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夜になりまたいつものように窓からするりと私の部屋に入って来たギノ。
私は部屋に入って来るなり早々に机の上に用意してあったお菓子を見る彼に対して軽く苦笑を浮かべながら菓子を見詰める彼へとこう声を掛けた。
「どうぞ、先に座って。お菓子も食べていいわよ」
すると、私の言葉にすぐさま椅子に腰掛けた彼は私に向けて「ありがと」の一言を口にしたと同時に机の上のお菓子を口にする。
そして、私はそんな彼に対してクスクスと笑いながらモグモグとクッキーを食べる彼の目の前に紅茶を差し出すと「……で、どうだった?」と尋ねて来た彼に対して今朝父から言われたことを口にした。
「そうね、今朝父様にその話をしたら昨夜貴方達が私に教えてくれた計画に関しては前々から父様自身その計画を立てている家については知っていたらしくて近々にでもその家を潰す手筈だったらしいわ。で、その際になんだけど父様に何故その計画について知っているのかと問われた時に貴方達のことを話をしたら父様が貴方達を我が家の護衛として貴方達を雇いたいと言っていたわ」
途端にそこまで私が言い終えたところで顔を上げれば、目の前にはポカンとした表情を浮かべながらこちらを見るギノ。
私は目の前で固まる彼に対して「どうかしたの?」と声を掛けてみる。
そうすれば、ハッとした様子で「……本気?」と首を傾げながら問い掛けて来た彼。
それに対して私が「何がかしら?」と再び口を開けば彼は真剣な表情でこう言葉を返してきた。
「君の父親は、もしかしたら俺達が裏切ったりするかも知れないってことは考えてないの……?」
「あら、裏切るつもりなの?」
「そんなことはしないけど……」
「ならいいじゃない」
「……相変わらず変わってるね」
「褒め言葉よ」
彼はフンと鼻を鳴らした私の言葉と行動に大きく溜息を吐くと、呆れた様な表情を浮かべながら「褒めてないけどね」とほんの少しだけ口元と目元を緩めながら笑った。
そして、私はそんな彼を見つつ内心でギノと初めて会った頃の無表情かつ無感情で私に対してナイフを向けて更に平然と『殺す』と言っていた彼の今への変わりように笑いながら目の前で首を小さく傾けたギノを無視して机の上のクッキーに手を伸ばす。
そうすれば慌ててクッキーに手を伸ばし始めるギノ。
私はそれを静かに眺めながら右手に持ったクッキーを齧りつつ、ふと『あと二年もすればクロウラ学園に通うことになるのか……』と考えてこういった関係はこれからも続けられるのだろうかと考えて小さく溜息を吐いた。
現段階でそれなりに私の知る彼らになってきてはいるがクロウラ学園に入学することによって、みんなの今の性格が修正されなければいいけど……。
まあ、いざとなったら逃げるという選択肢も作ろうではないか。
私はそう考えるとその場でパンッと両手を合わせて「んーっ!」といいながら伸びを一つした。




