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魔王と四天王で、敵は合計何人でしょうか?

いつもご覧いただきありがとうございます。

評価、ブックマークいただきました。重ねて御礼申し上げます。


4人パーティーで旅立ちです。

 結局、二人少女による"土下座"+"涙"の合わせ技という、ヴェントのクリティカルな弱点を突かれ、彼女らを手伝うこととなった。

 なお、仲間になるにあたって、しっかりとノルンから交渉が成され、"価値あるもの"を報酬としてもらうという約束になった。


「魔王城には、古今東西の財宝があると言います。その財宝なら、ご満足いただけると思います」

 リスリスは、ノルンの表情を窺うように述べる。

「報酬は"成功報酬"のみ。前金や歩合による成果報酬などは無しという条件ですが、マスターよろしいですか?」

 "魔王討伐(ゴール)"にたどり着かない限り、報酬が支払われないということは、最後まで付き合うしかない。

「乗り掛かった舟だしね」

 ヴェントの返答に、ノルンは静かに頷いた。


「ベンベン様! ルンルン様! ありがとうございます!!」

 イヴイヴとリスリスは、そのまま地面に潜るのではないか? と思えるほどに地面にひれ伏している。

「もうその土下座やめて!! そんなに気にしないでいいから!! あと、"様"付けも落ち着かないから!!」

 イヴイヴはガバリと顔を起こす。

「では、ボクもマスターとお呼びしたほうが──」

「それは絶対やめて」

「そうです。マスターは私のマスターです」

 ふんすと鼻息荒く、胸を張りながら宣言するノルン。そんなノルンに、"ややこしくなるからお止めなさい"とヴェントはやんわり苦言を呈した。


「わ、分かりました、では、ベンベンさん、ルンルンさん……、ボクのことはイヴイヴとお呼びください」

「私のことはリスリスと……」

 相変わらず正座した状態の二人は、期待の眼差しでヴェントを見上げる。

「えーっと、イヴイヴさんとリスリスさん」

「「……」」

「イヴイヴ、リスリス、よろしく」

「「よろしくおねがいします!」」

 二人は元気に応え、ヴェントはやれやれとため息を吐いた。




「ここってお城だったんだね……」

「はい、ハジハジ城という場所で、30年ほど前まではギリギリ王国の領地だったのですが……」

 牛の四天王と戦った場所は、ハジハジ城という場所であった。

 遺体を持って帰ることもできないため、イヴイヴ達は、亡くなった二人の仲間をハジハジ城の城壁外で埋葬した。


「魔王を倒して、きっとまた会いに来るから……」

 地に膝を付き、簡素な墓標に祈りをささげる二人。


「ベンベンさん、ルンルンさん、行きましょう」

 イヴイヴは立ち上がると、力強く述べる。その瞳には強い決意の色が浮かんでいた。


「行くって……、そういえば、旅の目的とか行先とか、聞いてなかった」

 少女たちの土下座と涙に全力で絆されたヴェントは、目標も目的地も確認せずに同行を了承していた。



「今回の戦いで、ボク達はまだまだ未熟だと痛感しました。魔剣を持つ魔王は、ボクが持つ聖剣でしか倒せません。ですが今のボクの実力では……。なので、レベル上げをしたいと思います」

 イヴイヴは神妙な面持ちで述べる。



 イヴイヴ達は、元々女性4人パーティーだった。勇者イヴイヴ、法術師リスリス、戦士リアリア、魔術師サラサラ。

 4人は最後の希望として、人類最後の王国であるギリギリ王国の王、エラエライ十三世が国中から集めた最強のパーティーメンバーであった。

 しかし、牛の四天王モウモウとの戦いで、戦士リアリアと魔術サラサラは殉死。ヴェント達が介入しなければ、イヴイヴとリスリスも命を落としていただろう。

 "ノルン"という強力なカードは増えたが、四天王との戦いで半壊していては、魔王を倒すなど夢のまた夢。ということで、イヴイヴは"レベル上げ"を行うこととした。



「登場する名前が特徴的すぎて、話の内容が頭に入ってこない……」

「でしたら、固有名詞を"(コウ)(オツ)(ヘイ)(テイ)()()(コウ)(シン)(ジン)"に置き換えましょうか」

「こ、こう……?」



 (コウ)達は、元々女性4人パーティーだった。勇者(コウ)、法術師(オツ)、戦士(ヘイ)、魔術師(テイ)

 4人は最後の希望として、人類最後の王国である()の王、()が国中から集めた最強のパーティーメンバーであった。

 しかし、牛の四天王(コウ)との戦いで、戦士(ヘイ)と魔術(テイ)は殉死。(シン)達が介入しなければ、(コウ)(オツ)も命を落としていただろう。

 "(ジン)"という強力なカードは増えたが、四天王との戦いで半壊していては、魔王を倒すなど夢のまた夢。ということで、(コウ)は"レベル上げ"を行うこととした。



「いや、逆にわけわかんないから!! というか、僕たちの名前まで置き換えなくても良くない!?」

「……難しいものですね」

「……」



 ヴェントは気を取り直し、話を続けた。

「そうすると、敵は魔王と四天王、なのか……。そういえば"牛の四天王"って言ってたっけ」

 先ほどのモウモウは牛の四天王であったのだ。問題は、"牛"が四天王のが何人目で、あと何人残っているのか、ということだが……。


「実は、まだ1人目の四天王で……」

 イヴイヴは申し訳なさそうに述べる。1人目の四天王でパーティーが半壊である。

(ということは、まだ3人も残っているのか……。確かに深刻だよね)


「四天王は全部で3人ですので、まだ、火の四天王と青の四天王が残っています」

「え? なんで3人!? 四天王なのに? っていうか統一感! 牛、火、青って、統一感なさすぎじゃない!?」

 "四天王は全部で3人"という、ものすごいパワーワードの出現に、ヴェントのツッコミが空回りした。


 魔王と四天王で、敵の合計は何人でしょうか?

 答え、4人。


伝令「申し上げます! モウモウ様が、勇者たちに敗れました!」

火の四天王「ふっ、奴など四天王の中でも最弱」

青の四天王「四天王の面汚しめ」

火の四天王「だが、勇者か。侮れぬ相手のようだな」

青の四天王「人間の勇者など、この私が青く染め上げてくれる!」



「っていう、やり取りをしているのかな、やっぱり……」

「マスターは、予知能力をお持ちだったのですか?」

「え? いや、これは──」

「えっ!? ベンベンさん! そんな特別な力を!?」

「すごい。ルンルンさんに"マスター"と慕われるだけありますね」

「違うから! そういうんじゃないから!!」

「では、遠視能力ですか?」

「そうなんですか!? それで次の敵が"青の四天王"だとわかるのですね!!」

「その上、能力が"青く染める"ということまで……」

「ごめんなさい、僕が悪かったです。勘弁してください」



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