1/13
プロローグ
「お坊ちゃま、お嬢様、お待ちください」
「ごめんゾルガス、もう我慢できないよ。オヤジとオフクロによろしく言っといて」
「わらわも行く。こやつに負けるわけにはいかぬ」
年老いた紳士に、小さな少年と少女。
そこはこの世界のどこでもない奇妙な大自然の中の大きなお屋敷。
幾重にも装飾された荘厳な門の外へ二つの小さい影が駆けてゆく。
老紳士はそれに追いつくことができず、諦めて二人を見送ることにしたようだ。
「お体にはお気をつけてくださいね」
「ああ、わかってる」