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一方的な別れ



「…んぅ…しるびあ…? シルビア?」

目が覚めて、隣にいるはずのシルビアがいないことに気がつく。

あれ…昨日一緒に寝たっけ?

いや、なんか疲れてて先に寝ちゃったんだ…



また外に出てるのかな…。大工と話してたら、なんかヤダな。


昨日ちょっとシルビアとギクシャクして…

元気のなかったシルビアの事を気にしてなかったとは言いたくない。何より、誰より大切だし。

それでもボク自身、思い出したくない事を思い出しちゃって、ちゃんとシルビアを気にしてあげてなかったんじゃないか?と言われたら否定もできない…。


「謝ろ…このままじゃヤダし」

ベッドから起き上がろうとして手をついた所に紙が…。

「なんだこれ…」

なんだか嫌な予感がして開いたら、それはシルビアからの手紙だった。

「…嘘でしょ?ずっと一緒だって…パートナーだって言ったのに! やっと落ち着ける拠点も見つけたのに!」


ーーーーーーー


(あのバカ! なにしとるんじゃ! 少しそっとしておいてやろうとしたらこれか! どこいったんじゃ…居場所が把握できん…)

(私達、随分嫌われてしまいましたね…)

(…あの子優しいから…辛い話は荷が重い…)

(そうじゃな…まさか一晩でこんなに気持ちが離れるとは思わなんだ…)

(あの状況でどうして目を離したんですか!)

(…一番見ておかないとダメな時に…)

(そうは言うてもな…我も思うところがあったんじゃ。それに面と向かって嫌いと言われたんじゃぞ?)

(それは、確かにキツイですね)

(…私なら泣いてる…)

(キナ、ノク、お願いじゃ。あやつを…シルビアを探してくれ! 頼む…)

(頼まれなくても探しますよ!)

(…見つける。ディー達にも探させる…)


ーーーーーーー



部屋には昨日集めてきた物や、食料品、お金、それらが全部置いていってある。

「シルビアが居ないのに、こんな物になんの意味があるんだよ!!」

くそっ…。あんな話を聞かせたから?

手紙には、“私はリールーと一緒にいる資格がない。神様も信じられなくなった”とかわけのわかんないことが書いてあるし。


どうする?探そうにもいつ出ていったかもわからないし、どこへ行ったかもわからない。

ボクにも神託でもくれればいいのに!

(おーその手があったのじゃ。 おい、リールー聞こえるか?)

「うわっ…、何?誰?」

(我は神じゃ。最高神アリエルじゃ!)

「…は? マジで?」

(マジマジ)

「嘘くさい! でもこの際、神でも悪魔でもいい。シルビアの居場所を教えて!」

(誰が悪魔じゃ。失礼な奴め)

「それより、シルビアの居場所!」

(それなんじゃが…あやつが我を信じなくなったせいで、ハッキリと掴めんのじゃ…)

「何それ、つっかえないな!」

(お前も大概口が悪いな?)


だってシルビアの居場所がわかんないなら意味ないでしょ…。この声、本当に神なの?

(いい加減にせんと天罰食らわすぞ?)


あれ…ボク声に出してた?

(出さずとも聞こえるわ。愚か者が!)

マジか…。

(お前はシルビアを通して、我らを信じる気持ちが強くなっておったから、干渉しやすかったのじゃ)

あー…。シルビアが神託だーとかよく言ってたからね。ボクはシルビアの言う事なら信じるし!

(これだけ想われとるのにあいつは…)

そもそも何でシルビアは出てったの?一緒にいる資格って何!?


(それはな………)

…………。




自称神様からシルビアのことを聞かせてもらった。

(自称じゃないわ! 正真正銘神じゃぞ!)

はいはい…。


はぁ…シルビア…。ほんっと、バカでしょあの子。

(それは否定せんが…あやつは我のせいでお前と出会う少し前、それ以前の記憶がないんじゃ。だからこそ良くも悪くも純粋で人の悪意に慣れておらん)

記憶を奪った!?ちょっとボク今から聖堂破壊してくる!

(話は最後まで聞け! あやつを守るためなんじゃ。それだけは間違いないから信じてくれんか?)

そんな辛い過去があるってこと?

(そうだといったら、お前はアヤツから離れていくのか?)

絶対にないね。 本当にそこまでの事があったの?兄に売られた以上の事が?

(いや?あやつの根本の性格は変わっておらんから、のほほんと生きとったぞ?)

どういう事だよ!

(詳しくは神の禁忌に触れるから話せんのじゃが…)

それで信じろと?

(我はお前と同等かそれ以上にアヤツを大切に思っておる。それではダメか?)

…わかった信じる。ボクはどうしたらいい?


(我は今、アヤツのいる大凡の方角しかわからんのじゃ)

どこ?

(ブラックランの北東辺りじゃ。皆にも探してもらっておるから、見つけ次第お前に教える)

じゃあボクはなるべくそっちへ向かっておけばいいんだね?

(話が早くて助かる)

シルビア…絶対見つけるから! 無事でいてよ!

ボクは少し遠出するかもしれない事を大工に伝えて、シルビアが残していってくれたお金の中から修繕費を渡し、拠点の修理を依頼して出発した。

帰ってきた時に少しでも休めるようにしておいてあげたいし…。

ちゃんと帰ってきてくれるよね…?


今は少しでも距離を稼がないと…。極力荷物も軽くしてきた。

こういう時はスカートなのが走りにくいけど…。姉さんが作ってくれた服だし。

似合うねって言ってくれた服だから。

他の服を着る気になれないのは、やっぱりまだ引きずってるんだよね。

自分でもわかってる。


それでも前を向けたのはシルビアがいてくれたからなのに!

なんで何も言わず、相談もせずに行っちゃうんだよ!


「シルビアのバカぁぁぁぁ!!!」





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