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私って悪役令嬢じゃなかったの!?   作者: 花咲千之汰(はなさきちゆた)
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あの日、私達四人とカイン王子は晴れて友人関係になったという所で、城の外へ行ってはいけないことや友人の作れない生活に嫌気が差してその反抗として両親を含めた周りから逃げ回っていた王子が自らパーティーに出席した事によりあの日のパーティーはお開きになった。


そして、あのパーティーの日から三日経った今日。


私達の住むこの屋敷にレインやアイザックはいつものこととして、なんとそのカイン王子が来ていたりする。


なんでもミリアーナ叔母さんがカイン王子に「ヴィンセント家ならば別に遊びに行ってもいいですよ」と言ったようなのだ。


まあ、見知らぬ場所に行かれるよりも勝手の分かっている自分の実家に遊びに行かれる方がまだ親としてもマシですもんね。


私は庭で物珍しそうに周りを見渡してフェリナやレインに色々と聞いている微笑ましい王子の様子を視界に入れながら、リリーに持って来てもらったティーセットを机の上に広げていつでもお茶が飲めるようにと用意を始める。


すると、そこへやって来たのは私同様に彼らに微笑ましい視線を向けるアイザック。


私は自身の目の前に腰掛けたアイザックにチラリと目をやると、こちらを見ながら微笑んだ彼に首を傾ける。


「どうかした?」


「いや、また弟のような存在が増えたなと思ってな」


「ふふっ、確かにそうね」


私はアイザックの前に淹れたての紅茶を手渡すと、何やら騒がしい三人の方に目をやる。


すると、そこには片手にカマキリを捕まえてカイン王子の目の前にそれを突き出しているレインとそれを見て悲鳴を上げながら逃げ回るカイン王子とフェリナの二人。


私とアイザックはそれを見るなり顔を見合わせて苦笑を浮かべるとそれぞれレインへ向けて口を開いた。


「レイン、やめなさい」


「レイン、やめてやれ」


途端にピタリと動きを止めたレインと、その背後でそんなレインを見て安堵の吐息を吐くカイン王子とフェリナ。


「た、助かった……」


けれど、フェリナがそこで吐息を吐くだけで終わる訳がない。


そう私が考えた瞬間に案の定だがフェリナがレインに向けてこう叫んだ。


「レイン最低!!」


そしてそこからレインが間を開けずフェリナの言葉に小さく謝罪の言葉を告げるものの、それを断固として拒絶するフェリナと、だんだんと不穏になる二人の間でオロオロとした様子で「お、落ち着いてくれ!」と二人の仲を取り持とうとするカイン王子。


それを見たアイザックは紅茶に口を付けたかと思うと口元から紅茶のカップを離すなりこう呟いた。


「……あの二人よりもカインの方が大人みたいだな」


私はそれに無言で頷きながらお互いに鼻を鳴らしながらそっぽを向き合ったフェリナとレインに軽く溜息を吐き出すと、困った顔をしたカイン王子の名を呼んだ。


「カイン王子、その二人のやり取りはいつもの事なので放っておいて大丈夫ですよ。それよりもこっちでお茶でもしましょう?」


途端にバッとこちらに顔を向けるフェリナとレイン。


そして、カイン王子はそんな二人の様子に驚いた表情を浮かべながらも私の言葉に小さく頷くとそのままこちらへと近付いてアイザックの隣の椅子に腰掛ける。


同時にこちらへ足を向けてくるフェリナとレインの二人。


「あら、もう喧嘩はいいの?」


「……許してあげるからもういいもん」


「フォリナ、僕らにも紅茶淹れて……?」


「分かったわ。なら早く空いてるところに座って頂戴」


二人は素直に私の言葉に頷くとフェリナは私の隣に、レインはフェリナとカイン王子の隣に当たる誕生日席に腰掛けたのだった。



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