯科だ。虫歯にならなければ、虫歯によるリスクを期にする必要はない。


じゃあ、どうすればいいかって?


予防歯科専用魔法の開発さ。虫歯の発生メカニズムは粗方分かってる。

要はお口の中に食べかすが残ってると虫歯菌が繁殖しやすくなる。歯垢、歯石が最たるものだ。あとはお口の中のpH濃度。酸が強すぎると歯が溶ける。


これらの原因を取り除けば、リスクの95%は解消できるはずさ。


結果、開発した予防歯科専用魔法は以下の3つ。


1つ目は口内浄化洗浄水球〈マウスウォッシャブルクリーンウォーターボール〉。水魔法と治療魔法を複合してお口濯ぎに最適な除菌効果と酸濃度を持つ水球〈ウォータボール〉を作り出す。まあ要は水魔法の水球〈ウォータボール〉の応用系だ。勿論、お口だけじゃないぞ、切り傷を洗い流す時にも応用が効く。


2つ目は口内洗浄〈マウスウォッシュ〉だ。これは読んで字の如く、1つ目で作り出した口内浄化洗浄水球〈マウスウォッシャブルクリーンウォーターボール〉を使用しての口内洗浄だ。適切に口内の水流を制御して優しく確実に歯垢、歯石を取り除く水魔法だ。なんで、1つ目と分けているかというと、繊細な魔力制御が求められるのと普通の水でも対応できるようにしたからだ。


3つは上の2つや通常の歯磨きで除去できない歯石の除去の為の魔法、歯石除去〈トゥースストーンリムーバー〉。土魔法の土石操作を応用し、極め細かくかつ力強くも歯茎を傷つけないように歯石を除去する。尤も、歯の裏側など死角部のケアの為にもう1つ鏡面反射〈ザ・ミラー〉と名付けた光魔法を併用する必要がある。鏡面反射〈ザ・ミラー〉の説明については又の機会に。


えっ?鏡面反射〈ザ・ミラー〉をカウントすれば4つだって?いやいや、数が数えられないのか?って。


えっ?別の目的で開発したからカウントされてないんだろ?って。いやいや ミリアたんの絶対領域を覗こうとしてなんかないんだからね。決して疾しい気持ちじゃないんだから。純粋なリスクマネジメントの結果だから。偶々、鏡面反射〈ザ・ミラー〉にミリアたんの絶対領域が写りこんだだけなんだから。


あっ 止めて デルたん。

ミリアたんに言いつけるのは⁉︎


というわけで、ゲオルグ君、早くも5才になりました。

そして、書溜め分はここまで。次話以降はボチボチと書いていきますのでお付き合いのほどよろしくお願いします。

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