3話 いつもと違う道
カーテンから射す朝日が眩しい。
「ああ、今日もいい天気だな…。まてよ、朝日……? ヤバい!寝坊!?」
昨日の晩、僕は寝落ちしていたみたいだ。慌てて布団から跳ね起き、制服に着替える……必要は無さそうだ。
というのも、カーテンから射す朝日がオレンジ色だったからだ。僕はズボンを履き、カッターシャツを着たところで、その手を止めて枕もとの目覚まし時計を見る。
5時30分
「……早起きしすぎたな」
仕方がないので、僕は今日のトモ部の朝練を開始することにした。まあ、朝練と言っても、どうやったら友達ができるかをひたすら考えるだけなんだけどね。
現在我が部はマンネリ化している。なぜかと言うと、もう友達を作るための案が出尽くしたからだ。
入学3日目は今流行りの小説を読んで、趣味の合う人に声をかけてもらおうとか考えてたなー……。まあこのデジタルなご時世、皆ようつべしか見ないんだけどね。それを忘れていた僕は、ただの時代遅れな本の虫みたいになってしまった。
入学4日目は体育の身体力テストで注目を浴びようとした。実は僕、こういうときに目立つために筋トレは毎日欠かさずやっているし、筋トレ前は近くの河川敷でランニングをしているんだ……。ここで運動できるよアピールをしておけば、男子の注目の的になること間違いなしだ!
と、思っていた時期がありました。僕の晴れ舞台になるはずだった身体力テストは、なんかヤケに脚の速くて筋肉隆々なイケメンなクラスメイトの出現で、特に見せ場もなく終わってしまった。
走り終わった後にちらっと聞いた話では、彼は中学で陸上部の部長をしていて、全国大会にも出場していたんですって。本気で運動に取り組む人に、学校で目立つためだけに運動した僕が勝てるはずも無い。僕は見事彼を引き立てるモブとなって終わったわけだ。
そんな調子で2週間はあっという間に過ぎてしまったのだ。
ピピピピ…ピピピピ…
目覚まし時計が鳴った。
「6時か……。支度するか…」
結局何も思いつかないまま、僕は朝食を食べて学校へ向かった。
その日もいつも通り何事もなく終わった。本当に何もなく。
しかし、その日の帰り道はいつもと違った。気分転換に寄り道をしようと考えたからだ。僕はいつもの住宅街から外れて、お店が立ち並ぶ商店街へとやってきた。
何かおいしいものを焼く匂いに釣られて僕は商店街を歩いていく。少し歩いていくと匂いの正体が焼き鳥の匂いであることが分かった。
僕はそのお店で串を3本ほど買い、商店街から左に逸れた場所にベンチのような丸太?を見つけたので、そこに座って焼き鳥を頬張る。
ふと辺りを見渡すと、視界の左端にペットショップを見つけた。癒しを求めていた僕は気の赴くままに店内へと入っていった。