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私って悪役令嬢じゃなかったの!?   作者: 花咲千之汰(はなさきちゆた)
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フェリナとノアナと一緒に花輪を作った日の夜。


ベッドの上で大人しく本を読んでいると唐突に窓の方から微かにではあるがラルクのこんな声が聞こえてきた。


「……夜遅くにすまん、フォリナちゃん起きとる?」


私はその言葉を聞くなりベッドの上に本を置くと、そのまま声のする窓の方へと足を向けながら彼の質問に答えた。


「えぇ、起きてるけどどうかしたの?」


途端に窓の前に辿り着けば、窓越しに満面の笑みを浮かべるラルク。


彼は私に対して「サプライズかあるんや!」と言ってきたかと思うと、思い切り右手で何かを引っ張ったかと思うと、その先から現れたのは仏頂面でそっぽを向くギノ。


私は久し振りに見たギノの姿に対して驚きつつも自身と目を合わせないギノへこう話し掛けた。


「久し振りね、ギノ」


すると、ちらりとこちらを横目で見て小さくではあるものの「……久し振り」と呟いた彼。


私はそんな彼の返答に微笑ましさを感じながら笑み浮かべたまま彼を見て率直に思ったことを口にした。


「ふふっ、相変わらず素直じゃないわね」


けれど、私の言葉に「……そんなことない」と反論しながらも何処か少し照れている様子のギノ。


そして、その真横ではヒイヒイと「お前ほんまにフォリナちゃんの前やと可愛ええな!」とお腹を抱えながら笑うラルク。


この際なんとなくだが『こりゃギノが怒るかな?』と私が思ったと同時に案の定ではあるがギノがラルクを屋根から突き落としたではないか。


私は自身の目の前でラルクが落ちた場所を見下ろしながら「死ね」と呟いたギノに対して苦笑を浮かべ、こちらを振り返るなり「……元気?」と私へ尋ねてきた彼の言葉に頷く。


「えぇ、元気よ。それよりもギノこそラルクから最近とても忙しそうにしてるって話を聞いてたけど大丈夫なの?」


「……別に、大丈夫だよ」


私はこちらには目を合わせずに頷く彼に対してやれやれと思いながらも一度部屋の中へ戻り、彼が好きなクッキーの入った瓶を一つ持って彼がいる場所へと戻る。


すると、そこでは「ほんまお前最低やな!?」と不貞腐れた顔をしながらギノの頬を両手で挟んで怒るラルクと、そんなラルクを心底鬱陶しそうに見ながらその手を叩き落とすギノが楽しそうに遊んでるではないか。


私はギノに手を叩き落とされながらも再び彼の頬を両手で挟もうとするラルクと、そんな彼の手を遠慮なく叩き落とし続けるギノのコントのようなやりとりを見ながらも二人にこう声を掛ける。


「ふふっ、本当に相変わらず仲良しね。私、貴方達のそういうやり取り大好きよ」


途端にこちらに顔を向けて嬉しそうに頷くラルクと、不本意そうな目でこちらを見てくるギノ。


再び二人のコントがここで始まった。


「やろ?俺達仲良しやろ!?」


「仲良くない……」


「素直になってもええんやで、ギノちゃん!」


「……死ね」


私は本気で仲のいい二人のコントに笑いながら「……ところで今日は挨拶に来ただけなの?」と問い掛ける。


けれど次の瞬間、彼らは私のその問い掛けを聞くなり真剣な表情で首を横に振った。


「いや、挨拶だけなら良かったんやけどそれどころじゃすまん状態になっとるんや。……フォリナちゃん、今度の俺達の仕事が君の両親を殺すことやって言ったらどうする?」


「え……?」


「いや、驚くのも無理ないけどこれはほんまの事や。けど、正直な話をすると俺もギノも君のことは殺した無いし、君が悲しむこともしたくない。やから出来るだけ早く君の事を逃がすか、この事を君自身が両親に伝えるか俺らに伝えさせるかをさして欲しい」


私は自身の目を真っ直ぐに見るラルクと、その隣で抜の悪そうな顔をしながら私から視線を逸らすギノに目をやって彼のいうことが事実なのだと感じ取って少しだけ間を開けて真剣な目でこちらを見る彼へと返事を返す。


「……本当に嘘ではないみたいね。分かった。父さんには私からその話を説明しておくわ。けれど、今日は無理だと思うからまた明日か明後日にここに来て貰ってもいいかしら?」


「了解。ただ俺は明日明後日は仕事やからギノだけで来ると思うけどよろしくな」


「えぇ、怪我しないでちょうだいね」


「当たり前やん」


私はくしゃくしゃと自身の頭を撫でてきたラルクに「よろしい」というと、その隣で未だに私と目を合わせようとしないギノに対して「気にしなくていいわよ」と告げるとチラリとこちらを見てきた彼に微笑み掛けたのだった。


取り敢えず、ゲームの内容を考えても両親が死ぬことはないとは思うが私というイレギュラーのせいで未来がどうなるかは分からない。


私はそのまま「いきなりごめんな」と言ってきたラルクの言葉に首を横に振ると、「今日はもう寝るわね」と告げて二人にクッキーを瓶ごと渡すとベッドまで戻ったのだった。



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