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13話

最後の夏休み...ずっと続けばいいのに...

冒険者ギルドを出て商店街へと向かって歩いていく。

いくらかの間歩いていくと、人通りが多く活気のある商店街へと辿る着く。

一本道に沿うように武器屋や防具屋などの王道のお店はもちろんのこと、占い屋や古物商などゲームにしては珍しい様々なお店が立ち並んでいる。

そのような光景に呆気にとられていると左から

「おい兄ちゃん、だいじょぶか?急に立ち止まって」と話しかけられる。

声が聞こえたほうを向くと筋肉隆々なスキンヘッドのおっちゃんが串焼きを作っていた。

「あ、すみません!すぐどきますね!」

店の真ん前で立ち止まってしまっていたので慌てて退こうとするが

「いいってことよ、この時間帯は客も少ねぇしな。」

串をひっくり返しながらもそう言ってくれる。

「んで?どうしたよそんなところで突っ立ってよ」

「いやぁ素材を買いに来たんですけど、ゲームでここまですごい光景を見るのは初めてで思わず見入ってしまったというか...」

正直に答えると、がっはっはと大げさに笑いながら

「なるほどな!わかるぜその気持ち!俺も初めて見た時にゃあびっくりしたもんさ!」

「それにしてもお店開くなんてすごいですね今日リリースされたばかりなのに」

今日の11時サーバーアクセス開始だったらしいのだが、たった数時間で店を構えることが出来るなんてどんだけ稼いでるんだろうか。

「あー、それに関しちゃなんだが俺はいわゆるベータテスターってやつなんだ。全てを引き継ぐことはできなかったがメインで金を引き継いでな」

おかげで金以外のほとんどの武器やら素材やら消えて散々だぜと笑いながらも悪態をつく。

「そんなわけでその金を元手にお店を開いてんだ。」

「うわぁ...そこまでしないとお店を開けないなんて大変ですね。」

将来的に自分も作ったフィギュアを売ろうとしてただけあって、店を開くまでの大変さを目の当たりにし少し億劫になる。

「いやそんなことはないぞ?物を売りたいだけならバザーから出品できるしな。町中で店を開こうと思えば高くつくが土地をを持てばそこで店を開くこともできるらしいぞ。そんなプレイヤーは今のとこ居ないみたいだがな。」

自分の土地か...テイムした獣を目いっぱいモフるための憩いの場所をいずれ作りたいものだ。

「なるほど~いいことを聞きました!そういえば何てお呼びすればいいですかね?」

「おお?ああ、すまんすまん!おれはマーガスってんだ!んでもってタメ口でいいぜ!」

ニカッといい笑顔を向けてくる。

「俺はRyo「獣」って言います。RyoでもRyo獣でも好きに読んでくれ」

「OKだRyo!よろしくな!」

手を差し出してきたためこちらも手を差し出し握手をする。

「よろしくです。そういやマーガスはどんなのを売ってるんだ?」

今焼いているのは何の肉なのだろうか...肉汁が零れ落ちるのを見ているとよだれが出てくる。

「見ての通り肉とか野菜の串焼きだな、食うとプレイヤーにバフがつくんだ。」

「へぇー、サブの職業が料理人なのか?」

Job違う俺も作れんのかな。てかバフ付くなんて結構レベル高いんじゃないか?

「おうそうだ!料理自体は誰でも作れるけどバフがついた料理は料理人しか作ることが出来ないんだ」

まぁだよな、Jobを生かすための差別化はちゃんとやってるか。

「なるほどね、そりゃ売れるし重宝されるわけだ」

そういうとニヤッと笑い

「確かにそれもあるが俺が稼げる理由は別にあるんだよ」

「そうなのか?」

「ああ、それがこいつだ」

壺に漬けてあっただろう串を取り出す。

「?普通の串焼きに見えるけど」

ふっふっふとドヤ顔で

「こいつはな、ランダムでバフがつくんだよ!」

ん?

「ランダムで?でも魔法使いに力アップがついたりとかするかもしれないんだろ?ロシアンルーレットとかお遊びにしか使えないんじゃないのか?」

確かに面白いかもしれないけどそんなすごいか?これ。

「そういう目的で売れたりもするんだがそれがメインじゃないんだな。確かにいいことばかりじゃないが運が良ければレアドロップ率が上がったりテイム確率がアップする効果が出ることもあるんだぜ。」

おいおいおい!!とんでもないこと言わなかったか!?

「マジ?!いくらだ!?」

聞き捨てならないことを聞き思わず食いついてしまった。

「お、おお。一つ一万ゴールドだが...」

と少し引いたかのように顔が引きつっているがそんなことを気にしている余裕はない。

慌ててカードに入っている残金を確認するがチュートリアルでもらった三千ゴールドしか入っていなかった。

「ダメだ...買えねぇ...!!」

「おいおい、そんな落ち込むもんじゃねぇだろ。一万ゴールドなんて外で一時間も狩りしてりゃ溜まる金額だろ」

さも当然化のように言ってくるが俺にはそんなことは不可能なのだ。

「それがですね、現実世界からの呪いでテイマーであるにも関わらずチュートリアルでモンスターすら出なくてテイムできず、フィールドのモンスターですら逃げられて戦闘できず森でレベ上げするために生産をしないといけないとかゆう何ともな状況でありまして...」

同情するかのような顔をして

「そいつはとんでもねぇ呪だな...そういうことならほら、いっこやんよ。ただし必ずしもテイム確率が上がる効果が出るわけじゃないから気をつけろよ!」

とインベントリから取り出した串焼きをもらう。やべぇ...なんかもらってばっかだな俺...ヒモの才能でもあるんか?要らんがそんなもん...しかし、テイムするためには背に腹は代えられないんだ!!

「あざス!なんかあればマジなんでもするんで言ってください!!」

そう言っていたのが聞こえていたのだろう。通りがかったいくらかの女性がこちらを見ながら鼻血を垂らしているがまぁ問題ないだろう。

「いいってことよ!ほら、クラフト所はこの先だ。早くいってレベルを上げてきな!」

「はい!ありがとうございました!」

と駆け出す。

すると後ろから

「森の適正レベルは10~15だ!がんばれよ~」

と声がかかりあざます!と一言残しクラフト所への道のりを急ぐ。

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