変化
「この件に関して、世間を大変お騒がせした事を反省し、次期総裁選の出馬は見送らせて頂きます。誠に申し訳ありませんでした。」
「寺元議員!議員辞職はしないというのは本当ですか!?」
「はい。国民の皆様に誠意を持って身を尽くす所存です。」
「議員を辞める事が誠意だと思いますが!?」
「辞める事は簡単ですが、恥を晒してでも身を粉にして国民の皆様に尽力したい所存です。」
「息子の拓人さんは精神を患っていたと言うのは本当でしょうか!?」
「はい、精神鑑定で躁鬱とギャンブル依存症との診断を受けていて、普段から向精神薬を服用していました。私の監督不行き届きで、皆様には大変ご迷惑をお掛けいたしました。」
「では、今話題になっている事件もそれが原因だと?」
「はい。薬の影響も大きかった様です。お騒がせして誠に申し訳ありませんでした。」
寺元拓人は自殺…
原因は精神疾患が原因の錯乱…
と言う事になっていた。
寺元議員は総裁選は辞退したが、議員は辞めないようだ。
これ位図太くないと政治家なんて出来ないんだろう。
寺元拓人は失踪した。
暫くして、自殺の名所にもなっている廃ビルから転落したであろう遺体が発見された。
外傷などは無く、自殺とされた。
取ってつけた様に精神鑑定書が公表された。
以前から病院に通っていた事になっていた。
俺はそんな事聞いた事も無かったが…
診断した医師は警察病院の精神科医の田所と言う医師らしい。
やはり警察が手を回したのかも知れない。
荒木くんから寺元拓人のネタを色々手に入れて、俺も遂に会社を辞めた。
まあ、娘もやっと大学を卒業したので、踏ん切りがついた。
折角薬剤師と医師免許まで取ったのに、厚生労働省の採用試験の勉強をしている…
全く意味が分からない…
そして俺は藤間と立川と合流した。
とりあえず新しくYouTubeのニュースチャンネルを開設した。
『鬼血の牙・無限トーマスチャンネル』
何だか色々渋滞したタイトルだが…
立案者は立川だ。
お前は本当に鬼滅が好きなんだな…
そこから例の寺元拓人ネタをバンバン配信してやった。
因みにこのアカウント元は俺になっている。
これに関しては荒木さんの事務所の梟介さんに協力して貰った。
「多分、藤間さんの個人情報はマークされてるから、新たに作ってもすぐ消されるだろうね。」
「やっぱりそうなるか…」
「だから、三田さんで作ろう。」
「俺?」
「そう。でも三田さんの名前の個人情報もマークされるだろうから、もういっそ偽装させよう。」
「そんな事出来るの?」
「流石に戸籍までは無理だよ。でも近い事は僕ならやれる。架空の名義を作ってアカウントを作る。消されても消されても無限増殖させてあげる。根比べだね。多分向こうが諦めるだろうけどね。」
これがチャンネル名の無限たる所以なんだが…
なんかドラエモンのバイバインみたいだ…
てか、架空名義とか色々犯罪とかにならないんかな…
「だから今日からは三田さん改め四谷さんね。」
「は…はい…」
「周りにもそう呼ばせた方が良いかもね。身バレ防止に。」
なんか犯罪者にでもなった気分だが…
でもそれ位、危険な事に近づこうと決心したのだ。
名前位捨てる。未練はない。
中年だから。
まあ本名までが変わった訳ではないし。
ペンネームだと思う事にした。
周りにも適当な理由をつけて説明して、娘にも説明したら
「御意」
の一言だった。
アカウント消滅の危機はなんとかこれで解決させた。
と言うより実際言われた通り暫くは攻防戦だった。
最終的に諦めたのか放置された。
しかも消しても消しても現れるこのチャンネルが逆にホラーの様な都市伝説的に話題になって良い宣伝にもなった様だ。
それも放置された理由の一つかも知れない。
しかもタイトルが怪しい上に藤間の前のチャンネル名が入っている。
実際に表に出ているのも藤間だ。
すぐに以前の人気を取り戻した。
いや、上回っていた。




