第3話 ルルリの魔法 〜ルルリ視点〜
赤ちゃんに転生してから約半年が経った。
体はだいぶ動くようになり、言葉も短い会話なら問題なくできるようになり、ヒマリの魔法の制御も少しずつだが安定してできるようになってきた。
ヒマリのあの手のひらに灯るやわらかい光は、もう“偶然”ではない。もうヒマリの光はこの名家にふさわしい力。
セレスティア家は光属性。
父も母も光。ヒマリも光。
だったらーー
私も光。そう考えるのが自然だった。
「今日はルルリの番だよ」
期待で満ちた目で見るヒマリに私は小さくうなずいた。
何度も何度もイメージをしたから準備は完璧だ。
父も母もヒマリの光もあたたかく、やさしい。そして、きれいでまっすぐな光。
私はゆっくり目を閉じる。
今までは失敗するのが怖くて魔法を使えていなかった。
深く、大きく息を吸う。
頭の中で光を思い描く。
――灯れ!
手のひらに意識を集中させる。
何か違う….?
あたたかさではなく、ひんやりとした感覚。
静かで、重みのある感触。
次の瞬間。
ぽたり。
小さな水滴が落ち床に吸い込まれていった。
私は目を開ける。
「えっ?」
もう一度やってみると、次ははっきりと手のひらに透明な球が浮かんだ。
揺れていたのは光ではなかった。
「水..だ」
ヒマリが息をのむ。
私は、その水の球を見つめたまま、動けなかった。
私一人、家族の中で光ではなかったからだ。
セレスティア家は代々継いできた光の名家だった...なのに私は水だった。
「みんなと違う、なん...で?」
自分でも驚くほど、声がかすれていた。ヒマリが近づいてくると。
「ルルリ?大丈夫?」
と声をかけてくれたが、私は首を横にふる。
「光じゃない」
私は、事実を確認するように、もう一度言った。
「私は...光じゃなくて"水“だった」
胸の奥が、わずかに重くなが冷静に考えようとするともっと重たくなる。
属性が違うことは、光属性を代々受け継いできた公爵家にとってはどうだろう。
期待。血統。伝統。
「父や母から嫌がられてしまうかもしれない」
言葉にすると、思った以上に現実味があったがヒマリが即座に否定した。
「そんなことないよ!」
強く、心の奥からの声だったが私は、静かに問い返す。
「ほんとに?セレスティア公爵家は光属性なんだよ?」
ヒマリが一瞬、言葉を止めた。
「ほんとに?嫌われない??失望されない?」
自分でも驚くくらい、不安な思いが続いて言葉にでてきて冷静でいようとしているのに、心の奥がとてもざわつく
ヒマリは、しばらく私を見つめたあと、ぐっと近づいてきて私の不安を吹き飛ばすかのようにぎゅっと抱きついた。
「きれいだった」
まっすぐで透き通った声。
「え?ほんとに?」
私は、声をふるわせながら聞いたがヒマリは迷わずうなずいた。
「ほんとに。光とは違うけど、ルルリの水もすごくきれいだった」
私は視線を自分の手のひらに目線を落とした。水の球は、静かに音ひとつ立てずに揺れていてそこにヒマリが自分の手に光を灯して私の手にそっと近づけると...
「見て!」
とヒマリが言った。次の瞬間光が水に反射して小さな虹が生まれた。壁に淡いきらめきが広がりそれと同時に暗い部屋にパッと暖かい光がついたようにきら
私は息をのんだ。……声が出なかった。
「とっても綺麗....」
光だけでも水だけでも見えなかった色。でも、光と水ヒマリとルルリ二人が合わさってこんなに綺麗な色になった。
「ほら」
ヒマリが笑った。
「ほんとにきれいでしょ?」
私は少し間を置いてから、うなずいた。
「……うん」
いつの間にか声が少しだけ、やわらかくなっていた。
「光じゃなくてもいいんだよ!」
ヒマリは続けた。
「だってルルリはルルリだもん」
単純な言葉だが、ルルリには不思議と胸に響いた。
「もし誰が何を言おうとも私が必ず守るから」
とニカッと笑い胸を張って言っていたヒマリの言葉を私は、ゆっくり受け止めた。
ほんとに?とまた言いそうになった。
けど、光と水が重なった虹をもう一度見るとこれは私とヒマリの無限大の可能性だと思い言わなかった。
異質は、劣っているとは限らない。
むしろ!
『未知』
「……分析は続けよう」
私は静かに言った。
「でも、今は」
ヒマリを見る。
「少しだけ、信じてみる」
と私が言うとヒマリが満面の笑みを浮かべた。
「それでよし!」
とヒマリが言った。私は水をそっと消しが胸の奥の重さは、完全には消えていない。
けれど。さっきより軽くなっていた。
光と水が交わることで、生まれるものがある。
もしそれが、この家にとって意味を持つにならそれは“欠点”ではなく“新しい力”かもしれない
半年で、私たちは成長した。
そして今日。
私は初めて、自分の力を受け入れようとしている。
ほんの少しだけ。
ヒマリの言葉を、信じながら。
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