デスゲーム
「お前、すげえな。何してんの?」
0時の閉店近いゲーセンにそのガキは居た。
黒いフリルがついたゴシックな感じのブラウス、膝下位の中途半端な長さのズボン、黒いハイソックスに革靴…
髪は黒くてやや長め
ゲーセンの筐体のライトのせいかも知れないが全体的に青白く、体も細い。
「遊んでるんだよ…」
「まだお前、ガキだろ?ここ22時以降ダメだろが」
「僕、214歳だから大丈夫だよ…オジサン…」
何言ってるんだ?このガキは…
ゲーセンのメダルゲームをしてるこのガキはメダルが一杯入ったバケツを5つ山積みさせていた。
「僕、吸血鬼だから…昼間出歩けないの。夜しか遊べないから…ゆるしてね」
そう言ってその子はにいっと笑った。
八重歯にしては長い…牙の様な歯が見えた。
「ははは、そんな事信じられる訳無いだろ。大人を揶揄うんじゃ無い。」
「このメダルはね、僕の念力で出したんだよ…」
そんなバカな…
でも…
さっきチラッと見えた牙が気になる…
日に当たれないの言葉通り、アルビノみたいな白子とは違う。
日に全く当たってない白さだ。しかも男の子供でこの年頃…色が白すぎる。
「吸血鬼…だったらやっぱり血を吸ったりするのか?」
「まあね。血がないと生きていけないし。」
「ここで…獲物とか待ち伏せてんのか?」
「ふふふ、まあね」
「普通にメシとかは食わないのか?」
「食べることは出来るけど美味しいとは思わないかな。人のフリするために食べる事はあるけど」
「成る程な。」
「オジサンもゲームが好きなの?」
「俺はタクトな。ギリ20代だからオジサンじゃねえ。」
「ふふふ。僕はミロ」
「変な名前だなあ。」
「タクトはどんなゲームが好きなの?」
「俺はギャンブルだな。賭けの勝負の無いゲームは興味ない。」
「へえ。ゲームセンターじゃ賭けにならないんじゃ無い?」
「普段なら大金使うんだがなあ。ちとヘマして今は元手が無い。仕方ないからゲーセンのスロットで気を紛らわせてる」
「ふうん。どんな勝負が好きなの?」
「そりゃ、大金だな。下手したら命落とすくらいデッカい奴な。」
「へえ。だったら凄く良い賭けがあるよ?お金はかからないよ。」
「何賭けるんだ?」
「ふふふ、凄く大切なもの…かな?僕と勝負してみない?」
そう言われて好奇心に負けてミロに着いてきた。
まあ、なんか有ってもこんな青っ白いガキ、捻り潰せば良いかと思っていた。
少し歩いて廃ビルの前に着いた。
「ここがね、賭博場だよ。」
「このビルが?」
「そう。ここの4階。」
何だろう…裏カジノの類だろうか…
中に入ったらヤクザとか出てくるんだろうか…
まあ、最悪親父に頼れば良いか。
何たって高木組と繋がりあるし。
大抵のヤクザなら何とかしてくれるだろう。
そう思ってビルに入って行くミロについて行った。
「会場はここだよ。」
ドアを開けて中に入ると何も無い廃墟だった。
ただ、カーテンらしき布で窓は塞がれていて、1番目についたのはフロアの中心に空いた大きな穴だ。
穴の周りも朽ちていてボロボロだった。
「この穴はね、一階まで続いてるの。このドア閉めたらここ真っ暗になるんだよ。」
「へえ。」
「壁の端からね、穴に向かって同時に少しずつ近づくの。どっちが1番穴に近づくか度胸試しやるんだよ。負けを認めるまで続けるの」
「へえ!何を賭けるんだ?」
「お互いの命。」
俺はゾクゾクしていた。
「負けを認めたら穴から自分で落ちる。簡単でしょ?」
「ああ!最高だ!」
まあ、最悪負けても力では俺が勝つ。
こいつを突き落とせば良いかって思っていた。
「ここ、真っ暗になるんだろ?どうやって近づいてるか確認するんだ?」
「それはね、コレ」
そう言って光る小石を手渡して来た。
「これは蓄光石。これをポケットに入れといて、近づいたらこれを出して相手に見せるの」
「分かった。」
「じゃあ、タクトはドアの反対側の壁際に移ってね。」
「オッケー」
「じゃあ、ドア閉めるよ。」
そう言ってドアを閉めると本当に真っ暗になった。
「石を出してみて?」
そう言われて上にお互い掲げた。
「じゃあ、始めるね。ポケットにしまってね。」
ポケットに入れると本当に真っ暗になった。
「じゃあ、一歩進んで、石出して?」
そう言われてお互い進んで石を出した。
確認したらまた進んで石を出して…
一歩ずつ進む度どんどん興奮して来た。
そろそろ穴に近いかも…
向からミシッと音がした。
ミロは落ちる!
そう思って一歩進んだ。
「俺の勝ちだ!」
そう叫んで進んだ足先には
床が無かった…
「僕はね、夜しか遊べないからね、夜目はきくんだ。タクトの先に床がない事よく見えてたよ。」




