私の名前は…
(名前は決まったかの…?)
うーん…うーん…。
(後から好きに変えられると言うておるじゃろ、そんなに悩まずともよいではないか)
そうは言っても、苦労してキャラクリした外見になってるなら変えたくないし。
どうせ変えるってなったら、お金とか代償が必要でしょう?
(それはそうじゃ。何事もタダではない)
やっぱり…だったら変えられない事を前提にしておかないと。
どんな外見にしたんだっけ…髪はそこそこ長い、色は鈍い銀色。アッシュとでも言うのかな。
銀、シルバー…名前決めた!
(やっとか…お茶請けもなくなってつまらんかったのじゃ)
すみません…。
(それで?名前は?)
シルビアにします。髪の色から取りました。
(ほー。じゃあシルビアで登録するのじゃ!)
………。
いや分かんないし!
(あぁ…ステータスを見てみると良いのじゃ)
どうやって!
(手間のかかるやつじゃの…ゲームではどうしておった?)
キーボードかコントローラーを押せば…。うわっ…出た!
ステータス表示させるイメージしたらでたって事?
(うむ。名前の欄を見てみぃ)
おぉ…シルビア 性別女 年齢15 レベル1……
他は見えないんだけど!?
(そこはほれ、”いいね”を貯めて交換じゃ)
ひっどい詐欺みたいだ! 商品買ったはいいけど、全部の拡張機能を使いたかったら追加で課金してね! みたいなやつ。
(詐欺とは失礼なやつじゃの…。しかも記憶がない癖になんでそんな事ばっかり突っ込むんじゃ!)
知りませんよ! 記憶消したのもどうせあなたでしょ? 不完全だったとか?
(そんなはずは無いんじゃが…まあよい。不都合があったら都度対処するしかないのじゃ)
怖いよ…リセットとか消去される!
(そんな悪魔みたいな事せんわ! 微調整するだけじゃ!)
良かった…。一瞬邪悪な神様かと心配になった…。
(本当に失礼なやつじゃの…)
ごめんなさい。記憶がなくて常識に疎いので。
(今更よう言えたな!?)
まぁまぁ…。それで、私はこれからどうしたら?
(何をするかは自由じゃ。エッチな事をしてそれで生計をたててもよいし、裏家業で荒稼ぎしても良い)
なんで勧めるのそっちばっかり?しかも私まだ15の未成年です!
(そこの成人は15じゃから問題ないぞ?)
気持ちの問題です!
(ほれ…今そっちに我の石像を送ったのじゃ、それに触れれば、どの組織に属するか、どんな生き方をするか最初の指針を決められるのじゃ)
最初の?
(うむ。例えば義賊として名を馳せた後に、暗殺ギルドでトップになり、それから色街のトップになってもよい)
だからなんで例えがそういうのなの?欲求不満なの!?
(……)
あっ…これ触れたらアカンやつや。
えっと、石像…石像……ホントだ! さっきまで無かった祭壇と言うか祠? ふむ、この石像……。
(なんじゃ?)
のじゃロリ…
(誰がロリじゃ!)
だって、この像ペッタンだし…背も小さくて可愛らしい。
(お前だってペッタンじゃろうが! まぁ可愛いのは間違いないのじゃ)
私はペッタンじゃないし! スレンダーは正義なんです! スタイルのいい美微乳なんです! まな板と一緒にしないでください!
(誰がまな板じゃ! この世界では幼な可愛い神様として崇められとるのに!)
この世界ロリコンばっかなの…?
(……)
ゴガーン!
「痛ったぁぁぁ!! なんで木桶?ここはせめてタライでは?」
(タライなんぞその世界にはないわバカめ! バチがあたったのじゃ!)
やったのアンタか!
(自業自得じゃ! しかも最高神に向かってアンタじゃと?我には立派な名前があるのじゃ!)
いや知らんし…教えてくれてないし!
(…ふんっじゃ。自分で聖堂なりで調べろ!)
それっきり神様の声は聞こえなくなった。
拗ねてしまったらしい。
性格まで幼女じゃん…。
聖堂にいったらお供えして謝るか…。
その為にもまずはここを出ないとね。
祭壇の隣にあるテーブルには、鍵開け道具…所謂ロックピックが数本置いてある。
脱獄してくださいって言ってるようなものだよね。ガバガバじゃんここの牢屋…。
これで牢破りしてもいいわけか。でもそれしたらロリ神様が更に拗そうだしやめとこ。
祭壇の石像に触れると、すっごい数の選択肢…。
一番上に色街の見習いっていうのがあるのは嫌がらせか?
というか、私のやってたゲームにそんなアダルト要素なかったけど…。
…あぁ、ゲームじゃなくてここがリアルならそういうのも必要なのか。
子孫繁栄とか世界の存亡に直結するし。ロリ神様の言い分も間違ってはないんだよね。
だからってこの選択肢はない! 選ばないから!
えっと…盗賊ギルド下っ端構成員、暗殺ギルド下っ端…ヴァンパイアの眷属…イヤ、なんで選択肢の上の方こんなのばっかなの?!
飛ばす飛ばす!
…………
………
……
…
疲れた…。選択肢が多すぎるのも問題だよ。
結局私が選んだのは、田舎の村にある鍛冶屋の娘。
あのゲームが元になった世界なら鍛冶屋は需要高そうだし、手に職をつけて損はない。
………決めたけどどうしたら?ゲームみたいに、この見えてる一覧を押せばいいの?
ブブー
…嫌な音がしたな?
”器用さのステータスが足りません”
ふっざけんなよっ! あの凄まじい数の中からようやく選んだのに!
だったら最初から選べれる選択肢だけ表示してくれよぉ…。もうやだぁ。
…寝よう。ベッドはあるし。
起きたらまた考えよ。
硬いなぁこのベッド。藁に毛皮を敷いてあるだけだから仕方ないけど。
うわっ…獣臭っ。敷マットが毛皮だもんそうだよね…。
はぁ…もう…どこかわかんないけどお家に帰りたい。