第101話 迷宮攻略ですのぉぉぉぉぉ!4
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お久しぶりです。
〈マスター。対象群のスキルの解析が完了しました。確認しますか?〉
ワタシ達がドロップ品を回収していると、ギンカはそう報告してきました。
ふむ。
スキルの確認は、回収しながらでも可能ですね。
(お願いします。)
ワタシは、ギンカに思考でそう言いました。
〈承知致しました。既に習得済みのスキルや下位のスキルについては、省かせていただきます。【大鬼種】からは、エクストラスキル『大鬼の筋肉』、『大鬼の骨格』、『大鬼の皮膚』、『大鬼の角』、スペシャルスキル『怪力』を。【水晶鱗大蜥蜴種】からは、エクストラスキル『水晶爪化』、『水晶牙化』、『屈折化』を。【隠密疾風蝙蝠種】からは、エクストラスキル『風推移動』、『風塵属性強化』、『隠密強化』を習得しました。
又、身体情報を解析した事により、エクストラスキル『大鬼化』、『蜥蜴化』、『蝙蝠化』を習得しました。〉
ギンカは、ワタシにそう報告しました。
報告が終わると同時に、ドロップ品の回収も終わりました。
〈ドロップ品の解析結果が出ました。【大鬼種】は、『大鬼の角』と『大鬼の上腕骨』と『大鬼の牙』が一つずつと『大鬼の魔石』が一つです。【水晶鱗大蜥蜴種】は、『大蜥蜴の水晶鱗』が5枚と『水晶鱗大蜥蜴の魔石』が一つです。【隠密疾風蝙蝠種】は、『隠密疾風蝙蝠の飛膜』が2つと『隠密疾風蝙蝠の魔石』が一つと『硝石』が一つです。〉
ドロップ品を前にしたワタシにギンカはそう言いました。
ふむ。
『大鬼の角』や『大鬼の上腕骨』や『大鬼の牙』は、強度が高めなので武器などの摩耗し易い物に加工するのが良さそうですね。
『大蜥蜴の水晶鱗』は、大きさと強度が有るので盾でしょうか。
砕いて素材にしたりするのも良いかもしれませんね。
『隠密疾風蝙蝠の飛膜』は、装飾や防具の関節部などですかね?
防具の素材にしたら、【隠密】や【風塵属性】に補正が入る物になりそうです。
……さて、先に進みますか。
「ふむ。隠し部屋ですかね。」
時々遭遇する【蝙蝠種】の群れや【魔百足種】を倒しながら、進んでいると【領域把握】が近くの壁に反応しました。
目を凝らしてみると、壁の色が僅かに周囲と違っていました。
【領域把握】と【慧眼】で確認してみると、簡単に破壊出来そうなことが分かりました。
「どうしますか?」
ワタシは左手で壁に触れ、振り向くとリリィちゃん達にそう聞きました。
こういった隠し部屋の中に居る魔物を倒すと宝箱を落とすと資料に載っていました。
「行きましょうよ。ぼくは、やる気十分ですよ!」
リリィちゃんは、口元の全身覆服を正しながらそう言いました。
「僕も賛成です。」
アーサーは、片手剣と塔盾の持ち手を握り直しながらそう言いました。
「オイラは、構わないぜい。」
サイモンさんは、獰猛な笑みを見せながらそう言いました。
「某も同じく。」
リリアナさんは、腰に佩いた直刀の鞘を左手で持ち、親指で鍔を押しながら頭を下げました。
「わたくしも、いけますわよ~!」
アナスタシアさんは、右手に持った薙刀の石突を地面に叩き付けながらそう言いました。
「……そうですか。では行きますよ。〈ダン〉、槌形態。ハァッ!」
ワタシはリリィちゃん達からの返事を聞くと、右手に持った〈ダン〉を槌形態に変形させて、壁に叩き付けました。
槌形態の〈ダン〉を叩き付けられた壁は音を立てて壊れました。
壊れた壁の向こうに視線を向けると、周囲を壁に囲まれた部屋の奥に1.5m程の大きさの有る石製の彫像が2体いました。
〈解析を完了しました。【石雨樋像形種】です。〉
ギンカがそう報告すると同時に2体の【石雨樋像形種】が、その背から生えている双翼を羽ばたかせ浮かび上がりました。
「先ずは、……落ちなさい。」
ワタシは、【石雨樋像形種】が飛行を開始すると、左手を前に突き出し、人差し指を下に向けて、クイッとしながらそう言いました。
ワタシの保有する【森羅万象操作】の効果により、周囲の重力を歪められた【石雨樋像形種】2体は、地面に叩き落とされました。
勿論、ギンカの補助を受けているので、リリィちゃん達には影響が及ばない様にしています。
「武装闇斬気纏化・刀身拡張。……死角静斬。」
リリィちゃんは、右手に持った忍刀に極闇属性の闘気を纏わせるとそう言って、【隠密行動】や【暗殺行動】などの補正と独特の歩法を用いて、右側の【石雨樋像形種】に気付かれずに接近すると重力に逆らおうとして上半身を起こしていた【石雨樋像形種】の右腕の肘窩から先を斬り飛ばしました。
起き上がろうとしていた【石雨樋像形種】は再び重力に囚われてました。
「武装火気纏化。『縮地』。『空歩』。〈気炎刀〉炎纏刺刀・剛。螺旋穿炎砲。」
リリアナさんはリリィちゃんが斬り飛ばすと同時に直刀を抜き、その刀身に炎熱属性の闘気を纏わせるともう1体の方の【石雨樋像形種】の背後に【縮地】と【空歩】を用いて回り、胴体の中心にあるであろう魔石に向けて突きを放ち、追撃として螺旋状の炎を直刀を砲身としてゼロ距離から放っていました。
【石雨樋像形種】は、周囲の大気中の水分を【水流操作】を用いて集め、防御をした様で、想定よりダメージを与えられていない様に見えました。
まあ、刺突自体のダメージは軽減できてはいないようですが。
「ッ!フゥッ!」
リリアナさんは攻撃した【石雨樋像形種】から反撃として【水流操作】での円錐状の水弾を至近距離から頭部目掛けて放たれ、それをバク宙で回避し距離を取ると口からそう息を漏らしました。
「浸透墜脚撃・重!」
リリアナさんが回避するのと入れ替わる様に、【石雨樋像形種】に接近したサイモンさんは、踵落としを放ち対象に打撃を浸透させる技【浸透墜脚撃】の重さを強化した技である【浸透墜脚撃・重】を右脚で刺突後の穴に目掛けて放っていました。
今度の攻撃は効いた様で、背部に罅が入り生命反応が消失していました。
「忝いでござる。サイモン殿下。」
【石雨樋像形種】を右脚で踏んでいるサイモンさんにリリアナさんは、そうお礼を言っていました。
「お安い御用だぜい。」
サイモンさんは、ニッカっとしてそう言いました。
「火式・墜閃斬ですわ~!!」
二人がそんな会話をしていると、リリィちゃんが斬り付けた方の【石雨樋像形種】に対し、リリアナさんが頭上に構えていた薙刀を【石雨樋像形種】の背中に向けて右腕側から、そう言って放っていました。
「受け流し。」
薙刀を振り下ろし中のリリアナさん目掛けて【石雨樋像形種】が、自身の尾を振り回して攻撃を仕掛けましたが、アーサーがリリアナさんとの間に突如として現れ、その手に持つ塔盾で【受け流し】ました。
ふむ。
空間の歪みがアーサーが現れる前に生じていたので、恐らく【空間移動】のスキルによるものでしょう。
【空間属性魔法】によるモノなら、【魔素】への干渉が起きるはずです。
【慧眼】や【領域把握】では、その様なことは確認できなかったので恐らくそうでしょう。
「助かりましたわ~!」
リリアナさんは、アーサーにそう礼を言いながら、【石雨樋像形種】に薙刀を振り下ろしきりました。
【石雨樋像形種】は、背に真一文字の斬撃跡ができていますね。
生命反応もほんの僅かですね。
「おや。最後の悪足掻きですか。細剣形態。穿ちなさい、〈ダン〉。螺旋刺撃。」
ワタシは、最後の悪足掻きに【石雨樋像形種】が口の中に周囲の水分を集めるのを確認して〈ダン〉を細剣形態に変形させるとその口から魔石目掛けて捻りを加えた突きを放ちました。
それと同時に【石雨樋像形種】からも【水流操作】によって【疑似吐息】とも言える水の奔流が放たれました。
〈ダン〉は【石雨樋像形種】の【疑似吐息】と衝突すると、【疑似吐息】を霧散させながらその口内に刺さりました。
口内に突き刺さると〈ダン〉は『穿ちなさい』という命令に従い、その刀身を伸ばしました。
【魔水銀】にて構成された刀身は、自身に刻み込まれた【刻印】の効果と装備者の技も相俟って、【石雨樋像形種】の体内を魔石まで貫通しました。
「終わりましたね。」
ワタシがそう言って、〈ダン〉を血振るいする様に振ると、ワタシの思考を読み取り刀身を元の形状に戻しました。
「ふむ。2体で一つの枠組みだった様ですね。」
地面に落ちていた一つだけある【石雨樋像形種】の意匠が目立つ宝箱を拾い上げるとワタシは、そう言いました。
迷宮内で守護師級だったり隠し部屋に居る魔物を倒すと入手できるこうした宝箱は、内部の空間が拡張されており、見た目よりも多くの物品が入っていることが少なくないそうです。
見たところ、【空間制御】と【重斥魔術】のスキルが付加されている様です。
恐らく前者は、内部空間の拡張や取り出すときの補助、後者は内部に入っている物品らの軽量なのでしょう。
「中身を確認してみましょうか?」
ワタシは、リリィちゃん達にそう聞きました。
その後、リリィちゃん達から了承を得たワタシは、宝箱を開けて、中身を確認しました。
中身は全部で、5つでした。
一つ目は、【魔導具】である【雨樋像形核】です。
これを予め作成しておいた身体に埋め込むと【雨樋像形種】を造り出せるという効果の様です。
二つ目は、【魔造道具】である【水湧の短杖】です。
OPを対価に、様々な【水】を創造できる短杖の様です。
三つ目は、素材の一種である【堅石】です。
少し指で叩くと、かなりの強度であることが分かりました。
建材などに使えそうです。
四つ目は、【魔造道具】である【雨樋像形の石盾】です。
【雨樋像形種】の意匠が目立つ石製の盾ですね。
下手な素材の盾より軽くて防御性能が高い様です。
五つ目は、【石雨樋像形種】の魔石です。
これは、通常ドロップ品を兼ねているのでしょう。
その後ワタシ達は、3層を下り4層をも下り、5層に下りた先にある大きな門の前にいました。
この門は、階層守護師が居る証の様なものです。
この階層では、階層守護師を倒さないと次の階層には進めない様になっています。
ですが、この階層守護師は道中の魔物より強くなっており、攻略は難しいものとなっています。
「さて、そろそろ行きましょうか。」
ワタシは、〈ダン〉を抜刀するとリリィちゃん達に振り返りながらそう言いました。
リリィちゃん達は、それぞれ武器を持ちながら頷きました。
ワタシは、それを確認すると門を開けました。




