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山へ 下山編



日が昇り、吹雪も落ち着いてきたから朝食の下準備をしてリールーを起こす。

「リールー起きて。いい天気だよ。朝ごはんもできたから」

「んー…まだ眠い…」

「晴れてるうちにグライダーで飛ぶんじゃないの?」

「…そうだった! 今日がボク達の初飛行だよー」

ようやく覚醒したリールーと、焚き火のそばで食事。

焚き火で炙ったパンに、これまた炙ってトロッとしたチーズを載せてリールーに手渡す。


「ありがと。 あむっ、ん…あっつ! でもこれ美味しいー」

「よかった、まだあるから欲しかったら言ってね」

簡単だけど、意外と美味しいのはチーズがいいからかも?

この世界、やたらチーズはあるからなぁ…。

チーズに力入れすぎだろ! とか思ったけど、よく考えたらゲームにはチーズ好きな神様がいたっけ。

(とろけたチーズがトゥ○ットゥー!)

…なんすかロリ神様。

(…なんでもない)

朝からかっ飛ばしますね?テンションについていけませんよ私。

(ノリの悪い奴め! いらん恥をかいたではないか!)

それも一期一会。

(そう思うならノッてくれればよいじゃろが!)

嫌ですよ、巻き込まれて私までケガしたくないです。

(くっ…一人で大ケガしたわ)

キナエル様に治療してもらってください。

(キナー、シルビアが反抗期じゃー冷たいのじゃー)

(ちょっと、私まで巻き込まないでください! せっかく見てみぬふりしてたのに!)

巻き込み事故ダメ、絶対。



私が朝食の後片付けをしてる間にリールーはテントを畳んでくれたから、マジックバッグへ収納。

リールーがグライダーをもってすっごいワクワクしてる。

「行くよシルビア! 高さが足りなくなったら上昇気流に乗ってね。目的地はブラックラン! 忘れ物はない?」

「うん、大丈夫」

私もグライダーを抱えて、リールーに付いて行く。

東屋からちょうどパルクールの方向にジャンプ台が設置されてて、手すりには風を見るためか風車が設置されててくるくると回ってる。


リールーはいつもどおりゴスロリ姿の上にコートを羽織り…

「ボク先に行くからね! ちゃんとついてきてよー」

そう言うと走り出して…飛び降りた。

「ほんとに飛んだし…」

慌ててジャンプ台の先まで行くと、グライダーで滑空するリールーが見えた」

覚悟を決めるか。助走をつける為に東屋付近までもどる。


動きにくいのも心配で、私は寝るときに着ていたワンピースにコートだけ羽織っている。

「はぁ…。 よしっ!」

ジャンプ台に向かって走り、そのままジャンプ。

落下し始めたところでグライダーを取り出し掴まる。


「…おぉ、すっげーですね、これ」

(良いものじゃと言うたじゃろうが)

目の前で落下してきた人を見てなければここまで抵抗感はなかったと思うけど。


山からブラックランまではかなりの距離だけど、リールーは迷うことなく飛んでいく。

私もそれについていく。

時々上昇気流で高度を上げるリールーに習い、同じように飛んでいく。

(これならあっという間にブラックランに着きそうじゃな)

はい。地道に街道を進むのがバカらしくなりますね。


イリタマゴ湖が見えたところでリールーが川沿いに進む。

リバーサイドを上から見るつもりかな?


リバーサイド村も越え、更に川に沿ってすすみ、左手にブラックランの壁が見えるあたりでリールーは着地。

私もゆっくりと高度を落としていき、リールーの少し手前に降り…

ズザザザー…

「ちょっとシルビア! 大丈夫?」

「いたた…。 うん。コートのおかげで怪我はしてないよ」

もこもこコートがクッションになってくれて、転がったけど擦り傷もない。

鎧着てなくてよかった…。

(鈍臭いのー)

初めてなんだから仕方ないじゃん!

(リールーはきれいに着地しておったぞ?)

…そうですね! まぁ私はコケたけど誰かみたいにスベってケガしてませんけどね。

(また木桶を落とされたいか?)

ごめんなさい。あれ痛いからやだ。

今度はちゃんと突っ込みますから、機嫌直してください。

(絶対じゃぞ?)



「リールー、ブラックランって言ってたけど、随分離れて降りたね?」

「だってこのまま街に降りるわけに行かないでしょー目立ち過ぎるし」

「それもそっか」

「シルビアのカッコ悪い姿もボクにしか見られなくてよかったね?」

「リールーならいいよ。心配してくれたし」

「お、おぅ…」

(朝からいちゃいちゃしておるなぁ?)

うっせーです!!



目的のグライダーも手に入れて、実際に使ってもみて、便利なのも実感できた。

(そうじゃろそうじゃろ。じゃからな?)

はい?

(ランク付けは我のところへ来るんじゃ)

わかりました。お世話になってるのは確かですもんね。

ブラックランならお供え買えるかな。大きな街だし。



リールーもランク付けをしたいって言うから、一緒に市場でお買い物をするためにブラックランへ移動中。

「お供えってなにがいいんだろう」

「初めてなの?」

「うん、お祈りだけならしたことはあるけど…」

「リールーはやっぱり戦神様?」

「そうだね。でも今回は最高神様の所に行くよ」

「戦神様なら肉、最高神様なら甘味が好きだよ?」

リールーが突然立ち止まり、真面目な顔で聞いてくる。

「…シルビアってもしかして本当に神様の声が聞こえる?前もお告げとか言ってたけど」

どうしよう、答えていのかな。

(大丈夫じゃよ。神官も聞こえておるからな)

そっか!


「聞こえるよ」

「そうなんだ。神託とかもある?」

「うん。ただ私個人の事だけ」

「それのがすごいと思うけど…シルビアって何者?」

「リールーの相棒だよ」

「…わかった。 じゃぁさ?前の約束、まだ噛み痕は残ってるけど聞くね?…このままボクと組んでくれる?」

「うん! よろしくねリールー」

「改めてよろしく。シルビアはボクのだから」

「うん! ちゃんと守ってね。私もリールーの事守るから」

こうして私とリールーと正式な相棒になった。


リールーは他に仲間を増やすつもりはないみたい。

(それはそうじゃろうなぁ)

でもクエストの難易度によっては考えなきゃいけないと思うけど。

(しばらくは大丈夫じゃろ)

その辺の判断はリールーのがしっかりしてそうだから、その時は相談するか。

そろそろ書きためたストックがなくなりそうなので更新ペースが落ちるかもしれません。

シルビア&リールーに、元ネタのゲームで、ここへ行ってほしい!とか、あの人と絡んでほしい!等ありましたらコメント頂けると嬉しいです。

ネタが浮かべばそれで書くかも?

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