37
フェリナの部屋についた私は自身と自身の背後にいるギノとラルクを見ながら首を傾けるフェリナに対して苦笑を浮かべながらも目の前の彼女にギノとラルクの紹介を始めた。
「フェリナ、この二人は今日からこの屋敷で働く事になった私の友人のギノとラルクよ。主な仕事内容は私とフェリナの護衛でギノは私専属、ラルクは貴女専属の護衛になるから仲良くしてあげてね?」
途端に真剣な表情でラルクとギノを見比べたフェリナは「どうかしたの?」と尋ねた私にこう告げた。
「……えっと、私の護衛がそっちのオレンジ色の髪の毛の人なんだよね?」
「えぇ、そうよ」
「あのさ、フォリナ。我儘なのは分かってるんだけど私その人よりそっちの銀髪の人がいいな~って。……駄目?」
私は遠慮がちにチラチラと上目遣いでこちらを見てくるフェリナに『ん?まさかのまさか……?』とフェリナがギノルートに向かったのかと疑いながらも、一度その場で顔だけをギノに向けてみる。
そうすれば声は出さずに「絶対にやだ」と口を動かすギノ。
私は彼からフェリナへ目を向けると「……駄目かな、フォリナ?」と自身に問い掛けてきた彼女に苦笑を浮かべながら頷いた。
「……悪いわね」
「……ううん、こっちこそごめんね」
「私こそごめんなさいね。……けどまあ基本的には屋敷から出ない限りはギノに会いたかったらいつでも私の部屋に来たら会えるわよ」
「なら遠慮なく行かせてもらうね!」
私はニコリとギノに対して笑顔を浮かべたフェリナの頭を軽く撫でると、そのままフェリナからの「一緒にお茶でも飲もうよ!」の一言に誘われてそのまま四人でお茶をする事にした。
その際に、フェリナはラルクがヘラヘラと笑いながら喋り出したのを見るなり「……ラルクって本当に護衛なんてできるの?」と心底不安そうに言ってきたが、実際の強さは知らないものの強いであろうことは私自身分かっているのでこう答えた。
「恐らく、ね」
「恐らくって酷ない!?これでも一応はギノと互角にやり合えるぐらい強い自信あるんやけど!!?」
私は自身の右隣で口元を尖らせてぶーぶーと言い始めたラルクに呆れながらも、フェリナを見て肩を竦めつつ「だそうよ」と告げてみる。
そうすれば眉を八の字にしつつも「……ちょっと怪しいと思わなくもないけど、フォリナが言うなら私はそれを信じるよ」と笑いながら言ってくれたフェリナ。
私はそれに対して内心で『良かった……』と安堵すると一つフェリナに教えておくべき事を思い出してそれを口にすることにした。
「ありがとう、まあでも確かに強いのは強いはずよ。……あと、この二人は基本的に私にもフェリナにも敬語とかは使わないと思うけど許してあげてちょうだいね」
「……なんとなくさっきフォリナとラルクの会話を聞いててそうかなぁって思ってたしそれに関しては私もどうでもいいから別にいいよ!」
「なら良かった。……ラルク、これからフェリナのことよろしくね」
「任せといて!」
ラルクはふわりと私達を見て微笑むとそのまま「まっ、お礼はいつも通りでええわ」と言ってフェリナの「お礼……?」の質問に対して「お菓子や!」と楽しそうに答えるとそこからは二人で楽しげに話していた。
まあ、取り敢えずではあるものの現状を見る限りはフェリナもラルクも仲良くなれそうでよかった。
ただ問題はギノか。
私はチラリと自身の隣で黙ったままを貫くギノに目を向けると、『無理にとは言わないものの彼にもフェリナと仲良くなってもらわないとな』と考えながらそっと紅茶に口を付けた。




