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「という訳でな、しばらくうちで面倒を見るから頼む」

「そう…わかったわ。任せて」

「俺は衛兵を引き連れてもう一仕事だ。神託にあった山賊共の始末もしなきゃならんからな」

「気をつけてね…って貴方に言っても山賊如き相手にもならないでしょうけど」

「それはお前もだろう?」

「私はもう引退した、か弱い女よ?」

「…そういう事にしておく。  シルビアちゃんはここを自分の家だと思って寛いでくれ」

衛兵さんはそれだけ言うと私をキレイな女の人に預けて衛兵に指示を出して街を出ていった。

ここはブラックランの街へ入ってすぐ、鍛冶屋ワルキューレの隣にある2階建ての綺麗なお家の前。

お隣の鍛冶場では女性店主がカンカンと金属を鍛えている音が響く。



「さてと、シルビアちゃん、大変な目にあったわね。もう大丈夫よ」

「はい…すみませんお手数をおかけてしまって」

「いいのよ。ほら、うち子供いないし! といっても、15歳だと子供扱いしたらダメね。見た目が幼いから…」

「早く身の振り方を考えます」

「慌てなくていいわよ。 まぁ私の手伝いはしてもらうけどね!」


そう話してくれたのは衛兵さんの奥さん。この人も元勇者パーティのメンバーとして戦っていたらしい。

タンク役もしつつ、剣士もしていたと。名前はルディアさん。多分あの人だよね?

家の中へ入り、使ってないという一番奥の部屋を貸してもらえることになった。


「…もしかして、ルディアさんって元々は領主様のとこで働いてました?」

「よく知ってるわね?そうよ。私兵として雇われていたのだけど、召喚された2人の勇者様の従者としてウチの人とパーティに参加したの」

「4人パーティだったんですか?」

「ううん。もう一人いたわ。今は、街の聖堂で働いてるわよ。惚れた勇者様においていかれたショックで、恋愛も結婚も絶対しない! って言って…」

「捨てられたんですか?」

「そういう訳でもなくてね?一方的な片思い。勇者様はあの子の気持ちに気がついてさえいなかったと思うわ。そういう事に鈍い方だったから」

罪な勇者様…。


衛兵さんはダルという名前で、弓使いの名手だったんだとか。

多分あの人だ! エルフの…。

「弓使いが弓に射たれて引退とか笑えるわよね」

と笑うルディアさん。つられて笑っていいものか悩むところだ。



その日、夜になってもダルさんは戻らず、私は好きに使っていいと言われた1階奥の子供部屋で休む。

ベッドふわふわ! 獣臭くない!

地下にあるお風呂も借りられたし。身体もスッキリ…。

んんっ〜! 今日はよく眠れそう。


(もう良いか?)

ふあっ!? ロリ神様…。今日は助けて頂いてありがとうございました。

ベッドの上で土下座の姿勢。

(うむ。今日はやけに殊勝じゃの?)

だってあのままだったら悲惨な事になってたし…。

(まぁ…普通ならな?)

えっ?

(言うたじゃろ。お前は我の眷属じゃと。並の人間がお前に敵うものか)

えーーー……。感謝の気持ち返してください!

(いいのか?そんな態度で。未だ戦い方を知らんお前なら、実際はどうなっていたかわからんのだぞ?)

それはそうですけど…。

(本来、指針を決めた時に渡す予定じゃった”ちーとあいてむ”というやつを態々持ってきてやったのに)

再び土下座でごめんなさい。

(すっごい掌返しじゃの?いっそ清々しいわ)


ロリ神様はこの部屋にある木箱にチートアイテムを入れてくれたらしい。

開けてみると、服一式が三種類。ちゃんと下着もある。

可愛い服! やった…! 一個は露出がすごいけど…。

(びきにあーまーじゃな!)

……着ないよ?

(それが一番防御力高いんじゃがなぁ?)

それ絶対おかしい!


他には…っと、背の低い私でも扱いやすいようにか武器は軽くて短めの片手剣。

後はウエストポーチみたいなバッグ?

(そうじゃ。所謂”まじっくばっぐ”というやつじゃ)

何でも、どれだけでも入って、中に入れた物は時間が止まる?

(拡張機能をポイントと交換すればな?)

そんな事だと思ったよ!!

(今の容量でもその箱の中身くらいは余裕で入るじゃろ。暫くはそれで我慢するのじゃな)

はーい…。


取り敢えずポーチの中に着替えや武器などを仕舞う。

あれ?まだなんか入ってる…。

(本命はそれじゃ!)

本だけに?

(…ダジャレで言うた訳じゃないわ! その本は魔導書。今、お前が覚えて使う事の出来る魔法やスキルが表示されるすごいアイテムなのじゃぞ!)

半信半疑で開くと、勝手にページがパラパラとめくられて、突然止まる。

確かに載ってる。火炎魔法、氷雪魔法…。これだけ?

(ステータスが低いからの。今後魔法を使えば…)

魔神様のいいねポイントが貯まって、使える魔法が増える?

(分かってきたようじゃな)

ここまでの流れでさすがに…。


(じゃがな?まだあるのじゃ! ほれページをめくってみぃ)

言われるままページをめくると…回復魔法?

更にめくると、剣士のスキル。次には隠術と色々あった…最後のページは見なかったことにした。

(なんでじゃ!)

だって…全部エッチぃスキルだったんだもん!

(大切じゃぞ?)

当分いいかな。そっち系の欲求全くないし…更に言ったら空腹も喉の乾きさえ感じてない。

(…マジでか?)

はい。夜ご飯も作ってもらったのですが食欲がなくて…。

ルディアさんには”あんな事のあった後だものね…”ってかえって心配かけちゃったけど。


(う〜むー設定間違えたかの…)

設定とかゆーな!

(ま、今はそれでよいわ。初めから欲求に振り回されると碌な事がないからな。後でイジっておくかの)

経験談ですか?

(…………)

ごめんなさい、今のナシで! それで私はこれから何をしたら?

(好きな事をすればよい。それで色々な神からの”いいね”を集めつつその世界の刺激になればよいのじゃ)


悪に染まるのも?

(有りじゃな。ただし責任は自分で負うこと)

それはそうだよね…。

(おっと、最後に一つ大切な事を忘れておったのじゃ)

はい?

(もし、お前が死んだら…)

…死んだら?

(ちょっと前に戻って再スタートされるのじゃ!)

ゲームじゃん! 現実って言ったじゃん!

(だって、我の眷属じゃぞ?それに簡単に死なれたら我らの目的が果たされんじゃろうに…)

目的?

(さっきから言うておろう。その世界の刺激になって発展させる。所謂起爆剤! じゃな)

なるほど。

(理想は満遍なく色々な神から”いいね”をもらう事じゃが、無理はしなくてよいのじゃ)

わかりました。まずは生活力を身に着けます! お金くらい稼がないと…。居候だし。

(それなら、広場近くに設置した、お仕事掲示板を活用するとよいのじゃ)

そんなのあったっけ…。

(我が追加した要素じゃな!)

MODかよ!

(似たようなものじゃ。我らの気分次第で要素を追加したり、減らしたりする事もあるじゃろうて)

ゲーム途中でのMODの出し入れは危険! データ…と言うか世界が壊れますよ?

(我は神じゃぞ?そんなもの…(ちょっとロリ神様! また突然要素を追加して! 帳尻合わせする私の苦労わかってるんですか!))

ほらぁ!

(待て…今はアヤツと話しておってだな、聞こえてしまうじゃろ!(えっ?それは…すみません。私も話したいのですが?)だからそれはお前の”いいね”が一定数を越えたら解禁されると言うたじゃろうが!)

聞こえてるんだけどなぁ…。まぁ黙っておこう。


取り敢えず明日は、例のお仕事掲示板を見に行って…受けられそうなお仕事を頑張ろう。












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