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フォリナとフェリナが部屋から出て行った後、ミリアーナと双子の両親であるアルトとリズはそれぞれこんな会話をしていた。
「まさか本当にあの子があそこまで変わっているなんて想像してなかったですわ。猫を被っている様子でもなかったですし……」
「ははっ、最初は私達も驚いたさ。でももうかれこれあの日から二年間あの二人は上手くやっているよ」
「ふふっ、そうね。あの日からメイド達とも上手くやっているようですし」
アルトとリズはお互いに顔を見合わせて笑い合い、そんな兄と義姉を見てミリアーナも微かに微笑みを浮かべる。
「ならもう心配することは何も無いですね。……ところで、本日は私少しアル兄様とリズ姉様にお話があってこちらへ来たのですが本題へ移ってもよろしいでしょうか?」
「あぁ、どうした?」
そこでふとミリアーナが口にしたのは「フォリナかフェリナのどちらかを私の子供であるカインの婚約者にと思っているのですが」という言葉。
すると、それを聞くなりアルトとリズは微妙な顔をしながら首を左右に振るった。
「……フォリナはともかくフェリナが問題だぞ」
「どうしてですか?」
「……うーん、恐らくフォリナは大丈夫だと思うの。けれどフェリナがフォリナから離れたがらないのよね。だからきっとどちらかが嫁ぐにしろフェリナがフォリナと離れることを嫌がると思うのよ」
「嗚呼、前にキャメロット家からフォリナに婚約の申し込みがあったのだがそれをフォリナに聞く前にフェリナに教えたら今までにないぐらいに嫌がってな。……あそこまで何かを嫌がるフェリナは正直今まで見たことがなかった」
「そうなんですね……」
ミリアーナは目の前でほとほと困ったと言わんばかりの顔をするアルトと、彼と同様に頬に手を添えて苦笑を浮かべるリズに小さく唸る。
「……そうなると他の家からカインの婚約者を探すことになりますね」
「まあ、正直な話をするとフェリナに婚約の話を伝えなければなんて事無いことだと思うわよ。レインくんの時だってフォリナに話を伝える前にフェリナにレインくんの家からフォリナ宛に婚約の話が来たと伝えたらああなった訳ですし」
「それになんならあの子達が十六になるまで婚約の話を黙っているという手もあるな」
「十六、と言えばフィエドール学園入学の年齢ですね。その前の二人の誕生日パーティーにでも二人に伝えるのはいかかですか?」
「私達は構わないぞ」
「えぇ、でも最終的にカイン王子との婚約を受けるか受けないかはあの子達次第だからそこだけは分かっていて頂戴ね。……ところで、カイン王子の婚約者にはフォリナとフェリナのどちらを?」
「そこは分かっていますよ。……お二人から見てどちらの方が王妃になる方がいいと思いますか?」
すると、ミリアーナの言葉にアルトとリズは少し考える素振りを見せたかと思うとそれぞれ口を開く。
「……フォリナ、だな」
「……フォリナですね」
「その理由は……?」
こてりとミリアーナが首を傾けてそういえば、アルトとリズはそれぞれ目を瞑りながらこう言う。
「最近、二人の家庭教師からの話を聞いていると頭の方も教養の方もフォリナの方が優れているということだ。それに私達から見ても最近のフォリナは面倒見がよく内面も大人だ」
「さっき貴女の言った他人を思いやれる人になるということも最近は出来ているみたいですしね。今ではテペルギュウス家の身体の弱い御息女の為に本を貸してあげたり屋敷に咲いている花をその子の為に持って行ってるそうよ」
途端にミリアーナは二人のその話を聞くなり迷うことなくそのままこう告げた。
「ならばフォリナをカインの婚約者にお願いします。……ただ、お義姉様の言う通りにフォリナかカイン王子のどちらかに好いた人が出来る、もしくは婚約をしたくないということを言ったら今回の婚約はなしということで。親である私達が大切な子供達の話を無視して二人を結婚させるなんてことはしたくありませんしね」
「嗚呼、それは勿論だ」
「異論ないわ」
三人はそれぞれ顔を見合わせて微笑み合うと、この話は終わったと言わんばかりに違う話へと話題を変えて話し出したのだった。




