理解者と恋人
注意事項1
起承転結はありません。短編詐欺に思われたら申し訳御座いません。
注意事項2
恋愛です。R15です。
内容的に全年齢は憚られるので、こうしてます。
「あの子にとって、恋人ってさして大事な存在じゃ無いんだよね。理解者のが遥かに大事」
「でも、誰だってそうじゃないかなぁ。あぁ、これは僕の意見だから、あまり深く考えないで」
彼のにこやかな笑顔を受けて、お別れしたのがつい最近。噂のあの子が帰ってきた。
部屋の居間で雑誌を捲り、珈琲に口を付けていた。混じりっけの無い、真っ黒な液体。それを体内に流し込むと、ただでさえどす黒い内面が、より色濃くなった気がする。
そうやって、ただ呆然と相方の帰りを待ちわびる。帰ってこなさそうだけど。だがしかし、予想というのは外れるもので、不意にインターホンが鳴った。私はマグカップをテーブルに置き、玄関へ。
「……」
「ただいま」
夜分に帰ってきた相方に、軽蔑した視線を送る。むしろ平手打ちも、悲鳴も上げなかった私を褒めて欲しい。
そいつは首周りに赤い花を散らし、酒の匂いを漂わせていた。衣類がよれているのは気の所為では無いだろう。また他の女の元へ行ってきたな。関係ないけど。
「いい加減刺されれば良いのに。世の女が喜ぶよ」
「君ってば本当にドライだよねー。もう少し嫉妬とかしてよ」
此奴は所謂軽薄な美人だった。顔が良くて、いつも隣に違う女が寄り添う。最低最悪な女誑し。それでも此奴に惚れた女は決まって恍惚とした表情だった。何処まで悲惨な末路を辿っても、其奴を追いかけるのを止めない。
後ろを歩くのを引き止めるように、首周りに肉が巻き付いた。胸元まで引き寄せると、頭上に顎を乗せる。あぁ、いつもの常套手段ね。
私は首に絡まる腕を解くと、一つ溜息を着いた。それから薄笑いを浮かべ、舌を出した。
「君、追っかける側じゃん。だから私は追っかけてやらねぇ」
一生私を居場所としてろ。ばーか。
珍しく、女誑しな友人が夢中になっている子がいた。鋭利な目元に、薄い唇。常に何かを諦めたような陰りある、冷ややかな美人だった。そんな君に興味を持って、ちょっと話しかけてみた。
「珍しいね。彼奴に絆されない子とか」
「ああいうタイプは夢中になられると冷めるタイプだから、私は一生彼奴に恋しねぇ」
けっ。と吐き捨てるような言葉だった。表情一つ変えていない。ただ侮蔑の色だけが浮き彫りとなる。それを見て、思わず髪が逆立つのを感じた。興奮を押さえきれない。
「はははは!! 最高じゃん君!!」
あぁ、君ならば、君ならば、彼奴の理解者になってやれるかも知れない。恋人という、理解者に。
こういう女子ちゃんがいたらお友達になりたいです。
周りを良く見てるし、絆されないし、ちょっと口悪いし。
憧れとして好きなタイプの一つですね。
他にもいっぱいあります。