第3話:結局変わらんのよな
この服の動きやすさを確かめたいんだが…いい的いないかな。結構弱そうなちっちゃいモンスターがいいんだけど、ヤングウルフとかいねぇかな。あいつ結構早かったし小さいから最適なんだけど…
「天誅!」
「うぉぉぉぉぉ! 急になになに!」
「悪いが貴様には死んでもらわないといけぬな!」
「ちょっ! 急に斬り掛かってくんなよ。大体俺が何をしたっていうんだよ!」
「そんなの分かりきってるであろう!」
《対象の解析が完了》
ナーサー・ルラアサイア Lv.22
職業:アサシン ダガー武器に威力補正
アサシン!? 俺が何をしたら暗殺されるんだよ! そもそも暗殺になるのかこれは。もともと俺の名なんて広まってないだろ。しかもこいつ初対面なんですけど! なにかした覚え無いのに殺されるんですかね俺。
「何言ってるかわかんねぇが、こっちもタダでやられるわけにはいかないんでね」
「私と殺りあう気か? 私は王国で有名な暗殺者、ナーサーだぞ?」
「それがどうしたっていうんだ。暗殺者だろうがなんだろうが殺そうとするなら抵抗するしかないだろ」
「面白いことを言うな。その威勢がどこまで保つかな!」
速い! 流石は暗殺者と褒めるべきか。だが俺だって伊達にゲーム廃人名乗ってるだけあってこういうのの対処法は分かってるんだよ!
「首を狙ったのに体を反らせて避けるとは、これは驚いた」
「こっちが武器を持ってないのに襲ってくるなんて、ちと卑怯じゃないか?」
「さぁな、礼儀なんぞどこかに置いてきちまったよ。さぁ、さっさと死んでもらおうか!」
「そんな簡単に死んでたまるかよ!」
相手はすんごい速い、ヤングウルフよりも速い。だがそれが故に急に動きを変えることはできないと予想。相手はダガーでこっちは双剣、こっちにリーチで部がある。とするとまた急接近してきたときが狙い時…
「死ねぇぇぇぇ!」
「今だ! 一閃!」
「っ!?」
嘘だろ!? 今のを避けるのか。流石に当てたと思ったのに。しかも動きが不自然な感じだった。まるでなにかに引っ張られたみたいだ。なんかの魔法かなんかか?
「今のは危なかったよ。もしかして結構強かったりする?」
「さぁね、少なくとも自分の強さは分からなぇな」
「そうか、でも困ったなぁ。一撃で沈めようとしても回避されるし、そっちも十分に私を殺せる実力がある。ソレニ…ワタシヨリムネオオキイシ」
最後何言ってるかは分からなかったがどうやら同等くらいの強さらしいな。でも実際俺もあまり手数がない。俺が持ってる攻撃スキルはいつと五月雨突き、強いて言うならジャストパリィもある。だが相手の攻撃速度からしてパリィを決めるのはほぼ不可能。それに相手はまだ手札を残してる。さっきの謎の違和感も未解決となると…下手には攻めれない。
「おいおいどうしたんだよ。顔に汗が出てきてるぞ〜」
「体を動かしてんだからそりゃ暑くもなって汗が出るに決まってるでしょうが」
この状況を打開できるのは…もうこれしかないのか? でも俺は運が結構悪い。今年のおみくじも凶だったしな。でもこれしか頼れなくね〜?
しょうがねぇか、運でこの場を覆してやる。
「発動、追憶の記憶」
《追憶の記憶を発動しました。それに応じて以下のスキルを獲得します》
これって確か…あのゲームのスキルか。でもこれなー使用が厄介であんまり使えねぇんだよな…でも待てよ? もしこのスキルの使用がゲームと同じだとしたら…。
「何考えてんだよ!」
クッソー! 考えてる暇はねぇ、やるしかねぇ! これに命を賭ける!
「硝子停!」
「なっ! 体が…動かん!」
「へへーん残念でした〜。いやーやっぱり仕様は同じみたいだな」
《硝子停》
普通に使った場合は相手にガラスをぶつけて攻撃する。だが、もし相手に片手でも触れていて、かつ相手からダメージを受けておらず、対象が人の場合に限って対象をガラスに閉じ込める隠し使用がある。
それを攻撃することでガラスを粉砕しダメージを3倍にして攻撃する。
「お疲れ様、一閃!」
パリィィィン…
「ガハッ!」
「ふぅ~、なんとかなったー! ありがとう俺! 何時間もガラスを磨き続けた成果がここで発揮されるとは!」
そしてこいつをどうしたもんか。放っておいても死にはしないだろうが…この草原モンスター多いしな…森の影とかに運んでおくか。
「よいしょっ…」
重! あぁつい本音が。別に太ってるとか言いたい訳じゃないんだ、別にそう見えないし。やっぱり筋力も落ちてるな…やっぱり筋肉の構造から違うのか。しかも服変えても胸は手に当たるわ。揺れてるから気がそっちに向いちゃうわで下着つけても意味あんまないかもしれん。
「ここぐらいでいいかな。次は襲ってくんじゃねえぞ。俺が何をしたかは知らんが、もし戦うときがまたあるとしたらちゃんと正面から来てくれよ」
面倒事が片付いたところでどうしようかな。服の動きやすさは証明できた。次はモンスター相手だな。かといってちょうどいいモンスターが都合よく出るわけなく…
ギャァァァァァ!
あのね世界くん、確かにねモンスターに会いたいって言ったよ? 言ったけどさ、俺が言ったのはあくまで小さくて弱いモンスターであってね? デカくて強そうなドラゴンを出せとは言ってないのよ。
「どうしろってんだよ! この状況で戦えってか?」
追憶の記憶は硝子停が進化するまで使用不可だし、俺の持ちスキルで倒せる未来が見えん。さっきからめんどいことしか起きてねえじゃねぇかよ! アサシン(昼間から堂々)とか、今目の前にいるデケェドラゴンとかさぁ、神は俺を殺したいんか? 一旦冷静に考えてみよう、こいつに勝てる確率はどれだけあるんだ? なんにも情報がないときは鑑定スキルを使っとけってマニュアルに書いてあった気がするわ。マニュアルとかないし自動発動だけど。
《一筋の雷響エレクトロ・ライクルス》
Lv.53 種族:ドラゴン
ツノカライカヅチヲダシケリドラゴン、ジョウシャヒッスイノコトワリヲシラズ。
タチムコウモノヲテンチュウデホロボシ、イクラヤラレテモメグリフッカツス。
めっさ強そー。え? これ本当にここにいていいモンスターなの? 説明文が古代文みたいになってるせいで古から伝わる伝説のモンスターみたいになってるんですけど?
グギョォォォォァァァ!!!!
これ来るぞー、雷来るぞー!
ドォォォォォォォン!
「おいおいどうなってやがんだよ! 俺のレベルと30以上も差があるんですけど?」
前みたいに偶然助けが来るわけもないし、俺はここで終わりなのか? 転生二日目で命が終了するのか? 否! 俺は日本に帰れるまでは絶対に死ぬわけにはいかん! なにか策を練らねば。
まずあいつは説明から見るに角から電気を生成して、それを雷として俺に落として攻撃する。しかも結構な頻度だからあんまり止まることができない。相手はそこまで高所というわけではないが飛んでいる。つまり地上からの攻撃は届かない、一閃や五月雨突きは使えない。残りのスキルはムーンジャンプとジャストパリィ、そして硝子停のみ。硝子停はあいつに触れないと使えないし、人じゃないから✕。かといってムーンジャンプであいつに届くかはわからない。ジャストパリィも高さ的に当たらないだろう。
俺の予想だと角から電気を作ってるだけで角には電気は無さそうに思える。角さえ折ってしまえばこっちのもの。
でも俺の武器じゃあいつの角を折れそうな武器はねぇ。どうする俺、ここで終わりたくはないが終わりそうだぞ俺! 今俺が男であるならあそこの角に届いたとき、しがみつきながらあいつの目を潰して地面に叩き落とせるんだけど…今の俺には立派な2つの丸がついちゃってるし、ジャンプ力も多分落ちてるから届くのかはわからん。それにもししがみついたとて雷を落とされるかもしれないし、この筋力じゃしがみつくことは不可能だろう。
……………武器? 武器があれば俺は勝てるんだよな? それに今までの情報を踏まえると…もしかしてこれなら? この作戦が通るなら後はあいつの気分次第なんだが…この際はヤケクソだ。やらずに死ぬならやって死んだほうがいいだろ。
「こんな双剣ももういらん、逃げもしないぜ。ムーンジャンプ!」
このジャンプの高度、どうやら跳躍力にバフがかかるようだな。これなら届きそうだ。ある漫画で解釈を広げれば自身の能力の適用範囲を広げれるっていうのを見たことがある。俺はこいつを"モンスター"として見ていた。だがもし俺がこいつを”素材”として見た場合はどうだろうか。もしその解釈の問題でこいつを素材とできるならば…
届いた! こいつの両角に触れれた! そして3秒後! 1.2.3!
「発動、空間の加護!」
ギュロォォォォン!
「へへ、どうやらうまく行ったようだな。残念だったな雷ドラゴン。お前よりもこっちのほうが一枚上手だったようだな」
《新たな武器を入手しました》
RankS:《エタニテライト》
そして角を奪われし龍はそれが自身への刃となる。それはかつて自身が持ちし権能で自慢、紅き雷轟が自身の身体を貫くであろう。
ユニークスキル
ユニバーストランス:使用者の意思に応じて形を変化させ別の武器種になる。
赫雷:紅禍を発動した場合、この武器に一定時間 《赫隻》効果を付与。
《赫隻》
赫隻が発動している間自身のすべての攻撃が確定で弱点ヒットになる。
もし紅禍を発動した場合、赫隻の時間を延長し弱点ヒット倍率10%上昇。この効果は赫隻が切れるまで持続し累積可能
なんかめっちゃ強い武器できた! 素材のランクでスキルとか変わんのかな。しかも新しくユニークスキルと《紅禍》っていうのが出てきたぞ? 紅禍ってなに? 読み方もわからんのだけど。
「そんなことはあとだ、死んでもらおうかライクルス。お前のお自慢の角はもう俺の手中にある。もう雷を打てないお前には恐怖心など一ミリもねぇ」
ホントはちょっと怖い。あの説明がガセで角なくても雷打てるかもしれんからな。でもこっちに向かって突進してくてる時点で多分大丈夫だな。
「空に帰って雷にでも転生しな、五月雨突き!」
ギョロロォォォォォ………
《称号獲得:永劫の雷轟》
LvUP Lv.14→Lv.33
スキル獲得
時牙・連閃:素早く動いて相手に二連攻撃を加える。
アイアンボディ:自身の持っている武器が通電性の場合、自身の筋力、俊敏に20%の補正。
ロックフィスト:正面に強力な打撃攻撃。
レベル上がりすぎ! やっぱレベル差30以上を倒したのはデケェ。でも19も上がって貰ったのスキル3つだけ? やっぱおかしいよこの世界、スキルとか特性とか手に入れにくすぎでしょ! そんなことよりやっぱ胸邪魔だなこれ! なんで当たんないように立ち回っても当たってちょっと軌道ずれるんですかね? あれ外してたら多分食われて死んでるんだが。やはり女神め許せん! もし会う機会があったら挨拶代わりに切り刻んでやる!
ふぅ〜…落ち着いたところで次は戦術か? 筋力は落ちてるが体は柔らかくなった。つまり柔軟さを活かした戦術を考えなきゃいかんわけだ。今までのゲームのノウハウがあまり使えないし、その上女の体での戦い方とかのマニュアルがあるわけではないし。やっぱ独学しかないのかな。まぁ女キャラの戦い方は何度も見てるしどうにかなるでしょ。




