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フェリナとレインを連れてやって来た父の元。
そこで父は私達二人に自身の隣に立っているとてつもなくダンディーでかっこいい男性の紹介をしてくれた。
「こちらはルイン・キャメロット伯爵だ。ルイン、この二人が前に言ってた私の可愛い双子の愛娘のフォリナとフェリナだ」
「初めまして、フォリナです」
「初めまして、フェリナです」
きちんと軽くスカートの裾を持って足を曲げて頭を下げれば、楽しげに笑う目の前のルイン伯爵。
彼はそれぞれ私達の手を取ると軽く口付けを落として頭を下げて来た。
「初めまして、小さなレディー達。改めて君らの父のロバートのご紹介に預かりましたルイン・キャメロットです。そしてレディー達の後ろにいるのが私の息子のレイン・キャメロットです。ほら、レインも挨拶をしなさい」
「あっ、改めまして、れ、レイン・キャメロットです……」
ビクビクと緊張しているのか吃りながら挨拶をするレイン。
本来なら、ここで彼がキャメロット伯爵の息子だと知ったフェリナが『あら、そうだったの!フフッ、そんな緊張しなくていいのに』なんて笑いながら言うはずなのにうちの妹ってば物凄くムスッとした顔でレインを睨んでおります。
私はフェリナを見ながらビクビクするレインに小さく溜め息をつくと、ゆっくりと彼と妹に対してこう告げた。
「そんなにビクビクしなくても大丈夫よ。フェリナもお客様をそんなに睨まないの」
「でも……」
「でももなんでもないわよ」
「……うん」
「いい子」
未だに少し不満げではあるものの、レインを睨むのをやめたフェリナの頭を撫でれば嬉しそうに目を細める彼女。
そして、ほんの少しだけ肩の力を抜いたであろうレイン。
私は父さんとキャメロット伯爵の顔を見上げると「三人で遊んで来てもいいですか?」と問い掛けて、了承の言葉をもらうなり二人の手を引いて外へ向かう。
道中で方やニコニコと鼻歌交じりに、方や真っ赤な顔をしている子達を見て「ここで本来なら私抜きで君達二人で外に行く予定だったんだからね」なんて思いながらゲーム内の二人の幼少期の内容を思い出した私は迷うこと無く庭にあるシロツメクサの生える場所へと向かったのだった。