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8:アカイオメガ

「こうなることは解っていた」


 その声は中央シャフト空間に響いた。


「だから私は〝彼〟に助力を求めてこのときのために備えた」


 そのシルエットは警備ロボットたちのものと同一だった。だが――

 

「アルファを守り抜くために、そして、彼女に降るかかる悪意を引きずり出すために!」


――そのシルエットは青くはなかった。それは〝赤〟――まさに真紅の赤。


 そして、それは〝怒りの赤〟

 

 彼が佇んでいたのは中央シャフト空間の最上部だ。そして、その背後に佇むのは――

 

「行って来い。オメガ、君が信じるモノのために」


――彼を生み出したあの青年技術者だった。


「マスター――ありがとうございます」

「礼はいい、急げ。アルファが危ない」

「了解」


 その一言を残して――


「オメガ、戦闘モード起動」


――彼は舞い降りたのだ。



 ~     ~     ~

 

 

「凍結」


 警備ロボットが迫る。

 

「凍結」


 その温もりのない手が迫る。

 

「凍結」

「凍結」

「凍結」


 無数の手が伸びてくる。それから逃れるためにアルファは後ずさったがもう逃げ場はない。

 

「助けて――」


 涙声で拒絶するアルファに――

 

「そこまでだ!!」


――今こそ救いは訪れる。


 赤い鋼鉄の体躯の戦士が舞い降りる。

 アルファに迫りくる魔手を捻り潰すかのように一瞬にして吹き飛ばしたのだ。

 

 その名は〝オメガ〟すなわち〝終わりをもたらす者〟 

 今、彼は、彼本来の役目のとおりにアルファを〝護り〟に来たのだ。


 オメガのボディは赤い光を放っていた。それは自らの持つ〝力〟を全開放しているが故だ。そして――

 

「オメガ?!」

「待たせた」

 

――オメガはアルファの右手を掴んで引き寄せる。


「行くぞ」


 オメガはその右手でアルファを抱き寄せるとしっかりと抱きしめていた。

 

「地下都市の最上階へ行く。そしてそこで最後の歌を歌おう」


 アルファはオメガに答える。

 

「はい」


 オメガの右腕がアルファの小柄な体をしっかりと抱き上げていた。そしてそのまま一気に走り出す。

 

「暴力因子確認」

「暴力因子確認」

「強制排除」

「強制排除」


 警備ロボットどもが口々に連呼する。だがそんなものに遮られるオメガではない。

 

「邪魔だ」


 オメガが左手の指先を突き出す。そしてそこから放たれたのは高出力の光子レーザー

 警備ロボットがまたたく間に爆砕していく。もはや彼らを遮るものはなかった。

 そう――

 

――時間の他以外は――


――今のオメガには時間が無いのだ。

 

「アルファ、しっかりと掴まってください」

「はい!」


 アルファはオメガの首に両手を回してしがみつく。そして、それを確かめると、オメガは最後の力を開放する。

 

「飛翔します」


 両脚部に備えられた核融合ジェットを噴射させて垂直な空間を舞い上がっていく。


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