7/16
幕間 ミリアの事情
私、ミリアは12才の時からゾルゲン伯爵家にお仕えし、今年で4年目になる。
お仕えする切っ掛けはゾルゲン伯爵の奥方であるエカテリーナ様の侍女長マリアさんの紹介によるものだ。詳しい事は知らないけど、マリアさんと私のお母さんは古くからの知り合いらしい。お母さんが病気で働けなくて生活に困っていた私に働き口としてゾルゲン伯爵家の見習いメイドを紹介してくれた。
お父さんは街の職人だったけど、ゴロツキとのイザコザに巻き込まれて私が小さい頃に呆気無く死んでしまった。お母さんはハーフエルフで綺麗なんだけど、ハーフエルフってだけで蔑む人がいて仕事が無くて苦労したみたい。その苦労がたたって、病気になってしまった。病気のお母さんの為に今、職を失うわけにはいかなかった。
この前、ゲオルグ坊っちゃま、いえゲオルグ様が3日間お目覚めにならなかった時、私が最後に接したからか、私がハーフエルフの娘なのか、私の所為だと疑いを掛けられて軟禁された。
その時は世の不条理を恨んだ。どうして、私だけ、こんなに辛い目に合うのか。このまま、ゲオルグ様が目覚めなければ、無惨に殺されてしまうのかと。
でも、ゲオルグ様が目覚めて一変した。ゲオルグ様が私を庇ってくださったおかげで御屋敷でまだ働ける事になった。ゲオルグ様の専属メイドと言うことで給金も上がった。これで病気のお母さんにもっと栄養のある食事を食べさせてあげられる。
ゲオルグ様には感謝が尽きない。ご領主様の前で誓った通り、全身全霊でお仕えします、ゲオルグ様。
だから健やかに成長して下さいませ、ゲオルグ様。
ところで、〈小精霊〉のデルタン様が私にも魔法の教育をするというのは、どういう意味なんでしょう？
