リベンジ
「ねえ、三田さん。川中って芸能人知ってる?」
「知ってるも何も…」
そいつの記事に俺のスクープは差し代わった。
まあ、川中の記事で無くても差し代わっただろうが。
個人的には恨みは多少ある。
川中、絶妙なタイミングで不倫しやがって。
「川中がどうした?離婚して暫く消えてたが最近悪役でしれっと復帰してるな。」
「その人ね、楠木って人の奥さんと不倫してるって知ってる?」
「楠木!?」
楠木とは、夫は会社員だ。ただ、妻は元女優で今は寺元のいる政党の新人議員の筈だ。
見た目美人なんでまあ所詮は扱いは広告塔だ。
メンクイな川中ならホイホイ食いつきそうだが…
「何でそんな事知ってるんだ!?」
「ふふふ、僕は吸血鬼だからね。」
吸血鬼って探偵みたいな事出来るのか?
「これ、スクープになる?」
「かなり面白い記事にはなるな。」
「三田さんが書きたいって記事になりそう?」
「そりゃ、そのネタが本当なら…」
そう言ってミロは2人が並んで歩いている写真を渡してきた。
「もっと凄い証拠次に持ってきてあげる。」
「かなり助かるが…そんな事出来るのか?」
「僕は吸血鬼だからね。血のお礼だよ。」
「分かった。」
「じゃあね、三田さん。また来月。たまには運動もして血を元気にしてね。ふふふ」
○○○○○○○○○○
本当だろうか?
ネタが本当ならかなり面白いだろう。
元女優の広告塔新人議員と元不倫俳優の不倫…
世間は何だかんだで不倫ネタで飯が3杯は食える大好物だ。
個人的には不倫ネタより寺元のいる政党のスキャンダルに胸が躍っている。
所詮は下っ端新人議員のネタ、政党からすれば切り捨てれば良いだけで大した問題にもならないかも知れない。
しかし、まともに週刊誌に持ち込んだり、ここからネット配信しても、あの政党なら俺の記事みたいに握り潰される可能性を捨てきれない。
そう思って別方面からのアプローチを模索した。
「急にすまんな。」
「別に構わない。何かあったか?」
カフェであってるこの男、元同僚で今はフリーでYouTubeでネット記事を配信している。
あの寺元のスクープを追っていた言わば戦友みたいな奴だ。
あの件があってこいつは会社に嫌気がさして辞めた。
何処にも所属せずに個人でネットで記事を配信している。
内容は社会派からオカルト、ピンク系と何でも有りだ。
ただ、内容は正直面白い。
登録者数も再生回数も同業者から頭一つ抜けている。
多分収入は前の1桁は上回ってるだろう。
俺はあのスクープで転落したが、こいつは転機となったのかも知れない。
「実は、川中のスクープの情報があってな…」
と、内容を説明した。
「確かにこれは皆食いつくな。しかし良いのか?俺に渡して。」
「多分俺の会社からは出せない可能性が高い。」
「確かになあ。しかし、川中と言い、寺元と言い…何の因果かねえ」
「だよなあ。」
「あとな、俺のチャンネルは確かに人気はあるし、注目度はある。だが所詮は個人チャンネルだ。社会的信頼はないぞ?」
「いいんだよ、それで。俺はお前が上げた記事に便乗して引用記事をネット記事に上げる。そこから掘り下げて記事にする。一度広まったネタは簡単には回収出来ないだろ?」
「お前も強かになったなあ。」
「伊達に年食ってないからな。同じ轍は踏まんさ。」
「まあ、俺もあの時は相当悔しかったからな。リベンジしてやるか。まああのネタに比べたら可愛いもんだがな。」
「宜しく頼むよ。また証拠手に入ったら連絡するから、すぐアップ出来る準備しといてくれ。ただ、他に漏らさない様にな。」
「心得てるよ。金に繋がるネタをそうそう漏らすか。」
「お前も強かになったなあ。」
「俺も伊達に年食ってないからな。」
○○○○○○○○○○
『トーマスチャンネルで話題のあの新人議員と元不倫俳優のイケナイ情事』
『次のページに画像と動画があります』
アクセス数は桁違いだった。
「先輩、凄いですね!流石、週刊誌記者って貫禄です。どうやってこの画像手に入れたんですか!?」
「まあ、昔のツテでな。」
「へー!俺も紹介して欲しい!」
「お前が知ってどうするの。ここで必要なツテは次何のドラマやアニメがバズるかのタレコミだろ?」
「そうですねえ。まあ金一封貰ったでしょ!?今日は奢りですよ!」
「ハイハイ。」
「俺が彼女とどうなったか閉店まで聞いて貰いますからね!」
「終電までな!」
あの後、ミロから証拠の画像やら動画を受け取った。
なんと、ホテルでヤッてる動画まであったが、流石にこれは流せないのでお蔵に入れたが…
吸血鬼って透明マントでも持っているのだろうか?




