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Last Message  作者: びゅー
1日目
8/60

1日目-07 昼の休憩③

…。

しばらく沈黙。

はやくどっかいけよ…

さすがに鬱陶しくなってきた。

彼女をちょっと観察してみる。

最初の印象と同じく、おとなしそう。

口調も外見に合っているというべきか。

そして、結構綺麗な瞳。

…しかしさっきの一回以外、この女は表情をひとつとして変えていない。

自己紹介のときもだ。

普通ああいう場合は、もっとおおっぴらに笑ったり動揺したり緊張したりするものだ。

…俺も人のことは言えないが。

ちょっと試してみたくなった。

{…よし、あまりの面白さに腹が痛くなるほど大爆笑させてやる。くっくっく}

よし…ここは…ファンキーなしゃれで…

リアン「ドーナツでもどう?夏」

ローザ「…」

あれ?

リアン「何故笑わない」

ローザ「…笑う所じゃないから」

ぐさっ。

リアン「…大爆笑して、膝抱えて笑うところ」

ローザ「そうなの?」

いかにも不思議そうにそう尋ねる。

ローザ「じゃあ…ははは」

まるで感情のこもらない笑い方。

そしてうずくまる。

…。

ローザ「はは」

…。

リアン「もういい」

見てて悲しくなってきた。

確かに、大爆笑できるギャグではなかったのは認める。

リアン「傷ついた」

ローザ「落ち込んじゃダメだよ」

落ち込ませたのはおまえだ。

リアン「…はあ…」

…。

…。

しばらく時間がたつ。

一向に少女は行こうとしない。

何故ここにいるのだろう。

リアン「何でここにいるんだ」

ローザ「あなたがいかないから」

…。

どうしろというのだ。

…行けと?

…行きたくないんだって。

…。

…。

またしばらく時間が流れる。

リアン「ふう…」

溜息が漏れた。

意図したものか、それとも自然に出た物なのかは、分からない。

リアン「…あえて言うなら、おれは、兵隊になんてなるべきじゃなかったのかもしれない」

ローザ「?」

リアン「本当はもっと自分の進むべき道みたいなものがあって、

そこでそうしていたほうが幸せだったのかもしれない」

ローザ「ほう」

リアン「しかし、おれは、今こうして兵隊になっている」

そして、サボっている。

ローザ「だから?」

リアン「きっと、その意味がわかる時が来るはずなんだ」

ローザ「どういうこと?」

リアン「さあな、自分でもよく分からない」

考えたくなかった。

考えるのは、苦手だった。


ローザ「そろそろ時間だし、行こうか」

リアン「ああ…」

仕方なく立ち上がる。

そして歩き出す。

わからない。

結局何をしたかったんだ?

…少しして気づく。

リアン「そういや…お前も測ってないんだよな」

ローザ「うん」

リアン「いいのか」

ローザ「一人よりは二人」

やっと意図がわかった。

…サボってたのか…

リアン「…それもそうだな」

最初から言えよ、バカ。



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