1話 トモダチが欲しい!
初投稿です!
【深友高校トモダチ研究部】
この部活は『真の友人』とは何かを研究し、『真の友人』を作ることを目的としています。あなたも〈トモ研〉に入部して友達を作り、華のハッピー高校ライフを楽しみましょう!
〇部員数:現在1名
〇入部条件:誰でも大歓迎
あなたの入部を心よりお待ちしています!
これは僕が創設した部活。部員は現在僕1人だけで、部長はもちろん僕だ。創設から2週間、僕は部員確保のために日々奮闘している……。
2044年4月11日の深友公立高校入学式において僕はありったけの勇気を振り絞り、友達を作る決意をした。
僕の名前は佐藤公太、今年入学のボッチ候補生だ。
なぜ僕がボッチ候補生なのかというと、僕が生まれつき持つ天性のコミュ障と人に「おはよう」などの第一声を話しかける勇気を持ち合わせていない所為で、小学校から中学校の卒業までロクにトモダチと呼べる存在を作ることが出来なかったからだ。
このまま社会人となって、一人も親友を作ることもできずに寂しく生活する事を想像すると……ぞっとする。
「僕は高校生活で友達をたくさん作って華のハッピーライフを送るんだ……!」
そう意気込んだ僕は、玄関を勢いよく開け、意気揚々とその歩を深校へと進めた。
学校に着くや否や、簡単な入学式の説明を受けた後、胸ポケットに紅色に縁どられたリボンと美しいバラを付け、僕たち新入生は式場へと向かう。
僕は人の印象は初見でほぼ決まると思っているので、式中常に、今からぶっつけ本番で卒業式に放り込まれても何ら違和感を与えないような綺麗な姿勢を保っていた。
「よし、ここまでは完璧だが……、本番は今から教室で行われるオリエンテーションだ。気を引き締めていこう!」
心の中で気合を入れた僕は校舎3階の2組の教室に案内され、運命のオリエンテーション……自己紹介が始まった。
「〇〇中学から来ました佐藤公太です。好きな事は読書です。よろしくお願いします」
はい、いつも通りですね。
違うんです。自分の番が来るまでどんな自己紹介をすれば印象が良くなるか考えていたんです。でも、凝っていけばいくほど意味不明な内容になっていったから、ここはシンプルイズベスト……
うん、つまりチキりました。僕の地味な自己紹介をぼそぼそと喋った事が功を奏したのか、クラスメイトからは『こいつ陰キャだな。面白くなさそう』認定されたよ……。
その後自己紹介で失敗した僕は見事誰からも話しかけられず、もちろん話しかけることも出来ずにそのまま帰路に就いた。
家に帰ると意気消沈した僕を心配した両親が慰めてくれた。
「だいじょうぶ。今日は失敗しちゃったけど、きっと明日は上手くいくわ」
「なよなよしていても友達は作れないぞ。今日の失敗をどう明日に生かすかを考えなさい」
母が慰め、父が勇気づけてくれる。本当に優しい両親だ。おかげで少し元気が出たような気がする。
夕食に母が用意してくれた大好物の鯖の味噌煮を口に放り込み、明日の計画を立てながら僕は布団にもぐりこんだ。
「高校生活初日は失敗に終わっちゃったな。明日は友達ができるといいな……」
僕はそんなことを考えながら、深い眠りへと落ちていった。
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