6話
また2話に分けました。永遠に話が膨らんで次に進まないんですすみません。
もう一話は明日出せれば明日出せるように頑張ります!
長いこと歩き商店街からかなり離れたところまで来てしまった。
いつまで歩くのかと鼻歌交じりに歩く皇さんに話しかける。
「あの、皇さん、いったいどこまで行くんですか?」
今まで来たことのない方角というのとこんなところに食事処なんてあるのかと不安になってくる。
「ん~?もう少しでつくよ?てかさ、いつまで皇さん呼びなの?私には澪って名前があるんだけど」
と気安く簡単に難しいことを言ってくる。ただでさえ友達ですら少ないのに女友達なんてほぼいない俺には難易度が高すぎる。
「いやそれはちょっと...今日初めて会ったばかりだし恥ずかしいですよ」
なんならこんな美人な皇さんを呼び捨てにしたら、学校の人やファンの人に夜後ろから刺されるまで未来が見える。
まだやり残したことがたくさんあり死にたくないので遠慮したいのだが...
「今日あったばかりかもだけど一緒にご飯食べに来てるんだよ?そこまで来たら友達じゃない?」
とあたかも当然かのように言ってくる皇さんから思わず目を背けてしまう。
(ま、まぶしい...これが陽キャってやつか?コミュ力バケモンすぎんだろ...)
「ほらほら!み~お!言ってごらん?」
とこちらの顔を覗き込みながら言ってくる。
「ほんとに言わなきゃダメです?それ...ほんと恥ずいんですが...」
「だ~め!ほら早く早く!」
と急かしてくる。名前呼びするまでいつまでもこんな調子では困ってしまうため覚悟を決める。
「み、澪さん...」
と普段呼びなれない名前呼びに突っかかりながらもなんとか告げると
「うん!よろしい!」
と花が咲いたかのようなきれいな笑顔を浮かべる。
「君にだけ言わせるのもなんだから私も涼君って呼ぶけどいいよね?」
もうここまで来たらどうでもよくなってきた。
「あ、はいどうぞ...」
小声でやたっ、といいながら小さくガッツポーズをしているが、恥ずかしさのあまり下を向いていた俺は気づくことが出来なかった。
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「あ、着いたよ!」
目を向けるとそこには3階建てのとてつもなく大きい洋館がそこにはあった。
「え?ここですか?え?もしかして俺この世から消されます?」
見るからにお店をやっているような建物ではなく、なんなら青色の巨人が追いかけてきそうな豪邸で驚いていると
「消されるわけないでしょ!何を言ってるんだい全く...ここは私の家だよ!」
とまさかの発言を聞き思わず
「は!?家なんですか!?いやいや店を案内してくれんじゃ!?」
人様の家にお邪魔するのに手土産なんて持ってきていないし、何より皇さんの家だなんてと混乱していると
「まぁここも店みたいなもんだよ、いらっしゃいませ~?」
とかわいらしく告げてくるがそれどころではない。
「いやいやそんなわけないじゃないですか!さすがに無理ですよ!」
「大丈夫大丈夫!料理長に二人分の料理を作るように頼んであるし!」
「なんで頼んであるんですか!てかいつ頼んだんですか!」
少なくとも一緒に歩いている中では電話をしていることはなかったはず...いったいいつの間に...
「そんな細かいことはどうでもいいの!早くいかないとご飯が覚めちゃうよ!」
いつまでも門の前で入れないでいると皇さんが後ろに回り背中を押してくる。
このままだと本当に連れて行かれる!何かと理由をつけて断らないと!
「いやいやいや!どうでもよくないです!てか、親御さんもいらっしゃるだろうしご迷惑ですよ!」
「それこそ気にしなくていいよ!うち今日の夜まで二人とも帰ってこないし!」
と抵抗むなしく連行される。ただ、これだけは言わせてほしい!
「それ余計に大丈夫じゃないです~!」
という叫び声が響くも誰も止めてくれる人はそこにはいなかった。
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でかい門をくぐり、庭園を抜けでかい扉の玄関へとやってくる。
それじゃあ入るよ?とこちらを向き顔認証を解くと玄関が勝手に開きだす。
「ただいまー!爺や!ご飯の準備はできてるかい?」
と玄関をくぐりながら声をかける。
「おかえりなさいませお嬢様、もちろん準備はできております。ところでそちらが例の?」
壮年の貫禄のあるイケオジがこちらを見てくる。
「ほら涼君!ここまで来たらもう逃げられないんだから早く入っておいで!」
玄関の扉から入ることが出来ず中の様子をうかがっていたが観念しお邪魔することにする。
「お、お邪魔します...こ、こんにちは。風波涼と言います。」
「よくいらっしゃいました、風波様。本日はお嬢様が迷惑をおかけしたみたいで」
という執事の発言に頬を膨らませながら
「何だいその言い草は!別に迷惑かけてなんかないさ!ね?涼君」
「ははは...」
どう言ったもんか分からず愛想笑いしか出てこない。
そんな自分の様子から察したのか溜息を吐く。
「全く、ご飯の準備は整っております。風波様荷物をお預かりします。」
自分の持っている機材やカバンを預かってくれる。
「あ、ありがとうございます。」
「涼君!こっちに食堂があるから早く行くよ!」
荷物を預かってもらっている最中に皇さんはどんどんと進んで行ってしまう。
その様子を見たイケオジ執事さんが
「お嬢様が案内する気満々なようですので案内してもらってください。」
と言ってくれる。
「わ、わかりました。ありがとうございます」
と慌てて澪さんを追いかけることにする。