第15話 お披露目ですのぉぉぉぉぉ!
★マークとブクマと感想をお願いしますぅぅぅぅ!
「……ゴホン。それで私めをお呼びになるとは、何でありましょうか。サラスティア様。」
グリスさんは、そう言うと立ち上がりお母様にそう言った。
「私とアルフレッドとの長女になるシオンが漸く外に出られる様になったからお披露目に来たのよ。貴方は、一応騎士団の団長なのだからシオンの護衛くらいすることもあるでしょうから、ハァ、今からでもその鍛錬癖を少しでも直しておきなさい。」
お母様はグリスさんにため息混じりにそう言いました。
「……精進します。」
グリスさんは、そう返事しました。
……その返事ってやらないパターンのヤツでは?
「……それじゃあ、私達はこれからシュゼイの所に向かうから修練にもう戻って良いわよ。鍛錬、励みなさい。」
お母様は、グリスさんに背を向け歩き出しながらそう言いました。
「はい!それでは鍛錬に戻らせて頂きます。」
後ろの方でグリスさんがそう言ったのが聞こえました。
しばらくワタシが、お母様に抱っこされていると景色が変わって来ました。
グリスさん達のいた鍛錬場の様な場所から離れると整備された石畳の様な道をお母様は歩いていたのですが、今は庭の様な所を歩いていますね。
沢山の花や草が生えていますね。綺麗です。
「おや?サラスティア様、如何なされたので?」
お母様が庭の中を歩いていると、花や草の生えている沢山の生垣の間からそう言って糸目で細身の頭に狼耳の生えた男性が出てきました。
服装は、何故か和服姿ですね。
帯と和服の間に各種庭を整えるのに必要な道具が挟んであります。
「シオンが漸く外に出られる様になったから貴方にもお披露目しに来たのよ。茶会くらいシオンもする様になるでしょうし、それに貴方、子供好きじゃない。」
お母様は、おそらくシュゼイと言う名であろう狼耳の男性にそう言いました。
「なっ!バレていましたか。お恥ずかしい。それでは、将来のシオン様の為に今からでも香草でも育てておきますかね。」
シュゼイさんはハハハと笑いながらそう言いました。
「それじゃあ私は次は、ルファトにでもお披露目してくるから庭仕事、励みなさいね。」
お母様はシュゼイさんにそう言うと城内に戻って行きました。
城内
「図書室に行くわよ、シオン。」
お母様は城内を歩きながらそう言いました。
図書室ですか。
ワクワクしてしまいますね。
ですが着くまで少し時間が掛かりそうですね。この隙にスキルを増やしておきましょうか。
確かスキルポイントはまだ残っていたはずです。
(取得可能スキル表示。)
ワタシが、そう念じると半透明のボードが現れました。
《取得可能スキル一覧》
「敵意感知LV1」 10ポイント
「五感強化LV1」 10ポイント
「並列思考LV1」 10ポイント
「並列行使LV1」 10ポイント
「予測LV1」 10ポイント
「成長加速LV1」 40ポイント
・
・
・
etc
どれにしますか……。
決めました。
この「敵意感知」、「五感強化」、「並列思考」「並列行使」、「予測」、「成長加速」を習得しておきましょう。
(スキル「気配感知LV1」、「五感強化LV1」、「並列思考LV1」、「並列行使LV1」、「予測LV1」、「成長加速LV1」を習得。)
ワタシがそう念じると、半透明のボードが目の前に現れました。
《スキルが選択されました。コモンスキル「敵意感知LV1」を取得しました。残りスキルポイントは80です》コモンスキル「五感強化LV1」を習得しました。残りスキルポイントは70です》コモンスキル「並列思考LV1」を習得しました。残りスキルポイントは60です》スキル「並列行使LV1」を習得しました。残りスキルポイントは50です》コモンスキル「予測LV1」を習得しました。残りスキルポイントは40です》コモンスキル「成長加速LV1」を習得しました。残りスキルポイントは0です》
無事習得できましたね。
それぞれの詳細情報を見ておきますか。
お母様はまだ探している様なので大丈夫でしょう。
(詳細情報開示。)
ワタシがそう念じると半透明のボードが現れました。
《詳細情報》
「敵意感知LV1」 敵意の感知に補正が入るスキル。
「五感強化LV1」 視覚、聴覚、嗅覚、味覚、触覚に微補正が入るスキル。
「並列思考LV1」 並列思考に微補正が入るスキル。
「並列行使LV1」 スキルなどの並列行使に微補正が入るスキル。
「予測LV1」 予測に対し微補正が入るスキル。予測が当たる確率に補正。
「成長加速LV1」 経験値や熟練度の獲得に微補正が入るスキル。副次効果として、肉体の成長速度に微補正。
ふむふむ。
取り敢えず、敵意感知は常時発動しておきますか。
あ、ついでに忘れていた気配感知も常時発動しておきますかね。
敵意と気配の感知の情報整理は並列思考に任せておきましょう。
あ、図書室の様ですね。
ワクワクします。
「ふむ、サラ様。どうなされました?」
図書室に入ると、本棚の近くのテーブルで飲み物を飲みながら本を読んでいたメガネを掛けた頭に悪魔のツノの様な物を生やした女性がお母様に視線を向けてそう言いました。
「シオンをお披露目に来たのよ、ルファト。」
お母様はその女性にそう言いました。
この人がルファトさんですか。
「そうか。……元気そうな娘で良かったじゃないか。」
ルファトさんは、本に視線を戻してそう言いました。ワタシも本が読みたいですね。
「だうぅ。」
ワタシは言葉にならない声で本を指差しました。あの「魔術理論」という本が気になるのです。見せてくださいお母様。
「おや?その娘、その歳で本に興味を示すのか。……それとこれを持って行って読み聞かせると良い。」
ルファトさんは、ワタシが指差した「魔法理論」の他に「魔物図鑑」をお母様に渡しました。「魔物図鑑」ですか。
気になりますね。
ありがとうございます、ルファトさん。
「ありがとうね、ルファト。」
お母様はそう言って本を受け取りました。
「それほどでもない。……さっさと他のヤツに自慢の娘でもお披露目してくると良い。」
そう言ってルファトさんは、お母様を手でシッシッシと払う仕草をしました。
それを見たお母様は、苦笑いをして図書室から出て行きました。
「次は、シィールかしらね?」
お母様は廊下を歩きながらそう言いました。
「また失敗だぁぁぁぁぁぁぁぁ!!」
しばらくお母様に揺られていると、そんな声が前の方の扉から聞こえて来ました。
びっくりするから止めてもらいたいものですね。
びっくりしすぎて並列思考も一瞬停止しましたよ。
「この声はシィールね。」
お母様は呆れた様にそう言いながら声が聞こえた部屋に入って行きました。
扉を開けると中は、近未来の様な姿をしていました。
中でも目を引くのは、部屋の中央に浮かび上がっているホログラムとその近くの壁に立て掛けられているモノでした。
ホログラムには何かの設計図が描かれており、壁に立てかけられていたのは前世で良く見た、強化外骨格と呼ばれる様な物に似た見た目をしていました。
「また失敗したのね。これで何回目?まあ、兵装をそれ以上に開発して研究しているから良いけど、貴方少し寝たら?」
お母様は、その部屋の中で膝を落として両手を地面に着けていた白衣の女性にそう言いました。
「ぅぅぅぅ。夢の魔導強化外骨格ちゃんがぁぁぁぁぁぁぁぁ。……あれ?サラスティア様?どぼじでごごへ゛?」
お母様が声を掛けた事で漸く気付いた様に白衣の女性は鼻水と涙を拭きながらお母様にそう言いました。
「シオンのお披露目に来たのよ。将来的には貴方にシオンの誕生日に剣でも作って貰うからその為の顔合わせも兼ねてね。」
お母様は白衣の女性……多分、シィールさんでしょう……にそう言いました。
なんですと?剣を誕生日に頂けるのですか。
それは楽しみです。
「ふぇ?は、はい!お任せください!」
泣き顔から一転、シィールさんは笑顔でお母様にそう言いました。
「あら?そろそろシオンを寝具に戻さなくてならない時間になってきたわね。そろそろ、サイメイにもお披露目して上げてくるわね。」
そう言うとお母様は部屋を出て行った。
「よーし、頑張ってシオン様の剣を開発するぞーー。」
そんな声が、閉まった扉から聞こえた気がしました。
気のせいでしょう。
「こんな所でどうされたのですか。皇妃様。」
シィールさんの部屋から出ると、書類の束を持った長く尖った耳を持つ女性がお母様にそう言いました。
「あ、ちょうどいいわね、サイメイ。娘のシオンよ。」
お母様はそう言ってサイメイさんにワタシを見せました。
……お母様、段々とお披露目が雑になってません?
「その娘が例の……。貴方達二人の娘です。兄二人の様に戦闘狂にならないと良いのですが……。」
サイメイは顔色一つ変えずにお母様にそう言いました。
「うふふふ、それどう言う意味かしら?」
お母様はサイメイさんにそう言いました。
「そのままの意味ですよ。皇族全員が戦闘狂って可笑しいでしょうが。」
サイメイさんは、呆れた様にそうお母様に言いました。
「……そろそろシオン様を寝具に戻した方が良いのでは?そろそろ疲れが溜まった頃でしょう?」
サイメイさんはお母様に向かってそう言いました。
あ、確かに少し眠たいですね。
「そうね。シオンを戻してくるわ。じゃあね。」
そう言ってお母様はワタシを寝具に戻しに行きました。
それから月日は経ち、ワタシが生まれてから3ヶ月が経ちました。
次話、シオン、ハイハイ無双。