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リベンジ



ダンジョンへ入ると、すぐにミニマップに反応がある。

まだ気づかれてない…。

隠密姿勢のまま、ゆっくりと近づき麻痺の魔法を…

「うらぁ!!」

ちょっ…リールー! なんで突っ込むの!?


リールーが気を引いてくれたおかげか私はまだ気が付かれてない。

だけど…麻痺の魔法を使おうにも、乱戦では誤爆しかねない。

どうしようかと悩んでるうちに、トドメとばかりに斬りつけたリールーの攻撃で吹き飛んで倒れる吸血鬼。


「倒したらダメっていったじゃん!」

「峰打ちだよ。今のうちに麻痺かけて」

なんか釈然としないけど…。

「ほら見て、ボクの武器。刀っていうんだけど、片刃だから峰打ちができるんだよ」

納得いかないって顔してたのかな私。わざわざリールーが説明してくれた。

麻痺の呪文をかけたから、気絶してるのに更にピクピクとする吸血鬼。

なんか可哀想になってきたな…。


リールーは手早く縛り上げて、猿轡を噛ませる。

「手慣れてるね?」

「何度かキャラバンを襲ってきた盗賊を縛り上げて衛兵に突き出したことがあるからね」

逃げられないように、とか言って身ぐるみ剥ぐのはやり過ぎでは?

「相手は女の人だよ?」

「袋に入れちゃうし、へーき」

言葉通り麻袋に押し込められる吸血鬼。


「よしっ。ボクが背負っていくね。シルビアは非力だし」

「助かるけど…リールーが外道なのがわかったよ」

「なにそれ、ひどくない?」

「女の人をひん剥くなんて…」

「仕方ないじゃん。逃げられたらまた探さなきゃいけないのに」

言ってる事は間違ってないんだけど、釈然としねぇんですよ…。


「ボクはシルビアにしか興味無いからね?」

「私も縛るつもり!?」

「なんでそうなる! とりあえず今は早くコレを届けるよ」

「わかった…」

麻袋を軽々と背負うとさっさとダンジョンから出ていくリールー。

私も慌てて後を追う。



街道沿いに南下して、パルクルールからまた馬車に乗る。

大きな荷物(麻袋)を怪しまれるかと思ったけど、別に気にもされなかった。

行商人が荷物を持って乗ったりするのかもしれない。


「ねぇ…シルビア?」

「ダメ!」

「お願い…さきっちょだけだから…」

「意味がわかんない!」

「お腹空いたよぉ…」

「ダメ! 我慢して」

「ひどいよ…」

「自覚してないなら言うけど、悪化してるからね?その歯で吸われたら私ケガするよ…」

リールーは自分の口の中に手を入れてキバに気がついたのか、ただでさえ白い顔が青白くなる。


「うーでもお腹空いて辛い…」

「これ食べてなさい」

「なんでトマト…」

「赤いから?それに寒いこっちの地方ではトマトはレアなんだよ?」

「知らんし…」

そう言いつつもトマトを齧るリールー。


その後も何度か血をせがまれるも我慢させて、馬車はムーサルに到着。

今回の旅はやたら長く感じたよ…。


パリオンの自宅へ行くと、私達の到着待ちだった。

「師匠から方法はきちんと学びました。この子も跡継ぎとして学んでいたそうで助かりました」

あのおっさんは幼い子に何を教えているのか…。でも跡継ぎって言うなら仕方ないのか?

パリオンはすでに弔ったらしく、物騒な魔法は見ないで済んだ。


「私も先生の弟子です! この仕事を受け継いでいきます」

アグリって名前の女の子は力強くそう言った。しっかりしてるなぁ…。

(その二人に引き継ぎをさせたのじゃ…大変だったんじゃぞ?)

(…大変だったのはロリっ子じゃなくて私…)

お疲れ様です…。ありがとうございます。

またお供えに行かなきゃ。



深夜まで打ち合わせをしたりしながら時間を潰し、いざ遺跡のサークルへ。

「うぅ…お腹空いたぁ。最後にもう一回だけ…」

「別れる直前みたいな事言うな! そんなので求められても私は嬉しくないからね」

「お二人はそういう関係なのですか?」

「ち、違います! パートナーなだけです」

「…ひどいよ。 あ、照れてるのか」

「うっせーですよ!」

「ふふっ。なんだか若い頃を思い出します…」

会話しながらも沼地を進み、カニを三匹、クマをニ匹仕留めて遺跡に到着。


「まずは捕獲した吸血鬼で試してみます」

「ここに置けばいい?」

リールーは麻袋をサークルの真ん中へ下ろす。

「はい、置いたら離れていてください。アグリ、学んだ通りに…」

「はい!」

麻袋から顔だけ出された吸血鬼はすでに目を覚ましていて涙目。

罪悪感やべぇ…。


呪文のようなものを唱えて、ブラックソウルストーンを掲げると儀式は終わったらしい。

「確認します」

リナさんが吸血鬼を確認。眼を見たあと猿轡を外して歯の確認。

「大丈夫です。アグリ、成功ですよ」

「…やった! 師匠、私出来ましたよ…」

そのままリールーの治療もする為に、麻袋の女の人をサークルから退かす。


「お願い、助けて…」

「うるさいなぁ…また猿轡するよ?」

「うぅ…」

リールーがひどい。


「リールーさんの儀式は私が行います。アグリは少し休んでなさい」

「はい」

アグリも吸血鬼だった人も寒いのか震えてるからサークルから離れた所で焚き火の準備。

「ねぇ…シルビア、ボクはシルビアを守れるのならこのままでもいいよ?力はあるし」

「本気で言ってるの?」

「うん。ボクにとってはシルビアが一番大切だからね」

「嬉しいけど…それなら尚更元のリールーに戻って」

「なんで…?強いよ?」

「くっついた時に冷たいリールーなんてイヤ!」

「わかった! 直ぐに治してもらうね!」

手のひらコロッコロかよ! 


リールーの儀式が進む中焚き火の傍でアグリを休ませる。

「あの…私はどうなるのでしょうか?」

未だ麻袋から顔だけだした状態の女の人は不安そうにしてる。

どうすると言われてもなぁ…。もう吸血鬼じゃ無いのなら逃してあげてもいいんだけど。

「私は旅をしてる途中で感染させられました…」

身の上話始めちゃったよ…。あんまりそういうの聞きたくないんだけどなぁ。

「治療が間に合わず…吸血鬼になってからはあの古代の墓に籠もり、入ってきた冒険者だけを相手にしてきました」

それで私もやられたんだよなぁ…。とは言ってもその事実もなくなってるし、別に恨みもない。


「シルビア! 治ったよ!」

「リールー!」

抱きついてきたリールーが温かい…。

「良かったよ…リールー…おかえり」

「泣くほど嬉しいかー! 愛されてるなボク」

「…知らないっ」

人の気も知らないで…。

(良かったではないか。これで夜はぬくぬくじゃな?)

ありがとうございます。一応お礼は言っておきます。でも面白がらないでほしい!

(よいではないか。これで元通りなんじゃし)

元通りではないけど…。アグリは師匠を失ったし、治療した吸血鬼はどうしたらいいか…。


私がロリ神様と話してる間に、リナさんの治療もアグリが無事に済ませたらしく、焚き火を囲んでこれからの事を話し合う。

「私は、ムーサルにとどまります。師匠の意志を継ぐっていうのもありますが、この子を一人にはできません」

確かにまだ保護者が必要な感じでもあるアグリを見てくれるなら、気分的には安心だ。

(お前と二つしか変わらんぞ?)

そうだとしても、成人前なら保護者がは必要でしょう。

(まぁ、その二人が今後吸血鬼治療をしていくから安心してよいのじゃ)

もう吸血鬼は懲り懲りです!!


「後は…コイツだね。どうする?元吸血鬼なんだし始末する?」

「ひいっ…お願い助けて!」

「リールー、流石にそれはひどいと思う」

「しかし、吸血鬼として何人も殺めてたりするのなら、このまま開放というわけには行きませんよ?」

リナさんまで…。


「私は自衛のためにしか戦ってません! 信じられないかもしれませんが…」

「うん。信じらんないね」

「ですね…」

「せっかく治療したのに、始末しちゃうの?」

小さな子にまで何てこと言わせてるんだ私達は。


「リナさん、何とかなりません?」

「…仕方ありません、暫く私が様子を見ます」

そう言うとリナさんはなにか魔法をかけた。

「何したんですか?」

「簡単に言うなら隷属の魔法です。この子もいますし…安全対策です。 いいですか?これから私は貴女を時間をかけて見極めます。信用に値しないと思った時には…」

「わかりました。その時は一思いにお願いします」

「ふーん…それなら今でもいいよね?」

リールーはいきなり刀を抜くと斬りかかった。

止める間もなかった。





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