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Last Message  作者: びゅー
1日目
11/60

1日目-10 いざこざ

…私達は、初日でいきなり変な風に溶け込んでしまっていた…

前のほうや、横では、みんな沈黙している。

おそらく、困ってるんだろう。どうすればいいのか……。

少しグループが出来ている所もあるが。

例えば、あのチャミとか言う子。

もう周りともある程度溶け込んでいるようだ。

…正直、早すぎる気がする。

周りが優しそうな女の子ばかりというのもあるけど。

あの双子は、なにやら話し合っている。

他には、あのスポーツ少年2人。

あのムカツク特待生二人組みもすぐ横で喋っている。

…内容を聞きたくもないが。

…私も、普段なら隣やら後ろやらに話し掛けていってもいいのだが、

{ぐあー}

今日は、少々凹み気味だった。

なにせ…

ピエール「ひさしぶり、マイハニー」

…。

ピエール「気分は優れたかい?」

こんな奴が斜め前にいるんだもの!!

{地獄だ…}

そんな時、背中を軽く叩かれた、気がした。

振り向いてみる。

ローザとか言う子が、こっちを見てた。

レモラ「なに?」

ローザ「すこんぶ、食べない?」

彼女は胸ポケットからすこんぶをとりだした。

レモラ「えーと…」

どうしたものか。


いらんわボケ

おいしそう!いただきます

→おなかいっぱい


ピエール「ねー君、悪いけど今は僕が彼女と話をしてるんだ、すこんぶぐらいの話なら、また後に…」

ローザ「…」

ピエール「…おーい…」

ローザ「今…なんて?」

ローザは、ピエールのほうを向いた。

ピエール「だから、すこんぶぐらいの話なら…」

…その刹那だった。

ローザの右腕から弾かれたすこんぶは、ピエールの顔を掠めて、後ろのほうへ飛んでいった。

そして、チャミと話し中のクルルとか言う子の頭に当たった。

クルル「いたっ」

チャミ「なにすんのよっ…!?」

二人はこちらに目をやった。何人かもそれにつられこちらを見る。

ローザ「すこんぶ…ぐらい?」

ピエール「…へ…」

ローザ「すこんぶ…程度?」

ピエール「…え…」

ローザ「すこんぶ…ごとき?」

ピエール「い、いやそーゆうつもりじゃ…」

口調はいたって普通だった。

表情も何も変化していなかった。

だけど、

怖かった。

ローザ「…あんたに…何が分かるって…」

彼女はポケットから次々すこんぶを取り出すと、

ピエールめがけて投げた!

「きゃーっ!」

「わーっ!」

大騒ぎになった。

みんな机から離れたりして、端のほうへと固まった。

チャミ「ま…まあまあ…」

投げられた3つのすこんぶは、ピエールの右頬、左頬、そして鼻を掠めた。

ピエール「ひ…ひえええええ…」

ローザ「許さない…

すこんぶを…馬鹿にするなんて…

絶対に、許せない」

彼女は、今度はすこんぶを両手に持った。

男「ま、まあまあ落ち着いて、ローザさん」

男が割り込んできた。

確か…ピースだったっけ?

ピース「そ、それぐらいでいいんじゃないんですか?ね?」

ローザ「…どいて。…口の中まですこんぶまにれにしてやる」

無表情。

だけどもう、恐怖だった。

明らかに怒ってる。

外見からはとてもそう見えないけど。

ピース「と、とにかく、落ち着いて…」

リアン「そ、そうよ!おおおおおおお落ち着きなさいローザ!」

がくっ。

レモラ「あんたが落ち着きなさい!」

…。

リアン「ローザ、紅茶をお飲みなさい」

ローザ「いらない」

リアン「そういわずに」

水筒を差し出す。

ローザ「どう見ても紅茶には見えないですが?」

リアン「イメージが大切よ」

ローザ「イメージよりかは、味が大切だと思うけど?」

リアン「そんなことはないわ。ただの水も紅茶だと思えば紅茶になるわ」

ローザ「それ、詐欺って自白してるよ」

リアン「そんなことはないわ。紅茶に含まれるうまみ成分が頭の落ち着きを取り戻してくれるわ」

ローザ「ただの水なんでしょ?うまみ成分なんてないじゃない」

リアン「そこはイメージで補えっつってんだよ!第一紅茶なんかこんなところにあるわけねえんだからさ!」

チャミ「あのー…」

ピース「…」

ローザ「…だから補えないってば!それにどうしてリアンが出てくるの?

今、ピエールにすこんぶの素晴らしさを教える大切な講義をしていたのに!」

今までクールを貫いていたローザが、爆発する。

リアン「どこが講義だ。脅してるだけじゃないか!

それに周りも迷惑してるから仕方なく俺が出てきただけのことだぞ!

ボーナスもらいたいのはこっちだよ!」

ローザ「じゃあボーナスですこんぶあげるから、食べて!」

リアン「何がじゃあだよ。ありがとう。

…もぐもぐ。

すっぱ!!」

ローザ「そりゃそうだよ。酸っぱいよ」

リアン「もっと甘いものがほしいです」

ローザ「じゃ、こっちの『甘いすこんぶ』で」

リアン「何も変わってないだろ!いい加減にしろ!」

ローザ「いや、そこはイメージで補おうよ。甘いって思えば甘くなるよ」

リアン「ぐ…。仕方ない。

甘い、甘いぞこれは…。もぐもぐ。

すっぱぁぁ!!」

ローザ「イメージが足りなかったね」

リアン「無理があるだろ!」

ローザ「だって甘いすこんぶなんてあるわけないじゃん。そこはイメージで補おうよ」

リアン「イメージで味が変わるなら苦労せんわ!」

ローザ「それさっき自分で言ったこと自分で否定してない?」

リアン「そうだ!自分で自分を否定することも時には大切だ!」

ローザ「それはどうかと思う」

リアン「自分を否定しない限り自分以上のものは生まれないんだよ!」

レモラ「あんたら、

そろそろ、いい?」

リアン「おれはいつでも」

ローザ「へ?

あ、わたしが怒ってたんだっけ?」

ピエール「…ごめんなさい」

ひきっつらで半謝り。これで何とか解決した。(?)

ローザ「みなさん、ほんとになんどもごめんなさい、周りが見えなくなってしまって…」

ちなみに、ローザはちゃんと謝った。

その後、こっそりと。

レモラ「…ありがと」

ローザ「…へ?」

レモラ「追っ払ってくれて」

ローザ「うーん、まぁちょっと、鬱陶しかったから」

…。

は、はい。

まさか、そのためだけにあんな大掛かりな事を…?


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