第4話 ~ルルリ目線~
早く出来上がったので投稿します!
今日も20時投稿はあります!
この前、私とヒマリはめでたく1歳の誕生日を迎えたが、転生してから1年弱は経ったのにまだ私たちは、自分の部屋以外はほとんど行ったことがなかった。そこで、
「ルルリ、探検しない?」
と、ヒマリが、聞いてきた。確かにこの部屋以外はどうなってるか気になってはいたけど"探検する"なんて発想は私にはなかった。
「探検?」
「そう、探検!まだこの家のことこの部屋しか知らないじゃん?歩いてみようよ。」
「うん」
私もこの家がどうなってるのかは気になっていた。
だから、侍女の目をぬすんで私たちは部屋から抜け出した。廊下を歩いていると図書館が見えた。
「家の中に図書館がある…ルルリ、すごいね!」
午後の図書館は、静けさに満ちていて、高い窓から差し込む光が、本棚をやわらかく照らしている。
ルルリはゆっくりと歩いていた。いつもより歩幅を小さくして。
階段を少し上がったあと、少しだけ息が上がっていたからだ。前世ではこんなことなかったから、赤ちゃんだからだと思っていたけどヒマリは普通に歩いている。一年の間に活発に運動したあとの日は体調が悪かったし、多分、ルルリの体は弱い。
「大丈夫?」
隣を歩くヒマリがのぞき込む。ヒマリもルルリの体が弱いことはなんとなくわかっている。
「平気」
落ち着いた声でいったけど、指先は少し冷たかった。ヒマリは気づいている。
けど、あえて何も言わなかった。
⸻
本棚にはいろいろな本があった。
植物の本、動物の本、物語、昔からの言い伝えの本まであった。
すると錬金術の本棚があった。少し気になったから
分厚い本を引き抜こうとした、そのとき。
上の段から、別の本が滑り落ちて、ヒマリの真上だ。考えるより早く、ルルリの手が動いた。
小さく、青い水が生まれ淡い光を帯びた水が、本を包み込む。
落下の勢いをやわらげ、静かに床へと下ろす。
完璧な制御。これは、ほんの一瞬の出来事だった。
――その次の瞬間。
視界がぐらりと揺れ、胸の奥がきゅっと締めつけられた。
「……っ」
足に力が入らない。
「ルルリ!」
ヒマリがとっさに抱きとめる。
「ルルリ、軽い、私でも支えられるじゃん…それにどうして魔法を使ったの!」
ヒマリの声が震え、ルルリは苦しそうに笑った。
「ヒマリに……当たったら、やだったから……」
もともと少し無理をしていた。魔法を使うと体調が悪くなるのだ。最初に使った時はほんとに少量だったから大丈夫だったけど、ヒマリと遊んだりする時に魔法を使うと量は多くなくても体調が悪くなることがあった。小さな体には、ルルリの特別な水の魔法は重すぎる。
ルルリの意識が遠のく。
「……ごめん」
そのまま、静かに目を閉じた。
⸻
夕暮れの屋敷の一室。
ベッドに横たわるルルリの額には、冷たい布が当てられている。
熱が出ていたのだ。
ヒマリはベッドの横で、じっと手を握っている。
「……ばか」
小さな声でヒマリが言った。
「私だって、守れるのに」
扉が静かに開く音がしてお父様ーーラディウスと
お母様ーーフィオナが入ってきた。
「魔力の過剰消耗だな」
低い声だけど怒ってはいない。でも、深く考えている目だった。ヒマリが顔を上げた。
「私がちゃんと見てなかったから……」
「違う」
ラディウスは首を振る。
「守ろうとしたのだろう」
視線が、眠るルルリに落ちる。
小さな体。
だが、その胸の奥には、深い水が宿っている。
ラディウスは医師の言葉を思い出す。
――発育はやや遅めだが、異常ではない。
本当に、異常ではないのかとあの青い水を思い出す。
あれは、普通ではない。
セリオスが静かに手を握るとほんのわずかに、ひんやりしている。
「……三歳の魔力検査で質を確認する」
独り言のように呟く。母が不安げに見る。
「大丈夫よね?」
お父様ーーラディウスは少しだけ間を置いて答えた。
「問題はない」
声は落ち着いている。だが、その目は湖のように深い目をしていた。
⸻
夜。
ルルリはゆっくりと目を開け、最初に視界に映るのは、ヒマリの顔だった。
「……起きた!」
涙目で怒っている。
「心配したんだからね!」
ルルリは少し困ったように笑う。
「ありがと」
声はまだ弱い。
ヒマリがそっぽを向いた。
「次は私が守る」
その言葉に、ルルリは目を細めた。
完璧じゃないし、強くもなく、すぐに倒れる。
でも。
それでも、守りたい。胸の奥で、青い水が静かに揺れる。
窓の外、月明かりが差し込む。
図書館で落ちたあの本。白い猫の絵が描かれた表紙だった。まだ誰も知らない。
ルルリの水が、ほんの一瞬だけ、その絵に触れていたことを。そして青が、かすかに光ったことを。
物語は、まだ静かに動き始めたばかりである。
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