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ダンジョン



さすがブラックランは国の中心。

市場の商品も潤沢だった。

「シルビア、そんなに買うの?」

「うん、アリエル様に、キナエル様、ノクエル様、ディエル様は甘味、タルエル様は肉だね」

「まさか全員声が聞こえるの!?」

「ううん。そうでもないよ」

(いいねが貯れば聞こえるじゃろ)

攻撃魔法はほとんど使ってないし、お金のやり取りも微々たるものだからな。

でも食神様は食事もしてるし、狩りもしてるのに。

(あいつは我が直接造ったわけじゃないからの、基本美味いものを求めてフラフラしておるんじゃ)

食べ歩きしてる、みたいな事ですか?

(うむ。じゃからあまり気にせんで良いのじゃ)

わかりました。


リールーと聖堂へ行き、お供えをしてランク付けをお願いする。

(我の眷属なんじゃから我に任せろと言うとるじゃろ!)

(でもお願いされましたし)

(…シルビアは見習い。これからも頑張れ…)

((あっ!))

(…早い者勝ち)

どうやらノクエル様がランク付けしてくれたみたい。

ステータスを確認するとちゃんと見習いになってた。


「リールーはランクなんだった?」

「見習いだよー。シルビアは?」

「同じだね。また依頼頑張らないきゃ」

「それなんだけどさ、王都へ行ってみない?」

「王都?」

「依頼も豊富だろうし、ランクを上げるにもいいと思うよ?」

確かに都会のが色々と依頼はありそうだけど…。

(ノク、お前よくも我の仕事を!)

(いいじゃねぇか、誰がつけても同じだろ?)

(やかましいわ。お前は肉さえあればいいんじゃろ!)

(…脳筋)

まだやってた…。



ルディアさんに挨拶したくて家に寄ったけど、留守だった。

今日は門番もダルさんじゃなかったし、お休みなのかな。


リールーと相談して、このまま王都に向けて出発することにした。

まだ午前中だし、今からなら夜までにはロリッコテッドに着くだろうって判断。

食料もまだあるから買い足す必要もない。

それに…

「もう絶対馬車には乗らない!」

ってリールーが。まぁあんな目にあったらなぁ。

(まだ修正されておらんから、お前達も馬車が来たら気をつけるんじゃぞ)

そっか! ゲームなら馬車にはプレイヤーしか乗らないけどここはリアルだ。

当然利用客が……え?あれ利用する人いるの?

(当然じゃろ)

猛者かよ。

街道でもし馬車に出会ったら大きく避けよう。轢かれたらたまったもんじゃねぇです。


ブラックランをでて、街道へ出る辺りでルディアさんとダルさんが腕を組んで歩いてるのに出会った。

「あら! 帰ってたのね?その様子だとまた出かけるの?」

「はい。王都へ行ってランク上げをしようかと思いまして」

「なるほどな。王都なら依頼も多いだろうが…都会は治安も悪いから気をつけるんだぞ」

「ありがとうございますダルさん」

お二人はダルさんのお休みを利用して温泉へ湯治に行っていたらしい。

矢を受けた傷に効くんだとか。

場所を聞いたらエルダーブルー厶聖域のすぐ近くって言ってた。

勇者様とドラゴンを倒した時に見つけたんだとか。


ルディアさん達と別れて歩きだしたらリールーが…

「シルビア、温泉行きたかった?」って聞いてきた。

「うーん、ちょっと気になるけど、あの温泉、狩人達の溜り場になってるし、丸見えだからね…」

「それはダメ!!」

一緒に行こうって言うのかと思ったら全力で止められた。なんだよー。

(わかってやれ。お前の肌を他人に晒したくないんじゃろ)

それって…。

(大切に思われとるの?)

やだ…なんか恥ずかしい。リールーって私の事そういう風に?

気になって、先に歩いて行っちゃってるリールーを追いかけて顔を覗き込んだら怒られた。

理不尽だ。



のんびりと街道を歩いてたらガラガラと不吉な音が…。

まさかと思って振り返ったら馬車が!

「リールー! 外道な馬車が来た! 逃げないと轢かれるよ」

「うーわっ…最悪」

街道から離れて、岩陰から覗く。

相変わらず荒ぶる馬車は道を行くすべてのモノをはね飛ばしながら進んでいく。


「ドラゴンよりアレを始末したほうが良くないかな?」

「ホントだよ。怖すぎる…リールーの仇だし」

「ボク死んでないからね?」

「言葉のアヤだよ」

馬車も通り過ぎたし、出発しようとしたらリールーがなにか見つけたらしい。


「ここ洞窟だ! でも、何ここ。入り口らへん血糊でべったり…」

私も見に行ったら確かに地面や周りの岩にもドス黒いシミが沢山…。

「どうする?入ってみる?」

ここって確か崩れ落ちたファ…

(崩れかけのファンキーじゃ!)

…はい。名前からしてヤバそう。

ただ、ここは比較的簡単なダンジョンだった筈。

(そうじゃな。お前たちなら余裕じゃろ)


「たまには冒険しようか?」

「いいね! じゃあボクが前を行くから援護お願い」

「任せて」

リールーに続き洞窟へ。


中は暗いけど壁に立てかけられるようにお墓が沢山ある。“キィーキィー”と最近聞いた嫌な音と、人の気配。

リールーは口の前で人差し指を立てると、しゃがむ様に指示をくれる。

「スケルトン3、吸血鬼1」

「わかった」

私のミニマップにも見えてる。

ただ…どうやら奥の部屋にも、もう一人いるっぽい。


「こっちに背を向けてるから仕留めれる?」

リールーの横から覗き込むと、確かに吸血鬼が焚き火の方を向いて座ってて、こちらに背を向けてる。

「スケルトンは弱いからバレてもいい。吸血鬼優先で!」

「待って、奥にも一人いるからなるべく静かに…」

「…わかった、まぁバレたらボクに任せて」

私はうなずくと、吸血鬼に狙いを定めて矢を放つ。

当たったか確認をするより早く、視界にいるスケルトンへ二射目。キレイにヘッドショットが決まってバラバラに。

ただ、吸血鬼が死ぬときの変な光で別のスケルトンが警戒態勢に。


リールーはすぐさま駆け出し、仕留めに行った。

ミニマップで、奥の敵も赤い光点に変わったから弓を構えて、狭い通路を狙う。

ただ、おかしなことが起こった。

奥の敵を示す赤い光点が2つになったのだ。

「リールー! 奥から二人くる!」

「一人じゃないの!?」

「増えた!」

「ちっ、死霊術か!」

あぁ。なるほど…あったなそういえば。


奥の通路から先に出てきたのは…あれって山賊? ただ、普通と違って身体が紫色にボワぁって光ってる。

あれが死霊術で起き上がった死体か。

走るリールーがたどり着くより先に私の矢が命中し灰になる山賊。

「ナイス! あとは任せて!」

リールーはそのまま狭い通路へ駆け込んでいってしまう。

私も慌てて後を追う。


通路にかけ組むと奥から剣戟と、嫌な感じのする魔法の音が…。

奥の部屋へ私が入ると同時に吸血鬼は灰になっていった。

「リールー! 大丈夫?」

「へーきへーき! それより見て?めっちゃいい宝箱!」

「もう! 心配したんだからね」

「ごめんごめん」

無事で良かったけど…。


手分けして貰えそうなものを漁る。

「ブラックソウルストーンだ! 珍しい」

「なにそれ?」

「武器とかを魔道具にする時に使うやつだよー。ブラックは人の魂を捕まえるやつ」

あぁ! 確かに黒は珍しいかも。吸血鬼の治療に必要になるやつだ。

(…そう。売ってもそこそこの値段になる)

あの石もノクエル様の管轄です?

(…そう。使い道もあるからもっててもいい)

わかりました。 あの、ノクエル様、一つお尋ねしてもいいですか?

(…いくつでもいい)

ありそうございます。吸血鬼ってノクエル様の眷属とかだと思うんですけど、倒していいのですか?

(…なんで?)

あら?私が変なことを聞いたみたいになってるな。

(それこはあれじゃ。狩りをして野生動物を仕留めても食神から“いいね“はもらえても怒られはせんじゃろ?)

はい。それと同じ?

(うむ)

(シルビアのが大事…)

ありがとうございます!




リールーはブラックソウルストーンを貰っていくらしく鞄に詰めてる。

他には武器や鎧も少しあったけど、ボロボロだし放置する事にした。


連戦だったけど、無事にダンジョンをクリアした私達は足どりも軽く、それでもロリッコテッドに到着したのは夜の帳が降りる少し前だった。


村の入り口には恐怖の馬車が止まってて、リールーがめちゃくちゃ威嚇するから、御者が真っ青になってた。

気持ちはわからないでもないから止めなかったけど…。

(今のところ馬車の修正に関しては目処が立っておらんらしいのじゃ)

怖すぎる…。

リールーがそのうちブチギレて攻撃しそう。


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